産業用太陽光発電の導入費用はいったいどれくらいかかるのでしょうか?一般的な導入費用について解説いたします。また、自家消費型太陽光発電と、投資型太陽光発電で、導入費用がどれくらいの期間で回収できるのか、投資シミュレーションをいたします。
2024年度(令和6年度本予算)の補助金の正式発表はまだされておりませんが、経産省全体の概算要求は昨年よりも8000億も多い状態であり、環境省の「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」に対する概算要求額も昨年の約40億円の4倍以上である193.37億円が概算要求として出ている状態です。補助金情報が確定次第、情報を更新します。
初期費用の内訳
システム費用は、設置できるパネル枚数によりますが、設置する場所が一緒であれば、電力会社に支払う系統連系負担費用以外は、投資型も自家消費型も内訳や金額は変わりません。
電気料金高騰中の今は、投資型ではなく自家消費型で太陽光発電を設置する方が大半の状況です。。
初期費用の内訳は主に以下となります。
【シミュレーション】自家消費型の場合
自家消費型太陽光発電の場合は、太陽光発電設備に蓄電池システムを導入した場合でシミュレーションいたします。
初期費用の回収年数を求めるにあたり、自家消費型は投資型と異なり、毎月の電気料金の削減額を元に計算します。
まず、太陽光発電設備・蓄電池導入費用および蓄電池の性能については以下とします。
太陽光発電システム容量 | 460kW(パワコン容量) |
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年間予想発電量 | 510,000kWh |
蓄電池容量 | 100kW |
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蓄電池出力 | 29.7kW |
パワコン出力 | 40kW |
契約最大需要電力削減値 | 40kW |
機器・工事費用(税込) | 8,040万円※1 |
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補助金 | 2,370万円※2 |
初期費用総額(税込) | 5,670万円 |
次に、契約している電気料金プランおよび太陽光関連設備の導入前の電気機料金については以下とします。
基本契約電力 | 600kW |
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電気料金単価 | 32.00円/kW※ |
※国の電気料金激変緩和措置の値引きを考慮しておりません。
契約電力 | 32.00円/kW |
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年間基本電気料金 | 13,773,600円 |
年間電力使用料金 | 35,041,844円 |
年間電気料金の合計 | 48,815,444円 |
ここから、初期費用の回収年数を計算していきます。
太陽光発電設備と蓄電池を導入したことによりピークカットが行われ、契約最大需要電力が下がり、年間基本電力料金が下がります。
契約電力 | 600kW → 560kW(-40kW) |
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①年間基本電力量削減 | -91.8万円 |
②年間電力使用料金削減 ※自家消費率100%の場合 | -1,632万円 |
①+②年間電気料金削減合計 | -1,723万円 |
太陽光発電設備を導入し、蓄電池を導入すると、電気料金が年間1,732万円も削減できました。
最後に、補助金差し引き後の初期費用総額(5,670万円)を、電気料金削減額で割ると、初期費用の回収年数が算出されます。
■初期費用の回収年数
5,670万円(初期費用総額)÷ 1,732万円(年間の電気料金削減額)= 3.3年
およそ3.3年で初期費用が回収可能となりました。
2023年は電気料金がかなり高騰している影響により、投資回収期間はより短くなっております。今後、更に値上がりが継続すればより短い投資回収期間が見込まれる可能性もあります。
※本シミュレーションは、2023年5月現在の燃料調整費用を採用しております。あくまでも自家消費率100%での例になりますのでお客様の物件の電気料金単価・電気使用料及び電気の使い方でシミュレーションが大きく異なります。ご契約前には必ずシミュレーションを設置物件毎に販売企業様より作成してもらう事が重要です。
【シミュレーション】投資用の場合
投資用太陽光発電の場合、補助金がおりませんので、初期費用総額からは引かれません。また、投資用の場合は、蓄電池システムの導入はありません。
以上を踏まえ、下記の初期費用で回収年数を算出いたします。
なお、連系負担金については約120万円で計算いたします。
設置容量 | 約400kw |
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メーカー | JAソーラー 325Wのパネルを使用 |
枚数 | 1230枚(高圧過積載) |
機器・工事費用 | 約54,800,000円 |
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連携負担金 | 約1,200,000円 |
初期費用総額(税込) | 約56,000,000円 |
また、FIT単価については、2023年度のFIT単価9.5円で計算し、発電容量については、既出の通り年間約517,223kWhとします。
- 9.5円(2023年度)
- 年間約517,223kWh
上記の条件を元に、初期費用の回収年数を算出いたします。
■初期費用の回収年数
初期費用総額 ÷ 売電収入 = 初期費用回収年数
56,000,000円 ÷(9.5円×517,223kWh)= 約11.4年
高圧用太陽光発電の場合でも、現在、過積載が主流となっています。過積載とは、パワコンの容量を超えて太陽光パネルの容量を多く載せることです。過積載にした方がメリットが高くなり、投資回収年数は短くなります。詳しく知りたい方は、以下のページをご確認ください。
自家消費型・投資用、どちらがおトク?
2023年は、自家消費型(補助金活用モデル)、投資用太陽光発電の初期費用の回収シミュレーションをした場合、自家消費の場合は約3.3年となり、投資の場合は11.4年で初期費用を回収可能です。2024年5月には国の電気料金に対する補助が終了します。
しかし、自家消費型の場合は契約中の電気料金の契約プラン・契約単価や、自家消費率、電気使用量に応じて節約できる電気代が大きく変わります。また、蓄電池の容量やデマンドコントロール機能などにも左右されます。
電気料金が高騰中の今は、電気は売電せずに蓄電池などに貯めて自家消費する事をお勧めします。蓄電池に対しては2024年度も補助金が出ることが見込まれております。