EP100

地球温暖化への対策が企業に求められる流れは、国際規模で定着した。脱炭素というスローガンでは済まず、行動と成果が求められている。

しかし、事業は環境への配慮だけで成り立たない。節電・省エネルギーのために行動したことを、外に向けてアピールしていくことも模索するべきだ。

その一つは、「EP100」への加盟である。この記事では、EP100の基礎知識と脱炭素化を進めることで得られるメリットについて解説する。

この重要性は中小企業にとっても無視できない。ぜひご一読いただきたい。

EP100とは

EP100とは

EP100とは、企業におけるエネルギー消費を省エネ効率50%改善する目標だ。脱炭素化を推進するための「RE100」「EV100」などと並ぶ、国際ビジネスイニシアティブである。

2015年に採択されたパリ協定における、国ごとの「環境負荷削減目標」の達成も目的のひとつだ。

ちなみに、「RE100」は事業に必要な電力を全て再生可能エネルギーでまかなう「創エネ」推進を目的としている。「EV100」は企業における運輸をEV(電気自動車)に切り替えて、化石燃料の消費を減らすことが目的だ。

EP100に加盟する条件

EP100に加盟するには以下の3つの条件からいずれかひとつを選んで、公式にコミットする必要がある。

  • エネルギー効率を倍増させる
  • エネルギーを無駄にしない
  • エネルギースマートな建物の所有や運営をする

エネルギー効率を倍増させる

2005年対比で、消費エネルギーのうち経済生産高の割合を2030年までに2倍にし、進捗状況を毎年報告すること。

エネルギーを無駄にしない

エネルギー生産性目標を達成するために、ビルや生産設備を所有する企業は、10年以内にEnMS※(エネルギーマネジメントシステム)を構築すること。
※EnMS:エネルギーの使用を体系的に管理する枠組み

エネルギースマートな建物の所有や運営をする

エネルギーの効率化を中心に、2030年までにネット・ゼロ・カーボンビル※を所有すること。
※ネット・ゼロ・カーボン:温室効果ガス排出の純排出量が年間でゼロになる

EP100に加盟したのはどんな企業か

企業

この項では、実際にEP100に加盟した企業や、その取り組みについて紹介する。

国内のEP100加盟企業

大和ハウス工業株式会社(2018年)

建設・住宅業界では、EP100とRE100へも加盟した世界初の企業である。2015年度比で2030年に1.5倍、2040年に2倍にエネルギー効率を上げることを掲げている。

すでに1万㎡超のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)であるロイヤルホームセンター津島店を建設。既存施設のエネルギー効率改善を進めるにあたり、建物用途ごとに「省エネトップランナー事業所」を選定。集中的に省エネ化し、効果が得られた施策を水平展開していく。

NTT日本電信電話株式会社(2018年)

EP100、EV100の同時加盟した、電気通信事業者として世界初の企業。2025年までに、通信事業のエネルギー効率2倍(2017年度比)にすることを掲げる。高効率直流電力設備の導入を促進し、通信設備の省エネルギー化に取り組んでいる。

海外のEP100加盟企業

海外では2018年12月時点で加盟企業は35社だったが、その中から3つの海外企業の事例を紹介する。

バークレイグループ(イギリス)の目標・取り組み

ロンドンの不動産開発会社。2030年までにCO2排出量がネットゼロとなる資産のみを所有することを掲げる。

ヒルトン(アメリカ)の目標・取り組み

2030年までにエネルギー効率を40%改善することを目標に掲げ、管理システムの導入に取り組んでいる。

H&M(スウェーデン)の目標・取り組み

2030年までにエネルギー効率を倍増させることを目標に掲げている。エネルギー使用が既存のものより40%少ない店舗建設、エネルギー生産性を向上させる新しい技術への投資を行う。

なぜEP100に加盟するのか?

なぜEP100に加盟するのか?

なぜ世界的な企業だけでなく、日本の企業もEP100に加盟するのか?この項では、企業がEP100に加盟する利点について解説する。

企業のイメージアップのため

国際的な脱炭素化を目指す流れにより、CSR(企業の社会的責任)の観点で運用見直しが求められている。日本企業も例外ではない。

EP100に加盟することは、企業のイメージアップをはかる広告戦略のひとつになるのだ。省エネに対して積極的に取り組む姿勢をアピールできる。環境配慮の意識の高い消費者による製品・サービスの購買につながると考えられる。

世界の機関投資家も、企業の気候変動への対応に注目している。環境・社会・企業統治へ配慮した「ESG評価」の高い企業を重視するESG投資も広がりつつあるのだ。

CO2排出量削減を進めることにメリットがある

CO2排出量削減を進める

EP100に加盟するためには、省エネルギー目標を設定して取り組む必要がある。それにより、温室効果ガスの大部分を占めているCO2(二酸化炭素)の排出量を削減することができるのだ。

今後、企業経営の上で、このような国際イニシアチブに掲げられた地球環境に配慮する取り組みを無視することはできなくなるだろう。

世界的に化石燃料に依存せずに、二酸化炭素を発生させない「脱炭素化」を目指す動きがある。また、CO2排出量削減には、EP100の省エネ目標と同時にRE100で掲げられている再生可能エネルギーの活用が重要だ。

再生可能エネルギーの導入企業には、税制優遇や補助金などのメリットもある。

脱炭素を進めると中小企業にも大きなチャンスがある

国際的な温暖化対策として、EP100のような国際イニシアチブが掲げられて、世界は脱炭素化へ向かっている。

脱炭素を積極的に進めることは、実は中小企業にとっても大きなチャンスである。というのも、EP100に加盟している企業は、同じく環境保全に対して積極的に取り組んでいる企業を取引先に選ぶことが多いからだ。

そのため事業規模の小さな中小企業でも、大手企業との取引が可能となるチャンスがある。その準備として、EP100のような「省エネ」意識を持つことや、再生可能エネルギーの発電などの「創エネ」に取り組むことが重要である。

省エネや創エネに取り組み仕事の幅を広げよう

EP100は大手企業が加盟しているが、加盟企業に取引先として選ばれるためには、脱炭素化に積極的に取り組む姿勢が大切だ。

脱炭素の選択肢のひとつとして、省エネだけでなく「創エネ」も有効である。自家消費用の太陽光発電でCO2排出量と電力コスト削減、補助金や優遇税制の適用を検討してみてはいかがだろうか?

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