自家消費型の産業用太陽光発電

これまで太陽光発電といえば、固定価格買取制度(FIT)の影響もあり、「発電した電気を電力会社に売って利益を得る」という活用の仕方がメインとなっていた。

しかし、近年は発電した電気を自分で使う「自家消費型」の太陽光発電も注目されている。

一体なぜそのような変化が起きることになったのか。ここでは、自家消費型の太陽発電のメリット・デメリットと合わせて解説していこう。

自家消費型の太陽光発電が注目されている理由とは?

自家消費型の太陽光発電が注目されている背景には、発電した電気の買取価格の問題がある。

固定価格買取制度(FIT)が始まった当初は、制度上で定められた買取価格が48円と非常に高額だった。発電費用も同様に高額だったが、電力会社への「売電」で利益を得ることができる水準だった。

しかし、太陽光発電の普及に伴って固定買取制度の買取価格は年々下落し、ついに18円にまで安くなった。制度の開始から時間が経つにつれ、売電で稼ぐのが容易でなくなってきたのだ。

一方、買取電力量が増えると、電力会社の方では金銭的な負担が増加してしまう。再生可能エネルギーのコストは、他の発電方法に比べると割高だったのだ。そのため、FITの電力を買い取るコストは「再生可能エネルギー発電促進賦課料(再エネ賦課金)」という形で、利用者の電気料金に反映されることになる。

FITを目的とする再生可能エネルギー増加と共に、すべての電力消費者が支払う電気代が高くなる事態が起きているのだ。

しかし、太陽光発電の自家発電で電力会社から電気を買わずにいれば、再エネ賦課金の負担を避けることができる。FIT太陽光発電が増加する裏で、自家消費型太陽光発電の経済的メリットが増しているということだ。

太陽光発電の技術は年々進歩しており、必要なコストも低下している。自家発電のコストと、電力会社から電気を購入するコストが同等になる「グリッドパリティ」という現象が起きている。

自家消費型太陽光発電のメリット

自家消費型産業用太陽光発電のメリット

自家消費型太陽光発電にはさまざまなメリットが存在する。

・税制優遇が使える

太陽光発電は機械設備にあたるため、中小企業経営強化税制を始めとした各種税制優遇の対象となる。全量売電する設備は対象外だが、発電した電気を税制度が指定する事業に使う場合には節税効果を出せるのだ。

・補助金がもらえる

環境への優しさやエネルギー戦略といった事情から、政府の方でも太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの活用を推進している。そのため、家庭や企業で自家消費型太陽光発電を始める場合、条件が合えば国や自治体の補助金が利用できる可能性がある。

・電気を自給自足できる

自家消費型太陽光発電を始めれば、電気の自給自足が可能になる。蓄電池を合わせて使えば、昼間の余剰電力を夜に回すことができるので、発電できない夜の電力もまかなえる。

万一のときの非常用電源としても使えるため、災害時など電力会社からの送電が止まってしまったときの保険にもなる。実際、住宅用太陽光発電が急速に普及したのは、東日本大震災のときの計画停電が一因になっている。

・電気代が安くなる

電気の自給自足が可能になるため、電気代も節約できる。まず電力会社から購入する電力が減るぶん、電力の使用量に応じて決まる電力料金が安くなる。また、購入する電力が減れば電力プランを安いものへ変更することもできるようにもなるため、月々の基本料金も削減が可能だ。

・地球温暖化防止に貢献できる

太陽光発電は、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない。つまり、太陽光発電を利用すれば間接的に地球温暖化防止に貢献できるというメリットもある。

自家消費型太陽光発電の金銭的メリットの計算方法

太陽光発電を設置することで、どれくらいの金銭的メリットがあるのだろうか。自家消費型太陽光発電の経済的メリットを、具体的に計算する方法について紹介しよう。

太陽光発電の金銭的メリットについては、以下の計算式で導くことができる。

・金銭的メリット=売電収入-購入による支出+自家消費により節約できた電気代

売電収入は、電力会社に作った電気を買い取ってもらって得た収入のことを指す。買取額の合計については、電力会社より発行される「余剰購入電力量のお知らせ」で確認できる。

購入による支出は、電力会社の電気を使うことで発生した電気の使用料金のことをいう。こちらの金額については、電力会社より発行される「電気使用量のお知らせ」で確認ができる。

自家消費により節約できた電気代は、自家発電を行なうことで節約できた電気の使用料金のことを指す。電力会社から電気を買わずに済めば、そのぶん電気料金を減らすことができる。したがって、浮いた電気の使用料金も当然金銭的メリットに含むことができる。

なお、自家消費により節約できた電気代は以下の計算式で求めることができる。

・自家消費により節約できた電気代=(発電量-売電料)×「電気使用量のお知らせ」の請求単価

これらの計算で大まかな目安はつかめるが、肝心の発電量は発電設備の設置環境によって変動する。太陽光発電の自家消費による経済的メリットを調査するには、専門家の調査とシミュレーションが不可欠と言えよう。

自家消費型太陽光発電のデメリット

自家消費型産業用太陽光発電のデメリット

自家消費型太陽光発電を始める上では、いくつか知っておきたい注意点もある。ここでは、自家消費型太陽光発電のデメリット・注意点を具体的に紹介しよう。

・メーカー選定と導入コスト

太陽光発電は複数の機材を組み合わせて設計するが、採用するメーカーによって導入にかかるコストが大きく変わる。メーカーの選定には注意が必要だ。発電容量が10kWを超える規模の設備には、コストパフォーマンスに優れる海外メーカー製太陽電池モジュール(太陽光パネル、ソーラーパネル)が使われることが多い。コスト対発電量を考えた設計ができる事業者に依頼するべきである。

・補助金について

補助金制度の利用についてもいくつか注意点がある。まず、補助金関連の制度は複雑で、申請・支払いのタイミングは申請する補助金によってバラバラだ。制度によっては、補助金が支払われるのが工事完了後になることもある。制度の内容も年度によって大幅に変わる可能性があり、補助金制度がいつまで続くかわからないというのが現状だ。

太陽光発電は自家発電・収益でオイシイ投資先

これまで太陽光発電というと、電力会社に電気を売って収益を上げる「売電型」が主流だった。しかし、全量買取制度がスタートして期間が経つに連れて、売電価格は徐々に安くなってきおり、これから積極的に売電を行ない、儲けようとするには厳しい状況になっている。

だからといって太陽光発電の魅力が失われたわけではない。売電に代わって、自家消費型の太陽光発電システムが注目を集めるようになってきているのだ。

技術の進歩により太陽光発電による発電コストは低下し続けており、電力会社の発電コストに近づくまでになった。電気を自分で作って使うのも、電力会社から買って使うのもコスト的には同じという時代が来ているのだ。

電気代削減に役立つ太陽光発電は財布に優しいだけでなく、地球環境にも優しい技術である。しかも、災害時には非常用電源にもなるというメリットもある。

電気を始めとするライフラインの確保は災害時における最優先事項の1つ。その意味で太陽光発電は万が一への備えにもなるのだ。

これからは、電力は「売って儲ける」のではなく「作って自分で使う」時代。太陽光発電を利用して、電力の自給自足を始めてはいかがだろうか。