RE100加盟の日本企業事例

再生可能エネルギーへの取り組みを行っている、国際イニシアチブ「RE100」について理解しているだろうか。この取組みにはAppleやNestleといった世界的な企業が参加しており、低炭素化社会を実現するための行動をすでに起こしている。

この記事ではRE100とはなにか、日本で参加している企業と、取り組みにより得られた成果も紹介していこう。これらの事例は、省エネ化へ取り組む参考になることだろう。

世界の企業がRE100に取り組む理由

RE100

RE100は2014年に発足した環境イニシアチブのひとつだ。環境問題への意識の高い多数企業が、早くも、全世界から参加してきている。日本企業の加盟も増えており、2018年9月時点で11社の企業が加盟した。

ビジネス環境において、もはや環境への取り組みは他人事ではない。取引先にも、投資先にも、環境への配慮が求められている。今から環境対策でできることとは、一体なんだろうか。

まずは、RE100で求められる基本について理解しておきたい。世界が注目している理由はなにか、どんなメリットがあるのかについて紹介する。

RE100が目指していること

RE100は、企業が使う全てのエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減するものである。環境配慮への共感だけではなく、実際の行動が求められるのだ。

これに加盟したと認められるには、事業運営を100%再生可能エネルギーでまかなうことを宣言しなければならない。さらに、達成する時期と中間目標を掲げることが推奨され、進捗状況を事務局へ毎年報告する必要がある。

多くの企業は2040年までに目標をクリアすると掲げた。さらには、100%再生可能エネルギーを達成した企業は、2015年時点で11社にも上っているのだ。

RE100で取り組むこと

RE100で取り組むこと

再生可能エネルギーを調達する方法には、大雑把に分けると3パターンがある。

  • 小売電気事業者から調達する(電気料金プランを切り替えるなど)
  • 電力証書を購入する
  • 再生可能エネルギー発電システムで自家発電する

広く用いられているのはこの3つだ。

電力会社によっては、再エネ電力が売りのプランを提供しているものがある。そういった電気料金プランを契約することにより、事業で使う電力のCO2排出量を抑えることができるのだ。特別な設備が必要ないので、取り組みやすい方法の1つだろう。

(例:東京電力のアクアプレミアム

さらに、再生可能エネルギーの「発電時にCO2を排出しない」特性を証書化し、取引する手法も広く用いられている。こういった証書は、CO2排出削減の成果に組み込むことが認められているのだ。

再生可能エネルギーの自家発電で、事業の電力のCO2排出量を減らすこともできる。屋根や敷地を無駄なく利用でき、見た目にも環境への取り組みが明らかなので、対外的にアピールしやすいというメリットもある。

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RE100加盟で得られるメリット

RE100加盟で得られるメリット

RE100に加盟する企業は、コストをかけてでも低炭素化へ向かっている。そこにあるメリットとはなんだろうか。

RE100の取り組みで得られるメリットは、環境配慮に対する社会的評価と、企業の経営リスク低減だ。

事業のエネルギーを再エネ化することにより、長期的に見れば電力コストを下げることができる。燃料費が高騰しても、電気料金の負担が増えるリスクを低減できるのだ。そして、急激な環境変動が事業継続にもたらすリスクも甚大である。環境に配慮した企業への社会的評価は、今後ますます高まっていくことだろう。

再エネの普及が伸び悩む日本において、CO2排出量の低減はどのように行われているのか。ここからは、実際にRE100に加盟した日本企業の取り組みと成果についてご紹介しよう。

RE100への加盟事例【ソニー】

ソニーは2018年9月にRE100への加盟を発表。2040年までに100%再生可能エネルギー化を目指すことを表明したのだ。

なお、ヨーロッパで展開している事業所の電力は、すでに100%再生可能エネルギー化を達成している。RE100加盟後は、北米や中国の事業所にも再生可能エネルギーを導入し、拡大することを目指しているのだ。

ソニーのRE100への取り組み

タイや日本などで製品を製造している工場に、太陽光パネルの設置を推進している。ソニーグループのなかで、日本は最も電力消費が多い。半導体を製造する事業所が複数存在している日本においては、「自己託送制度」の構築を目指している。これは、事業拠点間で電力を融通させる仕組みで、太陽光パネルなどの自家発電システムを有効活用するものだ。

発電・送電は同じ企業グループ内などの、密な関係性でなければ実現できない。再生可能エネルギーにより作られた電力を、電力会社の電力網を利用してソニーの事業所へ送られるよう検討している。

これまでも、ソニーは独自に環境問題に取り組んできた。RE100加盟後には、ほかの企業と連携を取りながら、再生可能エネルギー業界や国への環境改善策の呼びかけを強化しているという。

ソニーの成果と再エネ調達法

ソニーは、これまでもCO2排出ゼロを目指して製品を製造してきた。2017年にソニーが実現したのは、全世界の拠点で使う電力量の5%を再生可能エネルギーでまかなうことである。これは、累計で約15.4万トンの削減となり、日本であれば1万6000戸分が1年間に排出するCO2に相当する量である。

RE100加盟後は、さらに世界規模での連携で環境への取り組んでいる。ソニーの再生可能エネルギー調達法は、再エネ証書の活用や太陽光パネルの設置などを中心に様々な形で行われているのが特徴と言えるだろう。

直接購入する方法と自家発電を組み合わせることで、ソニーにおける再生可能エネルギーの割合は着実に増え続けている。

RE100への加盟事例【イオン】

日本の大手小売り企業であるイオンは、2050年までに事業を行うために必要な電力を、100%再生可能エネルギーに切り替えることを発表した。

イオンは、RE100へ加盟する前から省エネ設備を導入し省エネ対策を推進してきた。地域の再エネ発電設備を活用しながら、事業内容にも絡めた取り組み方をしている。

イオンのRE100への取り組み

2008 年の「イオン温暖化防止宣言」より、事業を成長させながら低炭素化に取り組んできた。店舗への太陽光発電の導入で再生可能エネルギーによる電力の自社消費を行っている。

自家消費では足りない電力は、外部の再エネ発電事業者から電気を調達する方法を取ってきた。電力会社の再エネ電力プラン契約に加え、グリーン電力証書を活用。

さらに、イオン各社を使った電力事業を手掛ける。グループ会社のイオンディライトは、ブロックチェーン技術による店舗間の電力取引に着手しており、今後拡大していく計画だ。

電力取引で再生可能エネルギーの管理・小売りを行い、利用量を増やしていく。事業化すれば、一般家庭や発電事業者も巻き込む電力事業に発展する可能性も高いだろう。

イオンの成果と再エネ調達法

イオンは、店舗の屋上に太陽光パネルを設置し再生可能エネルギーによる発電量を増やしている。2010年から2016年の5年間にはグループの連結売上高が60%増えたにもかかわらず、CO2排出量は8.2%削減した。

RE100への加盟事例【アスクル】

アスクルは、通信販売に特化した事業で成長を続けてきた。RE100加盟は日本で3番目、EV100(※)にも加入したことで国内初の事例となった。子会社を含むグループ全体での再生可能エネルギー100%達成は2030年までを目標にしている。
※ RE100と同様のイニシアチブ。事業運営に関係する全ての車両を電気自動車に置き換える。

アスクルはグループ企業全体で消費電力への取り組みを行い、目標達成に向けて努力している。取り組みの内容や効果について紹介しよう。

アスクルのRE100への取り組み

通信販売業のアスクルは、輸送にかかる膨大なエネルギーを自然エネルギーへ転換させる取り組みを行っている。RE100加盟後には、物流センターで使う電力を自然エネルギーへの切り替えを進めた。

さらに、商品を運搬する配送用の車両には、電気自動車を利用することでCO2排出量ゼロを目指している。電気自動車に使う電気は、電気会社が販売する自然エネルギー100%の電力を利用するのは必然と言えよう。

当面は、再生可能エネルギーで発電した電力を証書にした、「グリーン電力証書」の活用などでCO2排出量ゼロへと加速させるとしている。

アスクルはRE100に加盟している日本の企業の中で、目標達成期間が最も早く設定されている企業である。そのため、今後は電気会社からの自然エネルギー100%の電力購入のほかに、太陽光発電を設置し活用する取り組みへの支援を検討しているのだ。

再生可能エネルギーによる電力の調達が可能になれば、アスクルの目標である2030年という目標実現へ期待が高まるだろう。

アスクルの成果と再エネ調達法

アスクルは事業の成長幅が大きい企業で、2018年5月期の事業で消費されたCO2排出量は、前年比で約1.2倍と大幅に増加している。増加の要因としては、大型の物流センターを新設・稼働したことが大きいだろう。

また、アスクルの子会社が増えたことも要因で、このような事業活動の拡大によりCO2排出総量が大幅に増えたと分析されている。アスクルにおけるCO2排出量の約90%は、輸送や物流センターなどの事業活動に伴う電力使用とされている。

今後は、太陽光発電などの自家発電システムの導入や、電気料金プランの見直しを行うことが重要課題だ。アスクルは2030年の再生可能エネルギー100達成を目指し、CO2排出量の少ない再生可能エネルギーの電力に切り替えるためのCO2排出量の削減活動を展開していくことを表明している。

RE100に加盟する日本企業を参考に再エネ化に取り組もう

事例

RE100に加盟し連携して活動することには、企業の経営に欠かせないコストの削減や、環境保全への取り組みを連携し加速できるというメリットがある。さらに、環境問題への意識が高い企業という社会的価値も加わり、企業価値も高まる。

そのため、RE100に加盟する企業は世界規模で年々増加し、日本でも大企業が次々とRE100に加盟しているのだ。

しかし、再生可能エネルギー化を目指して社会的評価を上げるのは何も大企業だけとは限らない。中小企業もRE100加盟の日本企業を参考にした取り組みを行い、社会的価値を高めることが可能なのだ。

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