産業用太陽光発電の導入には、決して安くはない費用がかかる。初期費用をできるだけ抑えるためにも、少しでも工事費用を安くしたいと考える人も多いだろう。
施工業者には、「激安」や「最低価格」などを謳っている業者もある。しかし、そのような業者に依頼して、本当に大丈夫なのだろうか。もちろん、「激安」や「最低価格」を謳う業者がすべて悪徳なわけではない。しかし、中には施工を任せるには不安な業者もある事実だ。
本記事では、激安価格を可能にする業者側の裏事情や、信頼できる業者を選ぶ時のポイントについて説明する。
なぜ激安価格で施工できるのか?
「激安」や「最低価格」と謳っている施工業者は、どのような仕組みで安く工事をすることを可能にしているのだろうか。業者が激安価格を実現できる理由と、その価格の裏にあるリスクについて説明する。
工事時の作業人数を少なくしている
まず、工事に必要な職人を減らすことで、工事代を安くしている可能性がある。人件費は工事代金の中でも多くを占めているため、人数を減らせば人件費は簡単に減らせる。
しかし、太陽光発電の工事は通常、規模や工事内容に合わせて作業員の人数や工事日数を決めている。したがって、作業員の人数が少なければそのぶん工事日数が伸びることになるが、それだと人件費は減らせない。
そこで、激安業者は少ない人数で、しかも短い工期で工事を行おうとするのである。その結果、スケジュールに無理が生じて、どうしても手抜き工事やミスが起きやすくなってしまう。
作業員の質を落としている
作業員の質を落として人件費を節約し、工事代を下げているケースもある。太陽光発電システムの工事には知識や経験が必要だが、日当が高いベテランの作業員を使うとどうしても人件費が高くなってしまう。したがって、激安業者では経験が浅く日当の安い作業員やアルバイトばかりで工事を行う傾向がある。
未熟な作業員を使うことは、屋根に穴をあけて良い場所、あけてはいけない場所の見分けができないなど、工事の質低下につながりやすい。安全・正確に工事を行う知識が乏しい作業員が行う工事は、安くても不安と言わざるを得ない。
部材の質を落としている
大きな金額ではないものの、防水処理のコーキング材やケーブルの保護管といった部材の質を落として全体の工事代を安くしているケースもある。
そもそも太陽光発電システムは、紫外線や雨風にさらされた状態で10年20年と長期間使用するものである。そのため、そうした厳しい環境にも耐えられる部材を使用するのが原則であり、良心的な業者なら部材にもこだわる。
しかし、激安業者の場合は、価格の安さを実現するためにそうした必要なコストを削っている可能性がある。
目先の売り上げだけを考えている
自転車操業状態に陥り、支払いに充てるお金を集めるために激安価格で契約を取りたがる業者もいる。こうした業者はたとえ工事内容に問題がなかったとしても、倒産してしまう危険性があるので契約は避けたいところだ。
万が一工事途中で倒産すると、工事を引き継いでくれる業者を新たに探す必要がある。さらに、工事前に倒産すれば、部材を他の債権者に差し押さえられてしまう可能性もある。
もし工事が無事完成したとしても、その後のメンテナンスをしてくれる業者を探さなくてはいけなくなり、顧客にとってはリスクが大きい取引になってしまう。
激安業者に施工を依頼した時に起こり得る問題
激安を謳うすべての業者が当てはまるわけではないが、業者によっては「安かろう、悪かろう」の工事を行っている可能性も否定できない。
例えば工事費の大きなコストカットは手抜き工事につながる心配があり、結果的に事故や自宅の破損といったリスクを増大させる。実際に太陽光パネルと機器との接続ミスや、軒先を越えて無理やりパネルを設置したことによって、屋根や建物に問題が起きたケースも報告されているようだ。
さらに、安い部材を使ったことが劣化や故障の原因になり、かえって修理代がかさむという事態も考えられる。初期費用を抑えられても、後の費用が増えてしまっては意味がない。
安心できる産業用太陽光発電の施工業者の条件とは?
施工業者選びでは、値段はもとより工事の質も重要である。それでは、信頼して工事を任せられる業者を探すには、どのような点をチェックすればよいのだろうか。以下、業者を比較検討する上で注目すべきポイントを具体的に紹介する。
施工実績が豊富
まずチェックするべきは、施工実績である。業者のホームページに施工実績が掲載されていることもあるため、こうした情報から実績が豊富な業者をピックアップしよう。
施工実績が多いということは、それだけ多くの人がその業者を信頼して工事を依頼しているということである。それだけに、信頼できる業者に当たる可能性も高いと考えられる。
ただし、会社の規模の割に施工件数が多すぎる場合は、逆に無理なスケジュールで工事を詰め込んでいたり、下請け業者に任せっきりになっていたりするケースも想定される。施工実績だけではなく、業者の口コミなどについてもインターネットで調べておこう。
なお、依頼者が多く、かつまともな工事を行っている業者であれば、1ヵ月あたりの施工件数は7~10件程度が目安といわれている。施工件数は多すぎても少なくてもいけないということを知っておこう。
複数社の太陽光発電システムメーカーの取り扱いがある
取り扱っているメーカーの数もポイントになる。業者が取り扱っている太陽光発電システムのメーカーが多ければ、ユーザーのニーズに合わせた工事ができるからだ。
太陽光発電システムの特徴はメーカーによって違う。初期費用を抑えたい、発電量を重視したい、初期費用を早く回収したいなど、人によって重視するポイントは様々だ。したがって、自分に合ったメーカーの製品を選ぶことが重要といえる。
この時3社以上のメーカーを取り扱っている業者であれば、メーカー同士の比較がしやすくなる。ただ、1社しか取り扱いがない業者でも、そのメーカーの工事をたくさんこなしており、知識や経験が豊富で安心して任せることができるという場合もある。
すでに目当てのメーカーがあるのなら、こうした特定メーカーに特化した業者を選ぶのもよいだろう。
工事後のサポートがしっかりしている
太陽光発電は設置工事が終わったら終わりではなく、その後10年20年と長く使っていくものだ。したがって、その後の定期点検やアフターサポートをきちんと対応してくれる業者を選ぶ必要がある。
工事後にコストがかからない方が金額的にはお得に感じるかもしれないが、長期的な視点で物事を見れば多少費用がかさんでもサポートがしっかりしている業者を選びたい。
特に、きちんとサポート費用やその内容を明記してある業者であれば、安心して設置後のサポートも任せられるはずだ。見積時には、担当者へ設置後のサポートや点検について忘れずに確認しておこう。
その他の業者選びのポイント
その他、以下のようなポイントも業者選びの際にチェックしてほしい。
- 保証内容やクーリングオフなどの説明が丁寧
- 発電量がイメージできるシミュレーションや配線図の提示
- 支払方法が複数から選べる
- 顧客の商品のための保険に加入している
- 重機など土木関係の免許も持っている
- 廃棄物の処理方法にも精通している
- 設置場所に合ったオリジナルのプランを提案してくれる
どれもトラブルが起きるリスクを減らし、安心して工事を任せるためには必要な条件といえよう。契約前にはきちんと、これらのポイントを業者に確かめてほしい。
適正価格で信頼できる業者はタイナビのNEXTの一括見積もりで
すべての激安業者が悪質業者というわけではないが、「安かろう、悪かろう」では安心して工事を任せられないのも事実だ。だからといって、相場より割高な工事費がかかるのも問題である。
そこで、おすすめしたいのが、初期費用の削減に役立つ一括見積もりだ。一括見積もりでは業者間で健全な価格競争が起きるため、適正価格での契約が実現しやすい。
特に、タイナビNEXTの一括見積もりは、信頼できる販売店とだけ提携しており、安心して契約できる業者のみがそろっている。無料で最大5社の見積もりが取れるため、気軽に試してほしい。
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