企業の電気代削減方法

製造工場の電気代は電気代が高くなりやすいものです。照明機器や製造機械など、設備を稼働させて生産ラインを止めず、電気代をカットすることが利益改善の大きな一手といえるでしょう。

どうやって電気代をカットするか、その方法で悩む企業は少なくありません。少ない労力で・コストをかけずに節電対策をするなら、工場における電気代の仕組みを理解してポイントを押さえるのが効果的です。

この記事では電気代の仕組みを解説し、電気代削減に繋がる省エネ対策につなげます。

企業の電気代削減の鍵は「仕組み」

企業の電気代削減

電気代は基本料金と電力量料金の2つに、消費税や再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されて決まります。このうち対策可能なのは基本料金と電力量料金です。

項目説明
基本料金一定の期間(例えば、1ヶ月)における電気の基本使用料金
電力量料金実際に使用した電力の量に対する料金
消費税基本料金と電力量料金に対してかかる税金
再生可能エネルギー発電促進賦課金再生可能エネルギー(太陽光や風力など)の普及・促進を目的とした賦課金

基本料金は「料金の仕組み」を理解すれば少ない苦労で削減できる可能性が高く、電力量料金も省エネ設備を導入する事で削減することが可能です。

大きな施設や工場で利用する電力量は大きく、法人向けの50kW以上の高圧電力で契約するのが一般的です。一般的な家庭用の電気料金プラン(低圧電力)とは計算方法が異なりますので、事業用の電気代を削減するなら、まずは高圧電力の電気代の仕組みについて知っておきましょう。

企業向けの高圧電力の支払額を効果的に削減する方法と、省エネ対策について解説します。

基本料金を安くする方法① デマンド値を下げる

デマンド値を下げる

高圧電力の電気代の削減を考えるポイントは、基本料金とデマンド値の関係です。

デマンド値(30分デマンド値)とは、電気使用量の計測時に記録された、30分ごとの平均電力量のことです。

このデマンド値で基本料金を決める「デマンド料金制」を多くの高圧電力プランが採用しており、電気の見直しをするとき真っ先にチェックするべきポイントになっています。

基本料金は当月と過去11カ月間で、最も高い30分デマンド値が基準にされます。日々稼働するなかで一度でもデマンド値(基本料金)が上がってしまうと、そこから1年間は値下げがありません。

つまり、電気をたった30分でも使いすぎてデマンド値を上げてしまえば、その後11カ月にわたってデマンドを抑えられたとしても、高い電気代を負担し続けることになります。

空調の利用が激しくなる夏の日中、冬の日没後は要注意ですね。

デマンド値をこれ以上おさえられないときは

デマンド値をこれ以上おさえられない

電気の基本料金を下げるには、30分デマンド値の上昇を食い止めることが不可欠
です。ですが、設備の稼働をこれ以上は減らせない方も、省エネ設備への置き換えも難しい方もおられますよね。

そういうときには、施設の稼働状況に合わせた電気料金プランの最適化が大変有効です。

季節によって設備の稼働状況が異なる企業だと、電力会社がプランをコーディネートして負担額を安くできるパターンが増えてきます。

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デマンド値を抑えるには「インバータ化」も有効

インバータとは

デマンド値を効果的に下げるもう1つの方法は、設備や機器のインバータ化です。電力のロスを抑制すれば省エネにつながり、デマンド値も下げることができます。

インバータとは電力変換装置のことで、負荷にあわせてモーター回転速度を変えられます。電気の周波数や電圧を自由に調節できるのが特徴です。

インバータ化しておけば、負荷が変わっても設備や機器の出力調整が可能です。必要最低限の電力で機械を動かせるため、電力ロスの抑制、つまり省エネにつながります。消費電力の無駄がなくなれば、デマンド値の抑制にも期待できるでしょう。

基本料金を安くする方法② 力率改善で割引適用

基本料金割引適用

力率とは、有効に使える電力の割合のことです。

電力会社が送った電気を、効率よく・無駄なく消費してくれる人を対象とした電気代の割引サービスがあるというイメージで、電気代の削減に活かしましょう。

送電された電気は、すべて使えるわけではありません。電気は機械を動かすときに一定量消費されます。力率は送電された電気のうち、実際に消費した電力量の割合を示した数値です。

力率割引は、電気代の基本料金割引に適用されます。高圧・特別高圧の力率の基本は85%で、これを上回る1%につき基本料金は1%割引、下回る1%につき基本料金を1%割増する決まりです。

力率による年間の基本料金を差は以下のようになります。
※契約電力100kW/月、基本料金単価1782円(東京電力高圧電力を参考)の場合

力率割引・割増係数基本料金/年
100%0.85181万7640円
90%0.95203万1480円
85%1.00213万8400円
80%1.05224万5320円

力率100%と割引がない85%でも、
年間で約32万円の差額になります。

電力消費の多い工場では、力率による影響が大きいといえるでしょう。

力率改善とは、無効電力を減らして電力を有効利用することです。これには、コンデンサの設置が有効です。

電力量料金を安くする方法① 省エネ化

電気代を安くするには、電気の消費量を減らすことも重要です。使用時間が長い照明をLEDに変えるほか、太陽光発電による自家発電で電力会社から電気を買わずに済ませる方法もあります。

照明をLEDに変えれば電気の使用量が減る

照明

面積の広い工場では、照明の電気代が意外と高くなります。最大デマンドを下げるには、長寿命で省エネのLEDを利用すると良いでしょう。水銀灯とLEDの一般的な消費電力および電気代を比較してみよう。

水銀灯の場合、消費電力は400W、1時間あたりの消費電力は0.4kW、1時間あたりの電気代は8円(20円/1kWhあたり)です。一方、LEDの消費電力は130W、1時間あたりの消費電力は0.13kW、1時間あたりの電気代は3円です。

1000個の水銀灯を設置している工場の場合、1時間あたりの電気代は8000円程度です。これをLEDに変えると3000円になり、5000円ほど安くなります。

1日の稼働時間が8時間だとすれば、1日あたり約4万円も変わってくるのです。工場の設備を省エネ設備に変えると、補助金が利用できます。

LEDもその対象で、補助対象設備購入額の3分の1を補助金でまかなえます。

事業の省エネ化に補助金が使える! 2019年の支援策と補助内容の事例

電力量料金を安くする方法② 太陽光発電で自家消費

事業用太陽光発電で自家消費

事業用の電気代を大幅に削減するには、太陽光発電による自家消費がおすすめです。ポイントは、太陽光発電のFITを用いた売電投資ではなく、自社施設で電気を消費することです。

電気代は年々上がり続けています。

太陽光発電で自家消費すれば、オフィスや工場で消費する電気を購入する必要がなくなります。天然ガスなど化石燃料の輸入問題による電気代高騰や、電力需給の逼迫による影響も避けられます。

さらに、太陽光発電パネルを屋根に設置すれば、直射日光からガードされる遮熱効果で室温上昇を防げます。空調代を抑えることに繋がるため、さらなる電気代削減が実現されます。

https://www.tainavi-next.com/library/253/

脱炭素化にも効果がある

脱炭素化

自家消費型太陽光発電の導入メリットは、脱炭素化による企業価値の向上にまでおよびます。CO2削減に取り組む企業として、環境問題への貢献をアピールできます。

自然災害による緊急事態にも対応できるシステムにもできます。電力網などのライフラインが停止しても、太陽光発電システムがあれば停電時の予備電源として利用できます。自社が被災しても電力利用が可能なら、早期復旧も見込めるでしょう。BCP(事業継続計画)の対策としてもおすすめです。

BCP(事業継続計画)の対策
https://www.tainavi-next.com/library/308/

太陽光発電の費用面が難しいときは「PPA」

太陽光発電「PPA」

太陽光発電は電気代の削減や企業価値のメリットがあるものの、導入費用の捻出に頭を悩ます企業もあるかもしれません。しかし、PPA契約を結ぶことによって費用面の問題は解消が可能です。

PPAとは、初期費用と維持費用無料で太陽光発電を導入できるビジネスモデルであり、PPA事業者と呼ばれる電力事業者と電力を使用する企業とのあいだで結ばれる契約のことです。

PPAを契約した企業は、保有する施設に無償で太陽光発電設備を設置してもらえます。その設備で発電した電気は購入して、自社の電気に使うことができます。

PPAは最終的に太陽光発電システムが0円で手にはいる

太陽光発電システム

15年、25年ほどの契約期間が終了したあとは、太陽光発電設備を無償で譲渡してもらえるので、発電設備が自社のものになるというのもメリットです。

PPAの利用に条件があったり、投資効果が薄かったりするケースもあります。総合的にみてメリットが大きいのは実費で設置するほうですが、初期費用がネックになるときはPPAで自家消費型の太陽光発電を検討してください。

節電のはずが…?電力自由化詐欺に要注意

電力自由化詐欺に要注意

電力自由化によって多くの企業が電力事業に参入するようになり、需要家は低価格で電気を使用することが可能になった。一方で、電力自由化に便乗した詐欺行為が横行している点には注意が必要です。

たとえば、「電力自由化で電気代が高くなるので当社の太陽光発電を導入してほしい」、「電力自由化で電力プランが変更になったので新しい契約書にサインをしてほしい」といったような、電話による詐欺が典型的です。

さらに、電力会社を装い「スマートメーターを設置・交換するため費用をお支払いください」といったケースもありますが、スマートメータ―は契約する電力会社が無償で行うものであり、金銭を請求することはありません。

このような電力会社を装った電話や訪問による詐欺は巧妙で気づきにくいケースもありますが、落ちついて対処することが大切です。まずは契約している電力会社に問い合わせて確認しましょう。

▼ なお、高圧・特別高圧の電力削減はこちらのサイトへお問い合わせください。

https://www.tainavi-next.com/library/224/

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自家消費型の太陽光発電システム導入

工場から商業施設、オフィスなど企業の省エネ対策はデマンド値の抑制がカギになります。照明や空調機器の見直しも効果的な対策方法ですが、さらなる省エネを狙うなら自家消費型の太陽光発電システム導入がおすすめです。

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