自家消費型太陽光の補助金

電気を大量に消費する法人事業者が太陽光発電の導入により自家消費をする流れが急激に加速しています。

電気代の節約や災害対策として、自家消費型太陽光発電の導入を検討している法人も多いことでしょう。導入の前には、設備費や工事費などの予算についても検討しなければなりません。

導入費用をできるだけ抑えるには、国からの補助金制度や優遇税制(中小企業強化税制)について把握しておく必要があります。

この記事では、国や地方自治体などが行っている補助金制度や優遇税制について、直近の事例をまとめました。自家消費型太陽光発電の設置を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

2023年は国による補助金と税制優遇を活用できる?

税制優遇

2022年度は国による太陽光発電や蓄電池に対する補助金・助成金が環境省より出ていましたが、2023年度はどうでしょうか?

2023年度も令和4年度の補正予算・令和5年度本予算という形で補助金が既にスタート中です。

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)

太陽光発電設備等の価格低減促進事業

本補助金(名称:令和4年度(第2次補正予算)および令和5年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)は、国が目指すストレージパリティの達成に向けて自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入する経費の一部を補助する事で、地域の再エネ主力化とレジリエンスの強化を加速して、2050年のカーボンニュートラルの実現に近づける事が目的となります。

2022年度予算は164億でしたが、2023年度は概算要求で200億円となっております。

昨年よりも予算が増えそうですが、蓄電池の導入が必須となる見込みです。具体的なの補助金情報です。

2023年度(令和4年度補正予算・令和5年度本予算)の公募期間

  • 一次公募:2023年3月31日(木)~2023年4月28日(金)【厳守】
  • 二次公募:2023年5月15日(月)~2023年6月30日(水)【厳守】
  • ※令和4年度補正予算終了後は本予算に移行し、公募期間が延長される見込み

2023年度の補助額

  • 太陽光発電設備 定額(4 万円/kW)
  • 定置用蓄電池(業務・産業用) 定額(5.3万円/kWh)
  • 車載型蓄電池 定額(蓄電容量 (kWh) の2分の1に4万円を乗じて得た額)

2023年度の補助条件

  • 自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池等の導入が前提
  • 停電時にも必要な電力を供給できる機能を有する太陽光発電設備等を導入をする事
  • 導入する太陽光発電設備の太陽電池出力が 10kW 以上

本補助金は、余剰電力を含め、FIT(固定価格買い取り制度)や FIP (Feed inPremium) 制度の適用を受けて売電はできません。

また、蓄電池のみの申請はできません。

中小企業は太陽光発電の設置で優遇税制(中小企業強化税制が2025年まで延長)が受けられる可能性もあります。

たとえば、「償却資産税に対する特例措置」は、青色申告をしている法人や個人事業主が対象の優遇税制です。このような制度が公募されていることを知り、条件などを詳しく把握しておく必要があります。

太陽光発電への補助金制度は、地方自治体や地方公共団体が実施しているケースがあります。設置場所の自治体で、自家消費型太陽光発電を対象とした補助金や助成金制度を確認しておきましょう。

太陽光発電・蓄電池関連-地方自治体補助金制度

自治体補助金制度

この項では、地方自治体が行っている補助金制度について紹介します。全国の一部ですが、東京都や埼玉県、大阪府、兵庫県の各自治体について直近の事例をまとめました。

東京都内の民間事業者が対象の補助金

東京都の補助金制度として「地産地消型再エネ増強プロジェクト事業」が2020年(令和2年)から始まりました。これは、都内の再生可能エネルギーを推進するために開始された、民間事業者による地産地消型事業です。

都内設置、都外の東京電力管内への設置も対象です。2023年も継続中であり、令和5年度の予算額36億2,175万円を超えた時点でストップとなります。

詳細な最新情報については東京都の公式サイトを確認してください。
公式サイト:https://www.tokyo-co2down.jp/wp-content/uploads/2022/10/saienedounyushien_guide_0410.pdf

申請条件

  • 太陽光発電の施設、消費場所がともに都内・都外(東京電力管内)である
  • 固定価格買取制度の設備認定を受けない設備

対象設備

  • 再生可能エネルギー発電等設備(太陽光発電など)
  • 蓄電池設備設備
  • 再生可能エネルギー熱利用設備(太陽熱利用など)

設置場所(都内・都外)

  • 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、静岡県(富士川以東)

対象事業者

  • 都内に地産地消型の再生可能エネルギー発電等設備
  • 再生可能エネルギー熱利用設備を設置する民間事業者
    (民間企業、学校法人、公益財団法人、社会福祉法人等)

補助金額

  • 中小企業等は助成対象経費の3分の2以内で上限1億円
    (国等の助成金と併給する場合でも合計3分の2以内)
  • その他は助成対象経費の2分の1以内で上限7500万円
    (国等の助成金と併給する場合でも合計2分の1以内)

募集期間

2020年度(令和2年度)から2023年度(令和5年度)
令和5年度の予算額36億2,175万円に達成した時点で応募は終了となりますのでご注意ください。

補助金の対象になる設備や算定方法などの詳細については、公募要領を参照する必要があります。最新情報については東京都の公式サイトを確認してください。
公式サイト:地産地消型再エネ増強プロジェクト

神奈川県内の中小企業を対象とした補助金

中小企業を対象とした補助金

神奈川県では、県内の中小企業を対象に「令和5年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金」を設けています。この補助金は「かながわスマートエネルギー計画」の一環として、地域を中心とする分散型エネルギー体系を構築することが目的です。

これにより再生可能エネルギーを推進し、安全で安心なエネルギーの安定供給を目指すとしています。

対象事業等

  • 発電出力が10kW以上の太陽光発電
    (太陽電池モジュールの日本工業規格等に基づく公称最大出力の合計値、またはパワーコンディショナーの定格出力合計値のうち低いもの)
  • 蓄電池
  • 風力発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱・バイオマス発電

対象事業者

  • 法人もしくは青色申告の個人事業主
  • リースの場合はリース等事業者

補助対象経費

自家消費型の再生可能エネルギー発電設備の設置費用

蓄電システム等の設置費用

補助金額

発電出力に1kW当たり6万円を乗じた額、または補助対象経費の合計額に3分の1を乗じた額のうち合計額が低いもの

蓄電システム台数に1台当たり15万円を乗じた額

期間

2024年(令和6年)2月29日(木曜日)まで
※予算額に達すれば募集は終了しますのでご注意ください。

補助金の条件と詳細は神奈川県の公式サイトで確認してください。本契約と申請手続きをする前に、最新情報をチェックすることをおすすめします。
公式サイト:令和5年度神奈川県自家消費型再生可能エネルギー導入費補助金

大阪府池田市の太陽光発電システム設置費補助制度

太陽光発電システム設置費補助制度

大阪府池田市では、「太陽光発電システム設置費補助制度」として次のような補助事業を行っています。

補助金の対象となるのは、市内の店舗や事務所、工場などに太陽光発電システムを設置した事業者です。また、太陽光発電システムが設置された建物を購入した事業者に対しても補助金が交付されます。

補助金の申請は受付順に受理され、予算がなくなれば受付を終了するので、早めに準備を進めることが大切です。補助事業の最新情報は、大阪府池田市の公式サイトを確認してください。

兵庫県篠山市で行っている事業者向けの補助金制度

事業者向けの補助金制度

兵庫県丹波篠山市では、新エネルギーの促進のため、市内の事業者向けに太陽光発電システムの設置費用に対する補助金制度を行っています。この制度は、「新エネルギー・省エネルギー普及促進補助金」として公募されています。

  • 補助金額:10kW未満の太陽光発電システムの場合1万円/kW(上限5万円)
    ※ 1kW以上の蓄電池の場合5万円(上限5万円)
  • 対象:補助対象経費の合計額が、税込みで100万円以上となる事業
  • 募集期間:令和5年4月11日(火曜日)~令和6年3月8日(金曜日)まで
  • 公式サイト:令和5年度スマートエネルギー導入補助金のご案内

制度には7つの補助対象項目が設けられ、対象設備のうち2項目以上設置する必要があります。詳細や最新情報については、丹波篠山市の公式サイトを確認しましょう。

そのほかの自治体で実施している補助金制度

補助金制度

事業所向けに太陽光発電・蓄電池システムの補助金制度がある自治体の事例の一部を以下の表にまとめました。

2023年度は個人・法人ともに、多くの自治体で補助金が開始されております!

自治体名事業名補助対象補助金額募集期間
新潟県令和5年度 新潟県再生可能エネルギー設備導入促進事業補助金新潟県内に事業所を置く法人等設置費用の3分の1(上限500万円)公募開始~2024年(令和6年)3月29日
宮城県石巻市太陽光発電等普及促進事業補助金石巻市内の事務所等事業者の場合は2万円/kW(上限20万円)令和5年4月3日(月曜日)から令和6年3月15日(金曜日)
愛媛県松山市太陽光発電システム設置補助金松山市内の法人等2万円/kW(上限10万円)2023年4月1日から2024年3月31日

県や市、さまざまな自治体が補助金制度を行っています。まずは、太陽光発電を考えている場所が属する自治体で最新情報をお探しください。

以上の補助事業の最新情報については、下記に添付する公式サイトを確認してください。

新潟県:再生可能エネルギー発電設備導入促進事業補助金

宮城県石巻市:太陽光発電等普及促進事業補助金

愛媛県松山市:令和5年度 太陽光発電システム設置補助金(新)

なぜ自家消費型太陽光発電に補助金が出るのか

自家消費型太陽光発電は、太陽光発電設備で発生した電気を自社の事業や家庭で使うことです。すべての電力を消費する完全自家消費型と、一部の電力需要をまかなった上で不足した電気を電力会社から買う方法もあります。

どちらの使い方をしても、従来よりも電気代を削減できるのが自家消費型太陽光発電の大きなメリットです。

再生可能エネルギー

それだけではなく、自家消費型太陽光発電は太陽光という再生可能エネルギーを活用しているので、火力発電などの化石燃料と違い、環境に優しいという特徴もあります。

そのため、多くの地方自治体では自家消費型太陽光発電に補助金を設けて、民間企業や家庭が再生可能エネルギーへの転換を図れるように推進しています。世界中が再生可能エネルギーへの転換を目指すなかで、自然な流れといえるでしょう。

CO2削減が暮らしと事業の持続につながるから

自家消費型太陽光発電でCO2削減

世界的な規模で工業化が進むにつれ、大気汚染や地球温暖化の問題が大きくなっています。そのなかで太陽光発電は、CO2を排出しないエコな発電方法として注目されています。

CO2などの温室効果ガス排出は地球温暖化につながるため、太陽光などの自然エネルギーを活用してCO2を減らしていかなければなりません。

地球温暖化によって、異常気象や海水面上昇、生態系が変わってしまうなど多くのデメリットが生まれます。

CO2の排出量がこのまま増え続ければ、気候変動による農作物の減少から経済的な損失まで、悪影響は多岐に渡るでしょう。つまり、ビジネスの観点で言っても、CO2削減は世界規模で早急に取り組むべき課題なのです。

温暖化対策はビジネスの世界で進行している

温暖化対策でCO2削減

石油や石炭のような従来の化石燃料を利用する発電方法では、再エネを用いるよりも多くのCO2が排出されてしまいます。

太陽光発電を採用し活用するなら、環境に配慮した運営を行うエコな企業とアピールできるメリットも得られます。

世界中で進行しているCO2削減への取り組みに賛同し、努力している企業だというイメージアップにつながるでしょう。これは、ただの印象にとどまりません。これからの世界では、こうしたイメージアップがビジネス面での重要な判断指標になります。

今から始める太陽光発電は自家消費型がおすすめの理由

太陽光発電は自家消費型がおすすめ

自家消費型太陽光発電は、従来の化石燃料などよりも環境への負荷が少ないと評価されています。また、再生可能エネルギーへの転換を図っている点を評価されるため、企業のイメージアップにもつながるという面があります。

それだけでなく企業にとってもプラスになるポイントがいくつもあります。

この項では、仮に補助金がなかったとしても自家消費型太陽光発電がおすすめの理由について詳しく説明していきますので参考にしてください。

太陽光発電の売電価格は下がっている

太陽光発電の売電価格は下がっている

太陽光発電で得られた電力は、売電価格が一定期間固定されるFIT制度があるため、制度が定めた期間中は売電価格が保証されています。

FIT制度は終了することなく2023年も維持されていますが、単価は毎年下がっており、50kW以上250kW未満の設備に対しては3割以上の自家消費や、地域の非常用電源として活用するなどの条件がつくこととなりました。

これは、発電した電気を売る投資よりも、自分の家や設備で太陽光発電を活用して欲しいという国内の再エネ戦略の流れが現れています。

さらに、FIT制度による売電価格自体が、年々下がっているという現状もあります。その分の太陽光発電設備にかかるコストも下がっていますので、投資回収の難易度はいつ設置しても変わりません。

自家消費を目的として太陽光発電を導入すると、低コストで電気代の節約ができるようになります。

電気料金は上がっている

電気料金は上がっている

FIT制度による売電価格は下落している一方で、電気代が年々上昇しているのはなぜでしょうか。これにはいくつもの原因が作用しています。

ひとつには、燃料価格が値上げされていることが挙げられます。火力発電や原子力の発電燃料価格は2021年度から上昇傾向にあるため、燃料費が増えた分が電気料金値上げに影響しているといえます。

東日本大震災以降は、原発の不在分を補うために火力発電が増えています。これも、燃料費増加の一因です。

さらに今は火力の燃料が高騰している事で更に電気料金が上がっています。長期的には原子力発電所は一部が再稼働する一方で廃炉も進んでおり、放射性廃棄物の処分費用や安全対策費用などが料金に転嫁されてきます。

また、再生可能エネルギーにかかるコストも電気料金の値上げにつながっています。これは「再エネ賦課金」として企業や一般家庭が負担しているもので、原発の停止以降には上昇幅が大きくなってきました。

2023年時点では1円40銭/kWhとなっており、毎年3月ごろに更新されます。当分の間は値上がりが続き、2030年には6円~8円/kWhまで上昇すると見込まれています。

自家発電した電気を使うときは、この再エネ賦課金を支払う必要はありません。さまざまな理由で高騰する電気代対策のためにも、太陽光発電の自家消費は有効です。

自家消費型太陽光発電は電気料金プランにも良い効果

電気料金プラン

とくに高圧の電力で契約している事業者様や施設には、自家消費型太陽光発電が効果的です。電気料金プランそのものを安くし、光熱費を根本から改善する効果をもつからです。

太陽光発電で得られた電力を自家消費すると、電力使用量が大きい日中ピーク時の購入電力量を抑制できるでしょう。これが、実量制の契約では基本料金の引き下げに繋がります。

もちろん、太陽光発電で自家消費すれば電力会社から購入する電気の量が大幅に減ります。そのぶんも電気料金の支払額を減らせます。
当然、電気代の値上がりの影響を受けなくなります。

太陽光発電で自家消費している事業者

売電価格よりも電気料金が高くなり続ける現状が続くなら、太陽光発電で得た電気を事業などに使ったほうが得になります。

高い電気料金を支払うよりも、太陽光発電で得られた電力を自家消費するほうが大きな光熱費削減につながります。

不安定な世界情勢により燃料調達にかかるコストが上がることも予測され、今後も電気料金は年々上がる可能性が高いでしょう。自家消費型太陽光発電は、以上のような課題を踏まえるとコストダウンにつながるおすすめの方法です。

中小企業等経営強化法による税制優遇も活用できる

中小企業等経営強化法

経済産業省の中小企業等経営強化法による税制優遇の一つに、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)」があります。

これは、再生可能エネルギー設備を取得した事業者に対し、再生可能エネルギー発電設備に対する固定資産税を軽減するものです。

過去の中小企業経営強化税制についてはこちらで解説しています。

中小企業経営強化税制についてはこちら

2023年3月まででしたが、最近の発表でさらに2年間延長され2025年3月までとなりましたが、認定までにかかる時間を考慮して早めに申請するのがおすすめです。

この特例措置は自家消費型太陽光発電が対象で、税額控除または即時償却が可能になります。税額控除を受ける場合は、買付金額に対して10%の税額が控除されます。

法人のみが対象で、資本金は3000万~1億円です。7%までの税額控除が受けられますが、年度の法人税額と所得税額の20%が上限とされているので注意しましょう。

即時償却の場合は、太陽光発電設備にかかった費用をその年に全額経費として計上できます。通常は設備費をまとめて計上できない「減価償却」ですが、即時償却することにより購入した年度の税負担が軽くなります。

制度の最新情報は、公式サイトを確認してください。

補助金や税制優遇を積極的に活用しよう

自家消費型太陽光発電を導入

自家消費型太陽光発電を導入する際には、国や地方自治体が行っている補助金や税額控除をチェックして積極的に活用しましょう。

太陽光発電の設置投資にかかる費用をできるだけ安く抑えるなら、一括見積りの利用も欠かせません。自家消費用・売電用の産業用太陽光発電を導入する場合は、タイナビNEXTの無料見積りを利用してください。