集合住宅オーナーが太陽光発電を始めるべき理由

太陽光発電の設備は、戸建て住宅だけではなく、マンションなどの集合住宅へ設置するケースも増えてきている。マンションオーナーが屋根へ太陽光発電を設置することには、資産価値、収支状況の双方に良い影響が見込める。ここでは、具体的にどのような利益があるのかについて解説する。

太陽光発電の金銭的メリット4種のパターン

太陽光発電で発電した電気は、まずは2つの選択肢がある。全てを自家消費するか、固定価格買取制度(FIT制度)を使い、電力会社に電力の一部あるいは全てを売ることだ。

集合住宅に設置した太陽光発電は、電気の使い方によってさらにパターンが分かれる。金銭的なメリットを受け取る人や、付加価値に違いが出てくるのだ。

この段落では、パターン別に、太陽光発電を設置するメリットを紹介していこう。

発電した電気を全て売るパターン

設置容量が10kW以上の太陽光発電を設置すると、FIT制度により発電した全ての電気を電力会社に売ることができる。もちろん、マンションオーナーとしては発電した電気を全て電力会社に売ってしまっても構わない。このケースでの売電収入は全額オーナーのものとなる。

ただし、現在は太陽光発電の自家消費を推し進める風潮が強い。集合住宅(共同住宅)で自家消費あるいは余剰売電する太陽光発電であれば、補助金が出るケースがあるのだ。

一方、全量売電の太陽光発電に補助金が出る可能性は、かぎりなく低いということは知っておくべきだろう。

発電した電気を集合住宅の共用部で使う

発電した電気を、集合住宅の共用部(エレベーターや廊下の照明、会議室のエアコンなど)で使うやり方もある。つまり、共用部で必要となる電気を太陽光発電で賄うという考え方だ。

このパターンでは共用部の電気代を節約できるため、管理費・共益費といった入居者の負担を減らせる。その分割安な値段で貸し出せるため、賃貸物件としての魅力が高まると考えられる。

さらに余剰売電を選べば、使い余した電気を電力会社に売電することも可能だ。この場合の売電収入はオーナーの収益となる。

発電した電気を集合住宅のオーナー宅で使う

所有物件にオーナーも住んでいるケースでは、発電した電気をオーナー宅だけで使うという選択肢も出てくる。発電した電気については全てを自家消費してもよいが、余剰売電(余った電気を電力会社に売電する)も選べる。余剰売電を選べば、オーナーは自宅の電気代を節約した上に売電収入も得られる。

発電した電気を集合住宅の入居者に使ってもらう

発電した電気をオーナーだけが使うのではなく、各入居者に振り分けて使うという選択肢もある。余った電気は各世帯がそれぞれ電力会社に売電し、収益は各入居者のものになる。

この方法のメリットは、入居者の電気代の負担が減らせるうえに、売電収入も得られることだ。オーナー自身が太陽光発電によって金銭的な利益を得られるわけではないが、太陽光発電が設置されていない他の集合住宅との差別化ができるという強みがある。

結果的に物件としての魅力が増し、賃料収入アップなどの形でオーナーの収益につながる可能性がある。

集合住宅に太陽光発電を設置するメリット

集合住宅投資の追加収入

ここまで、太陽光発電の利用パターン別にメリットがあることを紹介してきた。集合住宅に太陽光発電を設置するメリットについて、具体的に説明していこう。

家賃以外の安定収入が得られる

オーナー側にとっては、家賃以外の安定収入が得られるというメリットがある。

固定価格買取制度(FIT制度)は、10kW以上500kW未満の発電設備については、20年間14円/kWh(2019年度の場合)での売電が可能だ。売電価格の保持が約束されることで、長期にわたり安定収入が得られる。

家賃以外にも売電収入を得られることで、空室リスクなど家賃収入の変動に対抗できる。集合住宅の建設費や太陽光発電の設備費といった、初期投資の回収予測なども立てやすくなるだろう。

屋根を有効活用できる

集合住宅の屋根はデッドスペースになりがちだ。安全上の理由で開放できなくても、太陽光パネルを設置すれば広いスペースを有効活用できる。面積が広く日当たりが良い屋上は太陽光発電の設置に適しており、良い条件が揃った希少な場所でもあるのだ。

それに加えて、太陽光パネルを設置すると屋根に日影ができ、最上階にある住居の断熱性がアップする。室温上昇を抑えると空調にかかるコストが減り、住みやすいポイントの一つとなるだろう。

太陽光発電の「付加価値」で入居者にアピール

入居者にアピールする方法

太陽光発電の設置は、集合住宅に「省エネ・創エネ」といった付加価値を与えてくれる。

太陽光発電つきの住宅は、電気代が節約できる・停電時でも電気が使える期待感など、入居者にとって魅力的に感じる面も多い。したがって、太陽光発電を設置することは、そうでない集合住宅との差別化につながる。物件としての競争力が増し、入居率アップにもつながると考えられるのだ。

なぜ太陽光発電を設置すると付加価値がつくのか?

集合住宅の入居希望者の「省エネ・創エネ設備」への関心は高い。環境負荷の低減に協力できるだけでなく、省エネ住宅イコール少ない光熱費で快適に暮らせる、ということでもあるからだ。

経済産業省の資源エネルギー庁では、「快適な室内環境」と「年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下」を同時に実現する住宅をZEH(ゼッチ)と定めている。

断熱性が高く、自然の光を取り込み利用する。ZEHは省エネ・創エネによる環境負荷の低減、および快適な住環境を同時に叶える住宅だ。地球に優しいだけでなく、住む人にとっても優しい住宅なのである。

国としては、官民連携でZEHの普及を推進していく方針だ。一定の基準を満たし、集合ZEHと認定された物件であることを強くアピールすることができる。光熱費の削減効果など、多様な利益を強みにすることが推奨されつつあるのだ。

太陽光発電の設置もZEHの施策としてカウントされる。ZEH認定を目指すことは、物件のブランド力を高めることにつながるといえよう。

集合住宅に太陽光発電を設置するデメリット

集合住宅に太陽光発電を設置することには、メリットばかりではなくデメリットもある。これから設置を検討するのであれば、デメリットについてもよく理解しておきたい。

初期費用がさらに高額になる

太陽光発電を設置するには、それなりの初期費用が必要だ。毎月の売電収入でコツコツと投資費用を回収し、メンテナンス費用を支払い、廃棄する費用を積み立てていく。元をとるまで長い時間がかかる設備投資になるのだ。

マンション経営も同様に、初期費用が高く、毎月の家賃収入でコツコツと返済していくタイプの投資だ。メンテナンスなどにかかる費用は太陽光よりも高額で、初期費用を回収するまでにことさらに時間がかかる。

実際に必要となる設置費用や将来にわたっての収支予想について、事前にしっかりと確認しておきたいところだ。太陽光発電の販売業者などに見積もりを依頼すると、初期費用や売電量のシミュレーション、それらに基づく収支シミュレーションなどを算出してもらえるので参考にするとよいだろう。

全ての入居者へ電気を供給できない可能性がある

物件を差別化するために、入居者に太陽光発電で電気を供給したいと考えているオーナーもいるだろう。その場合、実際に全戸に供給できるだけの電気を確保できるとは限らないという点も考えておきたい。設置可能な面積に対して、太陽光パネルを設置できる枚数は限られているからだ。

全ての住戸へ電気の供給をしたいと考えていても、現実問題として戸数が多い集合住宅の場合は供給量を確保できないこともあるだろう。こうしたケースでは、共用部のみに太陽光発電の電気を使用するなど、集合住宅の魅力の訴求ポイントを変更する必要がある。

入居者がいる既存の集合住宅への後付けは難しい

既存の集合住宅では、新たに太陽光発電を導入するのは難しいという事情もある。

すでに入居者がいる集合住宅へ太陽光発電を後づけする場合、入居者全員の同意が必要となる。設置によって得られる入居者のメリット(管理費が〇円安くなる、電気代が〇%節約できるなど)を具体的に提示し、全員に了承してもらわなければならない。これは、大変な労力がかかる。

それでも、太陽光発電設備の設置工事については、工事期間中の騒音や車両の出入りなど、入居者が不便を感じることも少なくない。現実的に、全員を説得するのは非常に難しいといえるだろう。

太陽光発電は相見積もりが必須

集合住宅に太陽光発電を設置することには、建物に付加価値がつく、売電収入による金銭的な利益が得られる、といったメリットがある。しかし、実際には全ての集合住宅で期待していたような結果が得られるとは限らない。屋根が太陽光発電の設置に適しておらず、採算が取れない可能性もあるのも事実だ。

集合住宅で太陽光発電を設置する場合、採算を取るためには屋根の形状や広さ、その他の条件を詳しく検討する必要がある。そのためにも、住宅の専門家ではなく、太陽光発電の専門家に現地調査をしてもらうことが必須といえよう。

初期費用を抑えるという意味でも、タイナビNEXTの一括見積を利用し、必ず複数社の相見積もりを取って検討することをおすすめする。