太陽光発電の設置費用の相場

個人・法人問わず、電気代の値上がりは毎年懸念されている。その影響もあって、自家消費型の産業用太陽光発電に注目が集まっている。電力コストの大幅削減が見込める反面、システムの導入費用が気になる企業も多いだろう。

オトクに産業用太陽光発電を設置するには、初期費用や設置費用、投資回収期間に対する理解が重要となる。

今回は、産業用太陽光発電の設置に関わる費用相場や初期費用を抑える方法などを解説する。

産業用太陽光発電の設置費用の相場

産業用太陽光発電の設置費用の相場

まずは、産業用太陽光発電の設置にかかる費用相場を紹介しよう。

2019年4月現在、50kW太陽光発電の導入コストは1kWあたり30万円、機材費と施行工事費を合わせて1500万円程度が目安になる。

厳密には、機材メーカーや施工業者によって費用は変わる。

国内の太陽光発電メーカーの場合、費用目安は1500万~2000万円程度。海外メーカーより割高にはなるが、保証や安心面を重視するなら国内メーカーを選ぶのが一般的である。設置費用の回収期間は10年前後となっている。

一方の海外の太陽光発電メーカーの場合、費用目安は1500万円前後になる。初期投資を抑える事を重視するなら海外メーカーを選択する傾向にあり、設置費用の回収期間は10年未満が目安だ。

回収期間は、いずれも支払い方法や融資の利率によっても変わるため、参考程度に覚えておくといい。

産業用太陽光発電にかかるランニングコスト

産業用太陽光発電にかかるランニングコスト

産業用太陽光発電の導入後は、保全管理費がかかる。主なランニングコストを4つ紹介しよう。

1つ目は点検代だ。50kW以上の太陽光発電は4年に1回の法定点検が必要になる。点検にかかる費用は50万~100万円ほどだ。

2つ目は清掃費用である。野立ての小規模太陽光発電なら1kWあたり約2000~5000円、メガソーラーなら年間約50万~100万円が目安だ。太陽光パネルにホコリや枯れ葉がたまると発電効率が落ちるだけでなく、故障の原因にもなる。

太陽光パネルの表面に付着した汚れは、大雨である程度は流される。しかし、花粉やPM2.5、鳥の糞など、環境によっては汚れが溜まりやすい。環境に合わせて1~4年に1回を目安に、業者に清掃依頼をするのがおすすめだ。

3つ目は、交換や修理にかかる費用だ。よくあるのはパワーコンディショナや売電メーターの交換・修理だ。故障により交換となった場合は、1台あたり20万円ほどが一般的だ。

売電メーカーは10年で交換となっているが、使用者と電力会社のどちらが費用負担するかは電力会社によって異なる。使用者が負担する場合でも工事業者によって金額が変わるため、一概にいくらとは提示できない。

4つ目のランニングコストは税金だ。固定資産税のほか、売電すると場合によっては所得税が発生する可能性もある。

自家消費型の太陽光発電で投資費用の回収期間を短縮できる理由

理由

固定価格買取制度による売電価格の下落により、自家消費型太陽光発電が注目されている。自家消費型には、投資費用の回収期間を短くするメリットがある。なぜ、投資型よりも自家消費型の方が早く回収できるのか、その理由を解説しよう。

電気料金を削減し初期費用に充てられる

電気料金を削減

自家消費型太陽光発電を導入すると、電気代を削減できる。日中の最大デマンドが下がるため、基本料金も下がるのだ。

電気の基本料金は契約電力が基準だ。契約電力は最大デマンド値をもとに算出されており、基本料金の削減には最大デマンド値の低下が必要不可欠である。

デマンド値とは30分ごとの平均使用電力のこと、最大デマンド値とは当月と過去11カ月分の中でもっとも高いデマンド値のことだ。

基本料金には最大デマンド値が採用されるため、短時間でも電力使用量が跳ね上がると、最大デマンド値も上がってしまう。いくらそれ以外の期間で節約しても、しばらくの間は基本料金が高いままになってしまうのだ。

産業用太陽光発電における電気料金の内訳は、基本料金+電力量利用金+消費税である。基本料金の内訳は、単価×契約電力(最大デマンド)×力率割引。

電力使用量の多い日中に太陽光発電で自家消費を行えば、最大デマンドを下げることができるため、基本料金を抑えられる。節電によって企業活動を抑えるより、自家消費で基本料金を下げた方がメリットは大きい。

補助金を設置費用の一部に充てられる

補助金

自家消費型の産業用太陽光発電を導入すると、「再生可能エネルギー電気熱自律的普及促進事業」が利用できる。この補助金の目的は、2013年度と比較して、2030年度までに温室効果ガスの排出を26%減らすことだ。

2019年度時点での補助金の適用条件を紹介しよう。

補助金の対象となるのは、再生可能エネルギーを導入して事業を行っている一定の民間事業者だ。導入費用の一部を補助してもらえる。

民間事業者のみで導入する場合は対象設備費用の3分の1、地方公共団体との連携や団体の指定による導入なら、費用の3分の2を補助金で受け取れる。

自家消費型太陽光発電のメリットは、普段の電気代を大幅に安くできる点である。しかし、設備投資の面で導入を断念する事業者もいるかもしれないが、補助金を利用する事で太陽光発電導入の負担を減らす事が可能になる。まずは、自社が補助金の対象条件に当てはまるかを確認してみよう。

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太陽光発電の設置費用を安くする方法

太陽光発電の設置費用を安くする方法

産業用太陽光発電の導入費用を安く抑えるなら、相見積もりを取ろう。相見積もりとは、複数業者から同じ条件で見積もりを取ることだ。

相見積もりのメリットは2つある。

1つ目は、有利に価格交渉ができる点だ。他業者と価格の比較ができるため、より安い見積もりを算出、提案してもらいやすい。他業者で算出してもらった価格をもとに交渉すれば、業者同士が競い合ってより安い見積もりを提示してもらえる可能性が高くなる。

2つ目は、導入費用の相場が把握できる点だ。万が一、相手が良心的ではない業者だった場合、相場を知らないことで見積価格が高くなるリスクがある。相場を把握していれば、悪質な業者を避けたり条件の良い業者を見つけたりしやすくなる。産業用太陽光発電について詳しくない事業者は特に、相見積もりを取るようにしよう。

太陽光発電の設置費用を抑えて投資回収期間を短縮しよう

産業用太陽光発電の高い設備費用も、工夫次第で安くできる。自家消費型太陽光発電なら電気代の削減や補助金の利用ができ、投資回収期間の短縮にも効果的だ。

産業用太陽光発電の設置費用を抑えるためには、相見積もりによるコスト削減が重要である。ただし、複数の業者に対して1社ずつ見積もりを依頼するのは時間も労力もかかる。タイナビNEXTなら無料一括見積もりが可能だ。ぜひ、利用を検討してみよう。