太陽光発電BCP対策

2011年の東日本大震災がもたらした未曾有の被害は、企業のリスク管理に影響をもたらした。その一つが、BCP対策(事業継続計画)である。

事業継続のために対策するべきポイントはいくつもあるが、中でも電力確保は重要な課題のひとつだ。これまで起こった災害でも、広い範囲で電力供給がストップしている。完全復旧まで1週間以上かかるなど、長期にわたるケースも多い。

そこで今回は、災害時の電源確保が事業継続に与える影響と重要性、非常時に電力を調達する方法として太陽光発電を取り入れている企業の実例などを紹介する。

BCP対策取り組みの重要性

BCP対策(事業継続計画)とは、非常時の被害を最小限にとどめ、事業の継続と早期復旧を目指すための取り組みだ。震災や豪雨、テロなどの緊急時にどのようにして事業を継続するか、その手段や方法を取り決めた計画のことである。

2011年3月11日の東日本大震災では、企業の倒産や事業縮小が相次いだ。帝国データバンクの資料によれば、倒産の原因のうち3割が地震による直接被害、7割が間接的被害である。

自社に被害がなくても、得意先や仕入先が被災したり、親会社が倒産したりして経営不振に陥ってしまう。こうした間接的被害を防ぐために、取引先に対してBCP対策を求める企業も出てきた。

メーカーがサプライヤーにBCPの策定を要求するなら、応じる企業の方がビジネスチャンスを得られるだろう。日本全国で災害の可能性がある今、どの企業も無関係ではいられない。緊急事態による企業リスクを最小限に抑えるため、BCP対策に向き合わなければならない。

では、実際に何をするべきなのか。対策するべき要素は多岐に渡るが、ここでは電力などのインフラを中心に、実際の被害傾向を見ていこう。外部との通信手段となる電力は優先度が高い。

まず、どれほどの期間、電力不足に陥るかを知ることから情報収集を始めよう。

災害時の電気は復旧に時間がかかる傾向

大規模災害が起きた近年、広い地域でライフラインが止まった。特に規模が大きかった災害について、電気をはじめとするライフラインが復旧するまでの具体的な日数を振り返ろう。

2018年6月28日に発生した西日本豪雨

月をまたいだ7月初旬にかけて広い地域で大雨が降り続いた。このとき止まったのは電気と水道。停電期間は1週間、水道の停止期間は1カ月以上にもわたる。ガスの停止はなかった。

2016年4月14日 最高震度7を記録する熊本地震

停電と水道停止の期間はそれぞれ1週間、ガス停止は2週間。

2011年3月11日 東日本大震災

停電が1週間、水道の停止期間が3週間、ガスの停止期間に至っては5週間にも及ぶ。

蓄電池は復旧まで保たない

停電は復旧まで1週間かかる傾向にある。送電線の破損や点検が終わるまでは、電力会社の電気が使えないと見て準備しておくことが求められるだろう。対策法として蓄電池が挙げられるが、復旧より先に電気を使い果たせば、電力不足に陥ってしまう。

電力会社から電気が届かなくても、自前で電力を調達できるシステムが必要だ。化石燃料で発電するシステムも使えるが、燃料がなくても使える太陽光発電も有用だ。

BCP対策の強化に太陽光発電が使える理由

BCP対策強化太陽光発電

太陽光発電なら電力の自給自足が可能だ。災害や計画停電など、電力会社からの送電が止まったときの保険として使える。実際にどのようなシーンで活用できるのか、BCPの観点から解説しよう。

外部との通信手段として電源を確保できる

地震災害では、外部との通信手段の維持が重要だ。災害直後は、被害状況の把握や従業員への安否確認が必須になる。電話やメール、インターネットの利用は、平常時以上に増えるだろう。

だからこそ、通信端末の利用に電力は欠かせない。災害直後、ライフラインが復旧するまでの1週間程度は、予備電源の確保が必要だ。

太陽光発電はもちろん蓄電池も併用すれば、昼間の余剰電力を夜間に回せる。緊急時の通信手段の維持は、業務再開に向けた指示や取引先への連絡のためにも重要だ。事業の早期復旧だけでなく、取引先や顧客との信頼関係の維持にもつながるだろう。

事業の早期再開を目指すことができる

太陽光発電のメリットは、電力会社からの送電が止まっても、電源の確保ができる点である。太陽光発電システムがあれば、電気の復旧が遅れても企業活動を完全停止せず、可能な範囲で業務の遂行が可能だ。

たとえば、工場なら生産ラインを止めずに作業ができるし、スーパーならその場にある商品だけで臨時的な営業を続けられる。災害時でも営業を行えれば、地域住民への貢献にもなるだろう。完全にストップせずに業務を進めることで、事業の早期再開が可能だ。

取引先や顧客へ安心感を与えることができ、企業に対する信頼も得られる。

太陽光発電をBCP対策に利用している企業の事例

BCP対策企業事例

すでに、太陽光発電をBCP対策に利用している企業がある。その実例として、大阪ガスと新京成電鉄の取り組みを紹介しよう。

大阪ガス

大阪ガスは、神戸市内にある地上3階建ての自社ビルで、BCP対策としてエネルギー供給システムの運用を行っている。自社ビルの延べ床面積は2000平方メートルと小規模だ。

太陽光発電システムとガスヒートポンプを利用した省エネ設備を組み合わせている。仮に、停電が1日以上続いても、自社の電気機器にエネルギーを供給できる。

大阪ガスでは2013年12月~2014年1月の2カ月間、複数の省エネ設備を組み合わせて、自社ビルでの試運転を実施。その結果、一般のオフィスビルと比べて、約40%もエネルギー消費量を削減できることがわかった。

この実績をもとに大阪ガスでは、BCP対応の設備を企業や自治体に普及させている。

新京成電鉄

新京成電鉄は、2014年8月からBCPの運用を開始した。災害時は太陽光発電と蓄電池で電力の自家消費を行う。あわせて電気自動車(EV)も活用する予定だ。停電時は太陽光発電から給電を行い、余剰電力は蓄電池に貯める。

夜間は蓄電池から給電して自家消費するとのこと。万が一、蓄電池の電気が尽きたら、2台の電気自動車からも給電する。

これらの仕組みによって、3日間は災害対策本部の本社機能を維持できる見通しだ。さらに、グループ会社も含めた約1000人分の備蓄も用意。顧客や従業員の安全性を重視したBCPを策定している。

企業の取り組み進むBCP対策!太陽光発電の導入が重要なポイント

これまでの災害事例からもわかる通り、BCP対策には電源確保の備えが必須だ。特に、大規模災害では電力の復旧までにおよそ1週間はかかる。従業員の安否確認、取引先への連絡などに使う通信手段の調達も欠かせない。

早期の事業再開はもちろん、取引先の信頼を得る意味でも、企業の電源確保は非常に重要だ。太陽光発電はBCP対策に欠かせない設備である。

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