太陽光から電気を生み出すための太陽光パネル(ソーラーパネル)には、さまざまな種類があることを知っていますか? 価格の安さだけで選ぶと、必要な発電量が得られずに投資費用をムダにしてしまうことも起こりえます。
発電システムの要となる太陽光パネルを適切に選ぶには、素材や製法ごとの特徴を把握しておくことが大切なのです。
この記事では、太陽光パネルの種類や特徴を中心に詳しく解説していきます。記事を読むことで太陽光パネルの種類を理解できるので、ニーズに合う最適なモジュールを選べるでしょう。
太陽光パネルの種類
太陽光パネルの素材は、大きく4つに分けられます。
- シリコン系
- 化合物系
- 有機物系
- 量子ドット系
そのなかで、現在主に流通しているのはシリコン系と化合物系です。
シリコン系は最も一般的で、太陽光発電が開発された当時から使われている素材です。シリコン系は、さらに単結晶、多結晶などに分類することができます。結晶状態の違いや、ほかの原料と合わせて使うなど、多種多様な製品が開発されてきました。
有機物系と量子ドット系は、研究段階にあるものの、素材の持つメリットを活かした製品づくりが進められています。実用化に向けた将来性に大きな期待を持てる素材です。各素材についての特徴は、次の段落で詳しく紹介していきますので基本を押さえておきましょう。
太陽光パネルにおける素材ごとの特徴
太陽光パネルの素材について、種類別の特徴や発電効率を表にまとめました。
素材 | 発電効率 | 特徴 | |
---|---|---|---|
シリコン系 | 単結晶 | 〜20% | 最も歴史があり世界中で 生産されている |
多結晶 | 〜15% | 低コストで現在主流である | |
アモルファスシリコン | ~10% | 多結晶よりも低コスト | |
ハイブリット | ~21% | 単結晶と アモルファスシリコンを 組み合わせたもの | |
化合物系 | CIS | ~14% | 銅、インジウム、 セレンを原料とする |
CdTe | ~15% | 海外でよく使用されている | |
有機系 | 有機薄膜 | ~10% | 有機半導体を原料とする |
色素増感 | ~ 11% | 光を吸収する色素で発電する | |
量子ドット系 | 〜13% | 理論上の変換効率が高い |
シリコン系
【単結晶シリコン】
他の素材に比べて変換効率が高く安定性があり、信頼度が高いのが特徴です。見た目がきれいでデザイン性にも優れているメリットはありますが、コストは高くなります。
【多結晶】
導入コストの高さを抑えるために開発された、シリコン結晶の集合体です。発電効率は単結晶に比べて落ちますが、コストとのバランスがよいというメリットがあります。
【アモルファス】
多結晶よりも低コストです。
高温環境でも出力低下が少なく、面積の大きい太陽電池を容易に作ることができます。
【ハイブリッド】
単結晶とアモルファスシリコンを組み合わせて、2つの長所を引き出すように製造された素材です。単結晶よりも高効率、高温環境でも出力低下が低いのが特徴で、日射量の多い場所に設置すると効果的です。
化合物系
【CIS】
シリコン系よりも天候に左右されにくく、直射日光に当たること出力が一時的に向上するのが特徴です。低コストのため、これから主流になる可能性が高いと考えられています。
CIS太陽光パネルの最大の利点の一つは、シリコンを一切使用しないことです。これにより、原材料の供給不足による影響を受けにくく、安定して製品を供給できるというメリットがあります。
さらに、結晶シリコン系と異なり、CISパネルは黒色の素子を使用しているため、太陽光の吸収率が高まり、効率的なエネルギー変換が可能となっています。
【CdTe】
海外で頻繁に使用されていますが、国内では現在製造されていません。製造コストが安く、薄膜化で資源を有効活用できるのがメリットです。
有機物系
【有機薄膜】
研究段階にある素材で、実用化されれば低コスト化が期待できます。また、パネルが薄くて軽いため、自由に曲げることや着色が可能といわれています。
【色素増感】
現在では研究段階にあり、安い材料で製造できることから低コストのパネルとして期待されている素材です。色素の色を選べるため、デザイン性にも優れています。
量子ドット
現在研究段階にあり、理論上では発電効率が75%とされています。他の太陽光電池よりも変化効率が非常に高いので、現在最も注目されている素材です。実用化されると、より高い断熱効果も期待できます。
太陽光パネルを選ぶときのポイント
いろいろな素材の製品がある太陽光パネルは、ポイントを押さえておくと選びやすいでしょう。
選ぶ際には、主に「コスト」や「発電量・発電効率」のバランスを考えて検討するのがおすすめです。
例えば、コストを安く済ませたいなら、多結晶シリコンが向いています。多結晶シリコンは単結晶シリコンよりも価格が安いのですが、耐久性などは変わらないとされている素材です。
また、設置場所によって必要な工事が変われば、それに伴いコストも変動します。どこに設置するのかも加味しながら選びましょう。自社にとって最適な太陽光パネルを選ぶには、素材のメリットだけでなく、デメリットや工事費用なども踏まえながら選ぶことが大切です。
おすすめの太陽光パネルは?
ここまで、太陽光パネルには素材によって異なる性質を持つ製品であることを紹介してきました。最後に、注目が集まっている太陽光パネルについて、特徴やメリットなどを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
高出力は「HTソーラー(Haitai New Energy)」
太陽光パネルメーカーのHTソーラーが開発した「TARZAN(ターザン)」シリーズは、世界最大クラスとなる440Wの出力での量産に成功しました。
2017年から研究を進め開発・発売されたもので、高出力の多結晶タイプと単結晶タイプの2種類があります。
- 高出力多結晶タイプは、メガソーラー発電所など多様な場面に対応できるのが特徴です。
- 一方、高出力単結晶タイプは、敷地面積の狭い発電所や強度に不安がある屋根などに向いています。
独自の技術により、高出力だけでなくホットスポットや日陰での出力低下を防止する効果が期待できるとしています。結晶タイプのセルを使うことで、コストを抑えている点も特徴といえるでしょう。
軽量型は「東洋アルミニウム」
東洋アルミニウムの「Hane® Module」は、コンパクトな作りのうえに、重さが従来品の2分の1と軽量であることが最大の特徴です。
一般的な太陽光パネルの重量は約12kg/㎡ですが、「Hane® Module」は6kg/㎡まで軽量化を実現しました。「羽のように軽い」ということから「Hane」と名付けられているほどです。
非常に軽量なので、これまでは耐荷重の課題から設置が難しかった工場や、古い建物などの屋根にも設置が可能とされています。
屋根だけでなく、大型の施設やビルの壁などにも設置すれば、多様な使い方ができるパネルとして重宝するでしょう。軽量化だけでなく出力性能にもこだわっているため、高出力を実現している点も魅力です。
両面ソーラーは「パナソニック」
両面ソーラーはパネルの表面だけでなく裏面からの光にも対応できるため、高効率で大きな発電量を得られるという特徴があります。
地面からの反射光の太陽光も取り入れて、より多くの電気を発生させる仕組みが開発されました。
雪面などから反射した光を得られるので、積雪地帯や水辺などは両面ソーラーの設置が向いているでしょう。また、地表が白い場所でなくても、地表を白く塗ったりするだけでも発電量に違いを生むことができます。
両面から光を得られるので、パネルの向きにこだわる必要もなく、ほぼ全方位で光を得られるのがメリットです。例えば、標準タイプで年間4000〜8000kWhのところ、パナソニックの両面ソーラー「HITダブル」では、垂直設置で年間約10000kWhの発電量を得られます。
太陽光パネルの種類を理解して最適なものを選ぼう
太陽光パネルの種類にはシリコン系や化合物系など多くの種類があることを説明してきました。有機系など研究段階にある素材については、進行状況を随時チェックして最新の情報を収集しておくことも大切です。
実際にパネル選びをする際には、複数の販売施工店を比較して検討できるサービス「タイナビNEXT」を活用すると効率よく見積もりができます。
時間をかけなくても、ニーズに合わせた太陽光パネル選びができるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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