
2022年度のFIT発表! 固定価格買取制度の最新情報をこちらの記事で解説しています。
2022年度 太陽光発電FIT価格まとめ[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]
山林を相続したあと、持て余してはいないだろうか? 処分するにも手間がかかるとはいえ、活用するあてもなく放置してしまっている方も多いことだろう。
しかし、太陽光発電投資なら、放置している山林からお金を生み出すことも難しくない。太陽光発電所の開設に資格などは不要で、個人も始められる土地活用だ。
一般的に太陽光発電を解説する記事は、平地や屋根での設置を前提に情報提供されている。この記事では、山林での太陽光発電による土地活用にスポットを当て、メリット・デメリットや山林特有のポイントについて解説する。
山林の土地で行う太陽光発電の収入

太陽光発電投資は、発電した電力を電力会社に売ることが収入になる。設置場所が山林や農地であっても、住宅の屋根であっても変わらない。2019年度のFIT(固定価格買取制度)の価格は、以下の表の通りである。
【産業用太陽光発電・10~2000kW未満の場合】
発電規模 | 1kWhあたりの売電価格 | 調達期間 |
---|---|---|
10~500kW未満 | 14円+税 (2019年度版) | 20年間 |
500kW以上 | 入札制度により決定 | 20年間 |
稼ぐためには電気をたくさん発電することが重要だ。しかし、発電のために取れる面積が狭いから不利というわけでもない。
2019年度以降、500kW以上の発電規模を持つ太陽光発電は、入札制度で買取価格(売電価格)が決められるように変更された。
つまり、発電規模が大きすぎれば、事前に収入を予測しやすい固定価格の権利が得られなくなってしまう。土地が広ければ良いと一概には言えず、発電用の面積が小さめでもかえって利益になる可能性があるということだ。
土地の種類にかかわらず太陽光発電に必要な支出
太陽光発電で投資するのにかかる費用は、いくらだろうか。まずは、設置する土地が山林に限らず、必要な支出について見ていこう。
太陽光発電にかかる主な支出とは、初期設備費用にくわえて、メンテナンス費用などのランニングコストが挙げられる。
太陽光発電設備の費用

初期費用には太陽光発電設備を購入する費用や設置工事の費用などがある。
太陽光発電設備の主な機器にはソーラーパネルとパワコン、架台などがある。ソーラーパネルの価格はメーカーなどにより異なるが、約10万~20万円/kWが相場だ。パワコンの価格は住宅用が約4万~5万円/kW、産業用が約3万円/kWである。また、架台の価格は発電規模にかかわらず約4万~5万円/kWだ。
太陽光発電の価格に大きく影響するのが、設置にかかる人件費である。発電規模が大きくなるほど1kWあたりにかかるコストは安くなる。
メンテナンス費用

定期点検や故障・劣化による設備の交換費用が主なメンテナンス費用である。
設備交換の費用は約20万~30万円になるケースもあるが、頻繁に発生するものではない。メーカーによっては、購入から数年間の定期点検を無料で行うケースも多い。一年間にかかるメンテナンス費用は約3000~6000円/kWと考えておけば良いだろう。
山林の太陽光発電に必要な支出

山林の土地には背の高い木々が生えていたり、周辺に電線がなかったりするケースが多い。そのため、山林に太陽光発電設備を設置する場合、平らな土地に比べて工事費用が高くなる可能性がある。
この段落では山林の土地で太陽光発電を行う場合に追加で発生する支出について説明する。
伐採・造成工事

山林の土地は、木の枝葉が日照をさえぎることや葉が太陽光パネルに落ちることが効率的な発電を妨げるケースが多いため、設備周辺の木々を伐採するケースが多い。
伐採によって地盤が弱くなると土砂崩れの危険性が高まるため、災害を防止するための造成も必要となる。土に木の根が埋まっていると設置そのものが難しいため、撤去しなければならない。
山林に太陽光発電設備を設けるための伐採費用は1本数千~数十万円とケースバイケースだ。伐採費用の合計が100万円以上となる可能性もある。また、造成費用は1平方メートルあたり約2万~3万円かかる。
電柱の設置工事
山の中にある土地で近くに電柱がない場合、実費で電柱を設置しなければならないケースもある。電柱設置の費用相場は1本あたり約10万~20万円。さらに、電線の引き込み工事や高圧線への変換工事なども必要となる。
最終的には、電柱設置のために100万円前後、あるいは、それ以上かかるケースもある。
山林に太陽光発電を設置するメリット・デメリット
この段落では山林の土地に太陽光発電設備を設置するメリットとデメリットについて、それぞれ解説する。
メリットは放置していた山林が収入につながること

山林に太陽光発電設備を設置する最大のメリットは、有効活用ができずに放置していた土地から売電収入を得られることだ。
一般的に山林の土地は資産価値が低いが、太陽光発電に利用すれば宅地に太陽光発電設備を設置する場合と同程度の収益を目指すことも可能である。初期費用を抑えるという目的において、山林や農地といった地価の安い土地は宅地よりもコストパフォーマンスの面で優れているといえるのだ。
山林のデメリットは手続きが多く必要かもしれないこと

山林に太陽光発電を設置するデメリットも見ておこう。
まず、山林で太陽光発電を始めた場合、投資した分を回収できるまでの期間は、他の用途で土地を使えない。ひとたびFIT制度を適用した発電設備は、ちょっと移動したり自由にレイアウトを変えるなどの融通は効かないと考えておくべきだろう。
といっても、投資の回収が見込めるのは一般的に10年後だ。ほかに活用するあてが無く、持て余している山林なら問題ないだろう。
山林に太陽光発電所を設置する場合、平地や屋根で設営する費用に追加コストがかかる。そして、太陽光発電を設置したい土地が森林法の制限対象である保安林などの場合は、公的な手続きが必要だ。
森林法とは、災害の防止や産業の保護といった公共の目的を達成するために、森林の使用方法を制限するものである。たとえ自分が所有する土地であっても、森林法の対象であれば、太陽光発電設備の設置が可能かどうかを行政に確認したうえで、所定の手続きをしなければならない。
山林での太陽光発電つくりで気をつけたいポイント

山林の土地を太陽光発電投資で活用しようと考えても、山林特有の問題が発生する可能性がある。場合によっては投資効果が悪く、利益に至らないケースもあるだろう。
山林に特有の問題は、主に次の5点が挙げられる。
樹木で日照をさえぎらないようにする必要がある。
太陽光発電設備の周囲に第三者が所有する山林が存在する場合は、そこから生じる影の影響を受けるとしても伐採ができない可能性もある。
伐採や造成、送電などにプラスアルファの費用がかかる。
現実的に、電気が通っていない山林を切り開いてまで無理に太陽光発電を行うことは、かなり難しいといえる。
伐採や造成をする前に届け出や許可が必要となるケースもある。
太陽光発電設備を設置する土地が地域森林計画の対象になっている場合は、1ヘクタール以上の造成工事に許可が必要なケースもある。また、場合によっては伐採にも申請が必要だ。
枯れ葉、雑草対策が必要。
枯れ葉が発電パネルに落ちたりパネルのすき間に雑草が生えたりすると発電効率が低下する。太陽光設備を設置する場所から遠隔地に住んでいる場合は、設備管理を業者に委託することも考慮しなければならない。
固定資産税が上昇する。
山林は用途が限られるという理由で地価も固定資産税も安い。しかし、太陽光発電投資を始めると「雑種地」という扱いとなり、固定資産税額が大きく上昇する。
このように、山地に太陽光発電設備を設置する場合はメンテナンス費用と税金がかかる。しかし、支出を超える売電収入があれば、投資の効果を期待できる。まずは、事前にしっかりと収支のシミュレーションをして検討してみるとよい。
山林に太陽光発電を設置するなら専門家に相談しよう

太陽光発電設備を山林に設置する際は、場所の選定や費用、法律の制限など、山林ならではの問題も多い。そのため、まずは自分の土地に太陽光発電設備の設置が可能かどうか、どのくらいの収益を得られるかなど、専門家に現地見積もりを依頼しながら相談するべきだ。
タイナビNEXTと提携している業者なら、そういった相談に対応可能だ。山林や農地などの土地を活用したい人は、タイナビNEXTで無料一括見積もりをしてみてはいかがだろうか。