太陽光発電の売電2019

2020年度のFIT発表! 固定価格買取制度の最新情報をこちらの記事で解説しています。

2020年度 太陽光発電FIT価格まとめ[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]

太陽光発電の売電価格は年々下落している。2019年度の産業用太陽光発電の売電価格は、既存電力とほぼ同額の14円/kWhだ。

余剰電力買取制度や固定買取期間が始まった当初は売電価格が高く、導入コストの元が取れるとしてたくさんの人が太陽光発電の導入に踏み切った。

今後の売電収入はさらに減少していくと見られている。太陽光発電を導入するなら売電するべきなのか、自家消費の方が良いのか、これまでの価格の推移とともに解説していこう。

産業用太陽光発電の売電価格2019年までの推移

2012年に産業用太陽光発電が固定価格買取制度(FIT制度)の対象になったとき、売電価格は40円/kWhだった。

FIT制度は太陽光発電の普及が目的であったため、初期費用を賄った上で投資の利潤が適正に得られるように売電価格が設定されてきた。狙い通りに再生可能エネルギーの発電量は増加したものの、世界水準と比べても高額な売電価格が問題視され、今度はコスト競争を目的に売電価格の引き下げが進められた。

2018年になると売電価格は18円/kWhまで下がり、2019年には14円/kWh。機材や工事費用のコストダウンを背景に、売電価格は値下がりを続けた。

売電価格の値下がりで再エネ電力に起こる変化

産業用太陽光発電の売電価格が14円/kWhまで下がったことは、二段階グリッドパリティを迎えたということでもある。これは太陽光発電がもはや高い電気ではなく、売電よりも自家消費するという使い方が一般化していくことを意味する。

ここでは、グリッドパリティについて紹介していこう。

既存の電力とコストが同じになった太陽光発電

グリッドパリティとは、再生可能エネルギーの発電コストが既存電力と同等もしくは、それよりも安くなることだ。つまり売電価格が電力会社から買う電力の単価と同等、もしくはそれよりも安い価格になることだ。既存電力とほぼ同額ということは、売電収入の旨味がほとんどなくなってしまったということだ。

一方で、自家消費型の太陽光発電は相対的にメリットを増してきている。電力コストの削減などで得られる金銭的メリットと、さまざまな付加価値を独占できるようになったためだ。

自家発電に取り組む企業が増えた理由と背景

太陽光発電による電力は、売電よりも自家消費の方が得である。その理由をは、電気料金の上昇と、再エネ電力がもつ付加価値の活用だ。

再エネ賦課金・廃炉費用上乗せの電力コスト増対策

売電価格が安くなる一方、電気料金が高額になっている。

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、固定価格買取制度(FIT制度)で買い取られる電力の一部を国民全員が支払うものだ。電力会社から買う電力が1kWhにつき何円といった具合に、通常の電気料金に上乗せされる。

2017年度は2.64円/kWhだったのが、2018年度には2.90円/kWh。2031年度には4.72円/kWhまで上る見込みだ。

一定の基準を満たす事業者に対しては減免制度があるものの、FIT適用の発電所が増えると共に再エネ賦課金が増額されている。対策としては、自家消費で電力会社から買う電気を減らすことだ。

原発廃炉費用の上乗せで電気代が上がる可能性

原発を廃炉するのにかかる費用は莫大なものになるが、その一部をすべての電力利用者で負担する方針が発表された。

電力会社が提供する電力のコストは、今後も上昇するリスクがある。しかし、太陽光発電を導入して自家発電を行えば、既存電力の消費を抑えられる。再エネ賦課金のような価格変動リスクの削減に役立つだろう。

CO2排出量ゼロの100%再エネ電力が使える

環境保全の観点から、脱炭素を求める世論が世界的に広まった。電力を脱炭素化するには、3つの方法がある。

  • 再生可能エネルギーで自家発電する
  • 100%再エネの電気料金プランを契約する
  • グリーン電力証書などでカーボン・オフセットする

再エネが特色の電気料金プランは、従来のものよりも割高であることが多い。グリーン電力証書なども、証書を買うのにコストがかかる。太陽光発電の自家消費は、この中で唯一、脱炭素化と電力コスト削減を両立する手段となる。

さらに、自家消費が目的の太陽光発電は、補助金と優遇税制の対象になる。企業の経済的メリットと環境配慮のPRという付加価値を求め、全量自家消費型の太陽光発電を取り入れる企業が増えているのだ。

2019年からの産業用太陽光発電は売電よりも自家消費のメリットが大きい

太陽光発電が普及してきたのは、固定価格買取制度による売電収入に旨味があったからだ。売電価格が既存電力の料金と変わらないグリッドパリティを迎えている以上、これからは産業用、住宅用ともに太陽光発電の自家消費が主流となるだろう。

今後も、低コストで導入できる太陽光発電が重要だ。複数業者の見積もりを比較し、コストと品質を見極めよう。10kW以上の太陽光発電の導入を検討しているなら、ぜひタイナビNEXTで見積もりしよう。