老人ホーム

地球温暖化問題が深刻化する情勢の中で、老人ホームの省エネ対策を検討している施設も多いことでしょう。

とくに2023年は世界全体の電気料金がすさまじい勢いで値上りしています。

体調管理に必要な電力を省略することはできません。あくまでも、今と同じように電気を使いながら、電力コストとCO2排出量を削減するシステムをお探しではないでしょうか。

そこで、本記事では老人ホームでの太陽光発電システム・蓄電池等の導入が増えている理由について解説します。

2023年も大規模な補助金が予定されていますので、税制優遇と合わせてご確認ください。

健康維持が重要な福祉の電気も負担増の背景

電気代を節約しようにも、入居者の健康を考えれば闇雲な節電テクニックは難しいですよね。今からでも経営状態の悪化を食い止めるため、なるべく電気を買わない自家発電スタイルへの移行を考えるべき理由があります。

東日本大震災による発電事情の変化は、電気料金に反映されています。

また、世界が脱炭素化に向けて急激にシフトチェンジしている中でロシアに対する経済制裁により、LNG・原油といった火力発電の燃料が高騰している背景があり、日本中の電気が右肩上がりに増加中です。特に円安の流れより、更なるコスト増が見込まれております。

ベースロード電源としての原発を控えたことで火力発電が増加し、それによる燃料コスト増。そして、再エネへの転換コストが加わっているからです。

電気料金の値上がりは今後加速的に続く

東日本大震災の前後で比較して、すでに約21%も値上がりしている電気代は、2021年冬頃からは天然ガスの危機・ロシアへの経済制裁でさらに高騰しています。しかし、まだ終わりではありません。今後は廃炉費用なども国民負担に反映される可能性が高まっています。

こうした負担金は、今までの傾向から言えば電気の使用量(電力会社からの購入量)が多い利用者に重い負担がかかります。24時間ずっと空調をコントロールしたい老人ケアの現場にずんと重くのしかかる問題なのです。

太陽光発電の導入コストは減少

太陽光発電の電気料金が0円といっても、システムの費用が気になるところでしょう。

事業用太陽光発電システムの導入コストは、太陽光パネル・パワコン・設置工事費などが挙げられます。

これらの導入コストの平均値は年々下がっており、2012年から2018年の6年間では1kW当たり13.5万円(約32%)も減少しています。2023年度はある程度の物価上昇も含めてすこしづつコストは上がっている事実はありますが・・

太陽光発電システムの初期費用が安くなったことと、今後の電気料金高騰を考慮すれば、今後は太陽光で電力を自家消費することが光熱費削減の得策といえるでしょう。

老人ホームで電気代を削減する方法

老人ホームの電気代を節約するには、照明や空調、エアコンに関する工夫や見直しをする方法があります。ただし、入居者の健康状態や快適さを優先して無理のない範囲で行うこともポイントです。

照明を工夫する

入居スペースの照明は人感センサー機能のあるLEDにすると、切り忘れ防止や減光が可能になり電気代の節約につながります。消灯などのセンサー機能を施設の状況に合わせて活用することもできるでしょう。事務室やあまり使用していないスペースの照明は、照明器具の数自体を減らすとより大きな節電効果が期待できます。

空調の設定温度を見直す

入居者の部屋などのエアコンは、適切な温度管理をしながら扇風機などを併用することで電気代を節約できます。ただし、高齢者は温度や湿度が高くなっても気付きにくく、熱中症になる可能性もあるため細心の注意が必要です。

職員が使うスペースも、扇風機やサーキュレーターを効果的に使いエアコンの温度を1度でも上げると電気代の節約につながります。

エアコンのメンテナンスをする

エアコンのフィルターを定期的に掃除すると、冷暖房機能の効率が上がり節電効果が期待できます。2週間に1回はフィルター掃除をするなど、一定の期間を決めておくと良いでしょう。エアコン内部の掃除は専門業者に依頼するようになるため、その分の費用がかかります。

また、エアコンは旧型よりも新しい製品の方が電気代はかかりません。エアコンの買い換え時期を決めて、予算を計上しておけば無理なく交換できます。

老人ホームの省エネ対策に関わる税制優遇

中小企業や社会福祉法人は「中小企業経営強化税制」という税制優遇を受けられます。太陽光発電設備も、条件を満たせばこの税制優遇の対象になります。この制度は2023年3月31日(令和5年)までに取得・認定された機械及び装置などについて、その設備費用や導入費用を節税に役立てることができます。

中小企業経営強化税制のメリット

この税制で受けられる効果は、次のどちらかを選択できます。

  • 導入費を経費として即時償却する(節税効果が大きい)
  • 税額控除(設備費用の税額を控除、最大10パーセント)

税制優遇が使える事業者は?

  • 資本金または出資額が、1億円以下の法人
  • 資本金または出資金を持たない法人であり、常駐する従業員数が1000人以下の法人
  • 常駐する従業員数が1000人以下の個人 など

この太陽光発電が税金対策できる

太陽光発電は、発電した電気の使いみちで使える補助金や優遇税制が異なります。

  • 自社施設で50%以上を使って残りを売る
  • 発電した電気をすべて自社施設で使う(自家消費)

この太陽光発電は税金対策できない

  • 自社施設で50%未満を使って残りを売る
  • 発電した電気をすべて売る(全量売電)

太陽光発電で発電した電気をすべて売る「投資用」は多くの補助金・税制優遇の対象外となってしまいますが、一部あるいはすべてを施設内で消費できる発電システムや蓄電システムには補助金などの支援が受けられます。

2022年度は環境省や全国の自治体からの補助金で、太陽光発電・蓄電池の設置コストを抑えることができました。2023年も引き続き補助金が見込まれますので、安く導入できるチャンスです!

自治体と年度によって支援状況は異なりますので、必ず最新情報をご確認ください。あなたの施設のエリアにある太陽光発電や蓄電池の販売業者に相談すると、地域に根づいた支援を相談しながら相見積もりを取ることができます。

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老人ホームの省エネ設備に関わる補助金

中小規模の老人福祉施設が導入する省エネ設備を対象に、自治体や環境省から補助金が出ています。

防災機能やCO2排出量の削減率など条件が違っている可能性がありますので、こちらも各省庁や税理士、地域に根づいた自治体情報に詳しい太陽光発電販売会社と相談しながら見積もりを依頼してください。

自家消費型太陽光発電は災害の備えにも

地震や台風などの災害時には電気や水道、ガスなどのライフラインが遮断されることがある。そのような時、非常用電源として太陽光発電・蓄電池設備が役に立ちます。

長期停電で入居者が体調を崩してしまうリスク

2019年には台風15号の影響により、千葉県で長期間に渡る大規模停電が発生しました。県内の介護施設ではエアコンが使えずに日中の室温が35度以上となり、高熱や熱中症など体調を崩す入居者が続出したといいます。

また、2022年2月には福島沖で大規模な地震により東京都の300万世帯が停電になりました。こういった自然災害による停電の備えも介護施設では準備する必要があります。

これを教訓に、異常事態でも空調や非常用電源を確保する仕組みが求められます。

運営者の安全確保にも役立つ防災設備として

そして、災害時の照明の回復も重要です。施設内が暗いと入居者の様子がわからず、緊急時の対応が遅れる恐れがあります。夜間の電気を備えるには、蓄電池と太陽光発電の併用がおすすめです。

太陽光発電設備と蓄電池を設置した老人ホームの中には、非常時の防災拠点として活躍している施設もあります。

断熱効果でホーム内も快適に

屋根にいっぱい太陽光パネルを設置すると、それだけで室温変化を防ぐ効果があります。太陽光パネルが直射日光を遮るため、夏の室温上昇が抑えられて熱中症予防に役立ちます。

冬場には太陽光パネルが屋根からの放射冷却を防ぐことによって、室温の低下が抑えられるのです。太陽発電設備は、光熱費の削減と入居者の体調維持に効果が期待できます。

企業が省エネに取り組む時代は老人ホームにも

事業運営に関わるエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなおうという取り組みが、国際イニシアチブ「RE100」によって進められています。

世界的な大企業が参加するRE100が拡大するとともに、中小企業版のRE100ともいえる再エネ100宣言RE Actionが発足。事業の規模を問わず、脱炭素を宣言して行動することが運営者にメリットをもたらす場面が着実に増えているのです。

再エネ化するメリット

地球温暖化を食い止めるためには、主な要因である二酸化炭素の排出を減らすことが重要です。

老人ホームを含む多くの企業がエネルギー消費を削減する省エネに取り組むことで、二酸化炭素の排出を減らし地球温暖化防止に貢献できます。

環境に配慮する姿勢は、入居者や家族、地域に向けて良いアピールになることでしょう。

【RE100に加盟する日本企業と取り組み】

企業名加盟年取り組み内容
アスクル株式会社2016年本社と物流センターで使用する電力を再エネ電力契約へ切り替えた。太陽光発電による電力調達も検討している。
株式会社リコー2017年中国の生産会社の屋根で、年間使用電力の約20%を再エネ化。英国の生産会社では再エネ電力契約に切り替え、社屋で使用する電力を100%再エネ化した。
イオン株式会社2018年太陽光パネル設置による再生エネルギー発電と再エネ電力契約への切り替え。標準店舗と比べて二酸化炭素排出量を50%削減できる「次世代スマートイオン」という新店舗の開発に着手している。
ソニー株式会社2018年世界の事業所および日本の半導体工場で太陽光発電を導入。再エネ電力契約への切り替えを行なった。

老人ホームなどの介護施設で省エネ・自家発電に取り組んだ事例

中小規模の老人ホームにも、省エネに取り組んでいる施設が多数あります。

山梨県大月市の特別養護老人ホーム「山美家」や神奈川県茅ケ崎市の住宅型有料老人ホーム「ネオ・サミット・茅ヶ崎」は太陽光発電を設置し、地域の防災拠点としての役割も担っています。

ずっと0円の電気が使える太陽光発電を適正価格で

老人ホームは電気を必要とする設備が多いはずです。空調設備や医療機器など、命に関わる機材がたくさんあることでしょう。

入居者のために必要な電気を使うことと、電気料金の負担を減らすこと。

どちらの問題も解消するには、無尽蔵の太陽光のエネルギーから電気を得て、電力会社から買う機会を減らす「自家消費型太陽光発電」が適しているのです。

電力会社の乗り換えはNG!電気代を削減する方法

老人ホームの電気代節約にはさまざまな方法がありますが、現在の電力会社から乗り換えをする方法は電気代削減につながる可能性が低く、おすすめの方法ではありません。2023年は大手電力・新電力ともに電力切替ができない状況が続いているからです。

その大きな理由は電気料金の仕入れが高くなったことで、新規顧客を受け入れる電気契約を受け付けていないのです。

法人向け新電力会社が撤退・倒産している昨今、電力切替見直しの時期としては好ましくないと言えます。契約電力が50kWの中規模以上の事業所は、タイナビNEXTで太陽光発電・蓄電池の導入などで自家消費をしておきましょう。

地球温暖化対策や地域社会に貢献できることや、税制優遇、補助金を受けられることなど、老人ホームの省エネ化を進めることで得られるメリットは多いです。

その一環として太陽光発電設備を導入すれば、光熱費の削減や災害時の備えとして高い効果を期待できます。

導入にあたっては、自家消費型太陽光発電設備の一括見積もりができるタイナビNEXTへ見積もりを依頼してみてください。