産業用太陽光発電の区分と違い

中規模以上の太陽光発電を検討するなら、まずは設備容量による取扱いの違いを知ることがおすすめだ。特に、太陽光発電の設備容量が50kWを超えるか、超えないかは、中規模以上の太陽光発電にとって重要な境目である。

産業用太陽光発電の特徴を知り、実際の投資計画に役立てていただきたい。

産業用太陽光発電の「50kW未満」と「50kW以上」の違い

太陽光発電は、発電システムの容量によって区分される。これにより生まれる違いは、売電やメンテナンスなどの取り扱いや、かかるコストである。発電設備の容量により、適用される電気事業法の規制、設置条件・関連法規が異なるためだ。

発電事業の初期コスト・ランニングコストに影響するため、ここで確認しておこう。

太陽光発電の容量(発電出力)を決めるのは、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった、太陽光を電気に変える設備の発電力だ。太陽光パネルの合計出力とパワーコンディショナーの合計出力の、どちらか小さい方の値を採用する。

とある系列の太陽光パネルの出力が4.5kWで、パワーコンディショナーの出力が4.7kWとしよう。その系列の設備容量は4.5kWだ。中規模以上の太陽光発電所は、複数の系列を寄せ集めて作る。発電所全体の発電出力は、系列ごとの採用値を合計して算出される。

たとえば、系列1の容量が4kW、系列2が3kW、系列3が4.8kWの発電所は、設備容量が11.8kWといった具合だ。

太陽光発電の発電出力の考え方http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/120710_sun.pdf

10kWを超える太陽光発電は、産業用太陽光発電と呼ばれ、住宅用太陽光発電とは区別される。さらに50kWを超える発電設備は「高圧」という区分になり、取扱い方がさらに変わるという具合だ。

ここからは、10kW以上50kW未満の太陽光発電、50kW以上の太陽光発電の違いについて解説していこう。

10kW以上50kW未満の太陽光発電

投資用の太陽光発電の中で最も多いのが、10kW以上50kW未満のものだ。

メリットは、50kW以上のものと比べて管理コストがかからないこと。保安規定などの届け出が不要といったところにある。管理コストの低さから、50kW未満の設備は累計認定量・導入量ともに投資用の太陽光発電の約95%を占める状況となった。

50kW未満の太陽光発電は電気工事事業法では小出力発電設備にあたり、「一般用電気工作物」に分類される。工事の際は電気工事法に基づき、第1種電気工事士、又は第2種電気工事士への依頼が必要だ。

50kW以上の太陽光発電

50kW以上の太陽光発電設備については、設置や管理にコストがかかる。しかし、スケールメリットを働かせて、kWあたりの単価を安くしやすいという強みもあるのだ。

上級者向けといえる。専門知識を活かして本格的に発電所を運営したい、資金が潤沢にあるなど導入に向いているケースは限られるかもしれない。

2MW(2019年度より500kW)を超えると入札制の対象になり、売電価格が読めなくなる。

50kW以上の大規模な太陽光発電システムは、産業用太陽光発電の中では高圧連系に分類される。電気事業法上は発電用の電気工作物(発電所)にあたり、「自家用電気工作物」になる。

工事の際は電気工事法に基づき、第1種電気工事士又は認定電気工事従事者への依頼が必要だ。 加えて、設置者には以下のような義務が発生する。

  • 経済産業省令で定める技術基準に適合するように、電気工作物を維持する義務
  • 保安規定を経済産業省へ届け出る義務
  • 電気主任技術者を選任して届け出る義務(1000kW以下の場合は、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得れば外部委託もできるが費用がかかる)

さらに、6ヶ月に1回の月次点検と年次点検の法定点検が推奨されている。なお、点検時は停電がある点に注意したい。

タイナビNEXTトップページ

10kW以上(産業用太陽光発電)のメリット

10kW以上太陽光発電のメリット

産業用太陽光発電でも50kW未満なら比較的手軽に設置可能である。以下の段落では、10kW以上の産業用太陽光発電を設置するメリットについて説明する。

全量売電ができる

10kW以上の産業用の場合、発電した電力はすべて買い取ってもらう(全量売電)ことが可能であるため、初期コスト回収を含めた投資計画が立てやすい。

また、全量売電だけでなくFITを用いた余剰売電もでき、どちらか好きな方を選択できる。さらに余剰売電すら行わず、すべて自家消費することも可能だ。

電力価格が上昇を続ける現在、電気を自給自足するメリットは大きい。あえて売電しないという選択肢にも十分魅力はある。

太陽光発電システムを設置する目的に合わせ、最適な活用方法を選びたい。

固定価格買取期間が20年

10kW以上の産業用太陽光発電システムで発電された電力については、20年間固定された価格で売電ができる。住宅用は10年なので、それに比べると倍の期間買取価格が保証される計算だ。

長期間決まった価格で電力を買い取ってもらえることは、収益の安定化に役立つ。一定期間の間に得られる収入もある程度予測がつくため、投資の見通しも立てやすくなるだろう。

特に売電を目的として太陽光発電システムを導入する場合「20年間」という産業用太陽光発電の固定買取期間は大きな魅力になるのではないだろうか。ちなみに、2018年度の買取価格は、18円(税抜)/1kWhとなっている。

産業用太陽光発電の注意点

産業用太陽光発電に関する制度やルールは、家庭用のものとは全く異なる。ここでは、産業用太陽光発電を検討する際に注意しておきたい事項について説明する。

補助金が受けられる条件をしっかり確認しておく

産業用太陽光発電の場合、一定額の売電収入を見込める全量売電に対する補助金はない。これから産業用太陽光発電を導入する場合、補助金が受けられる可能性があるのは、「余剰売電(蓄電池設置などの条件があるケースも多い)」と「完全自家消費」の場合である。

特に、FITを使わずに自家消費を勧めるのが現在のトレンドであるため、完全自家消費に対する補助金は今後も残る可能性がある。ただし、補助金制度は毎年のように変更があるため、情報収集だけは欠かさないようにしてほしい。

その他、国以外からも各自治体で中小企業向けの補助金や融資が受けられる可能性もある。条件などの詳細については事前に各自治体に確認しておくとよいだろう。

保証期間が20年以下のメーカーが多い

産業用太陽光発電では20年間、買取価格が固定されていて安定収入が見込める。しかし、それは「あくまでもシステムが順調に稼働すれば」という条件付きだ。

固定価格買取期間の間にシステムが故障する可能性も考慮しておかなければならない。もしメーカーや施工店での無料保証の対象が住宅用に限られていたり、保証期間が10年間だったりすると、せっかくの20年間の固定買取価格期間を活かせない状況になるおそれもある。

太陽発電システムメーカーの中には、オプションで保証期間を延長できたり、20年の出力保証を付けていたりするところもある。故障に伴うリスクを考えると、メーカー選びの際には各メーカーの保証内容も重視するべきといえるだろう。

広い設置場所と侵入防止柵が必要

産業用太陽光発電システムを設置する場合、設置場所の選定は家庭用以上に重要だ。10kW以上の太陽光発電システムを設置する場合、60~100平方メートル程度の面積が必要といわれている。

日照条件も採算を取るためには重要なポイントである。

一般的な一戸建ての屋根でも100平方メートル程度は確保できるケースもあるが、それ以外の設置場所候補を探すことになる場合も多いはずだ。アパートやマンション、工場や社屋の屋上、遊休地なども設置場所候補としたうえで、広さや日当たりといった条件を検討してみるとよいだろう。

改正FIT法により、平地など第三者が容易に近づける場所に発電設備を設置する際は、フェンスで発電設備を囲い、標識を設置して第三者が立ち入れないようにすることが義務付けられている。設置場所によっては柵のスペースを確保したり、設置コストも確保したりする必要があるので注意が必要だ。

なお、屋根のように第三者が容易に入れない場所であれば柵の設置義務はない。この場合柵の設置に必要なスペースがないぶん、パネルの設置可能面積も増えることになる。

産業用太陽光発電はオーダーメイド!メリットを活かした投資計画を

産業用太陽光発電は住宅用に比べて初期費用が高い代わりに、設置場所の自由度も高い。広さなど一定の条件を満たせば、さまざまなところに設置可能だ。

日照条件や発電設備の規模を考えたうえで、毎月の収益はどれくらいになるか、初期費用を固定買取期間中に回収できるか、などしっかりと投資計画を立てておこう。

なお、設置場所・規模に合った施工会社やメーカーを選ぶためには、必ず現地を下見してもらったうえで見積りを取る必要がある。タイナビの一括見積りを利用しながら、効率よく見積りを進めていこう。