昨今、世界各国でCO2(二酸化炭素)の排出量を減らす動きが活発化している。それは気候変動や大災害の要因となっている「地球温暖化」という地球規模での深刻な問題を解決するためだ。
この記事では、企業が地球温暖化の問題に対して何ができるか、取り組みが企業にもたらすメリットを解説する。
地球温暖化の基礎知識
ここでは、なぜ世界的に化石燃料による発電や、そこから発生する二酸化炭素を避けるようになったのか、背景にある地球温暖化という問題について、その基礎知識を解説する。
気温上昇と温室効果ガス
まず、地球温暖化の原因となっている気温上昇の仕組みはこのような流れだ。太陽からの光が大気を通り越し、その地表から放出される熱を温室効果ガスが吸収することで大気が暖められ、気温が上昇する。
現在の地球の平均気温は14℃前後だが、温室効果ガスがなければ、約マイナス19℃になると言われている。逆に、温室効果ガスが増えすぎると気温が上昇し、地球全体が暖められ、今までとは全く異なる気候に変わってしまうのだ。
これが現在、世界で起こっている異常気象の原因とされている。世界各地に甚大な被害を及ぼす大規模災害へとつながったというのだ。
産業革命以降、世界中の産業活動が活発になったことで、かつてない量の温室効果ガスが排出された。世界で問題視されている地球温暖化の大きな要因になったと見られているのだ。
二酸化炭素が注目されるワケ
地球温暖化を防ぐために大量に排出される温室効果ガスを抑える必要がある。その中でも「脱炭素化」が有効であるとされている。
その理由は、とりわけ影響が大きいのが二酸化炭素だからだ。
温室効果ガスには、水蒸気や二酸化炭素、メタン、フロンなどが含まれているが、二酸化炭素の割合は約93%と大部分を占めている。そのため、二酸化炭素排出量を減らすことが地球温暖化対策としての重要なポイントなのだ。
なかでも大量の二酸化炭素を発生させる原因が、化石燃料による火力発電である。
そこで、世界的に化石燃料に頼らない発電方法である太陽光発電や風力発電、地熱発電などの需要が高まっている。
それらの再生可能エネルギーを活用することで、温室効果ガス「ゼロ」を目指すのが脱炭素化である。
地球温暖化の現状と今後
現状、地球温暖化によって世界平均気温は上昇し続け、二酸化炭素濃度の数値も増え続けている。産業革命以前と比べると、二酸化炭素濃度は約40%増加している。
このまま対策を講じなかった場合、下記の表のような気温上昇の推移となる。
世界の平均地上気温の現状と対策を講じなかった場合の可能性
※ 環境省の作成したIPCC第5次評価報告書(2013~2014年)より
期間 | 上昇気温 |
---|---|
1880年~2012年(20世紀末) | 0.85℃ |
21世紀末 | 2.6℃~4.8℃上昇(20世紀末比) |
脱炭素化に向けた世界の取り組み
以前から地球温暖化に対して、世界規模で低炭素化に向けて取り組んできた。そしてパリ協定によって、温室効果ガスの排出量ゼロを目指す脱炭素化を長期目標に掲げた。
パリ協定は、京都議定書に次いで2015年にパリで採択された地球温暖化防止に関する国際的な枠組みであり、産業革命前と比較した平均気温の上昇を1.5℃~2℃に抑えることを目標としている。
また、パリ協定は各国ごとに目標をもって取り組み、5年ごとに見直し・提出し、国際的に調整する取り決めになっている。国際イニシアチブとして、脱炭素化に向けた実質的な施策である。
地球温暖化をめぐるビジネスの変化
脱炭素化の流れは、多くのエネルギーを必要とする企業に求められている。
具体的には次の3つの国際ビジネスイニシアチブが発足し、それらに大手企業が加盟して、環境対策を講じている。
- 企業における運輸をEV(電気自動車)へ移行を促す「EV100」
- 企業の省エネ効率を50%改善することを掲げた「EP100」
- 事業に使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換する「RE100」
大手企業がこれらの国際ビジネスイニシアチブに加盟する理由の一つとして、世界的な機関投資家を獲得する狙いがある。環境や社会への責任を果たす企業を重視するESG投資は、日本にも拡大してきた。
世界が脱炭素化へと向かう中で、環境対策を講じていない企業には増税などのペナルティが課せられるケースがある。そのような企業に機関投資家達は将来性を疑問視し、投資をしないからだ。
中小企業が脱炭素化に取り組むメリット
地球温暖化は、世界的な企業課題として各国の大手企業が取り組んでいる。
しかし、地球温暖化とは直接的に無関係であると思われる中小企業も、実は脱炭素化の影響が拡がっている。大手企業が、国際ビジネスイニシアテチブに加盟する中で、取引先であるパートナー企業にも脱炭素化を求め始めているからだ。
そのため、環境保全の意識が低く、脱炭素化に取り組まない会社は、パートナー企業から外されてしまう恐れがある。逆に、脱炭素化に積極的に取り組むことで、企業価値を高め、中小企業でも新たに大手企業との取引が始まる可能性があるというメリットになる。
地球温暖化を防ぐには脱炭素化を進めることが有効
地球温暖化対策として世界的に脱炭素化へと歩みを進めている。それは中小企業も例外でなく、脱炭素化に積極的に取り組むことで、ビジネスチャンスを掴むことができるだろう。そして、脱炭素化の中でも、省エネ、創エネなど様々な取り組み方がある。
その選択肢の一つとして、創エネの自家消費用太陽光発電の導入は、税制優遇、国や地方の補助金もあるためおすすめである。
よく読まれている記事
太陽光発電はBCP対策に使えるか? 自家発電システムをもつべき理由
太陽光パネルにはどんな種類がある?素材や形状の特徴
【2023年】法人向け自家消費型太陽光発電の補助金情報は?産業用は税制優遇も可
太陽光発電の土地の広さと規模は?発電量の目安や設置面積の考え方を解説!
使わなくなった農地を有効利用!太陽光発電に転用するためのメリットや注意点
10kW以上太陽光発電「50kWの壁」で変わる手続きと管理コスト