太陽光発電

▼ 最新のFIT売電価格とは固定価格買取制度に関する情報をこちらの記事で解説しています。

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太陽光発電の売電価格が年々下がっていくのをみて「太陽光発電はもう儲からない」と思っている方も多いのではないでしょうか。FITの買取価格だけで言えば、それはある意味事実でしょう。

たしかに、従来の産業用太陽光発電の導入判断はFIT価格が重要なポイントでしたが、今やFIT価格よりも目先の電気料金をどう解決するか?そこが問題になっています。

つまり、値上がりした電気料金の支払いを回避するために、多くの法人企業様が自家消費型太陽光発電の導入に転換しているのです。

燃料費高騰問題で電気代は先の見えない混乱へ

燃料費高騰問題

燃料高騰問題によって電力会社の新規受付停止や新電力の撤退が相次ぎ、電気の契約者が多大な影響を被っています。

中には今までの電気料金単価の数倍の金額で契約したり、どこにも契約できずに最終保証電力から電気を購入している法人様も存在します。

今後は、新規契約者の受け入れを再開する代わりに高圧・特別高圧向けの標準メニューに市場連動型が採用され、電気の需要が高いほど電気代が高額になるプランがスタンダードになります。

燃料調達の問題がいつ収束するのかわからず、電気代の正常化がいつ訪れるのか、先が全く見えない状況はしばらく続きます。

太陽光発電は自家消費のメリットが売電の収入を逆転

太陽光発電は自家消費のメリットが売電の収入を逆転

脱炭素のトレンドで再生可能エネルギーの需要は増している中で、FIT価格が下落により投資の判断が難しくなったのは2021年まででした。

結論から言えば、売電によって太陽光発電で利益を得ることは可能ですが、もう売電は時代遅れでしょう。

自家消費目的で太陽光発電を導入するほうが結果的にコストを下げるので、大きな利益を生むことになります。

この記事では、産業用太陽光発電の売電価格が低下する中で太陽光発電に投資するべきか?自家消費するべきかを解説します。

太陽光発電のFIT売電価格が安くなる理由

太陽光発電の売電価格が安くなる理由

まず初めに申し上げたいのは、太陽光発電のFITが安くなった理由は「収益を防げるためではありません」。

投資用太陽光発電の電気を電力会社が買い取るルールは「固定価格買取制度(FIT)」で定められています。

電気の買取価格を約束して再生可能エネルギーの投資参入を促すことで、
太陽光発電などの再エネを普及拡大させることを目的とした制度
なのです。

この制度により「調達価格等算定委員会」が出した意見をもとに、経済産業省が売電価格を決定しています。

買取価格は毎年の年度末までに決定され、年によって価格は変動します。

太陽光発電のFITを解説[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]

太陽光発電の売電価格の推移

10kW以上2000kW未満 全量買取り
(1kWhあたり・税抜)
2012年40円
2013年36円
2019年14円
※500kW未満まで
2020年13円
※10kW以上50kW未満・地域活用案件限定
12円
※50kW以上250kW未満まで
2021年12円
※10kW以上50kW未満・地域活用案件限定
11円
※50kW以上250kW未満まで
2022年11円
※10kW以上50kW未満・地域活用案件限定
10円
※50kW以上250kW未満まで
2023年10円
※10kW以上50kW未満・地域活用案件限定
9.5円
※50kW以上250kW未満まで
2024年10円
※10kW以上50kW未満・地域活用案件限定
9.2円
※50kW以上250kW未満まで

産業用太陽光発電FITは自家消費と投資用に分離

産業用太陽光発電は自家消費と投資用に分離

2020年のFIT認定分より、産業用太陽光発電の全量売電に変化が起こりました。発電容量10kW以上50kW未満の設備が「地域活用案件」の対象となったことです。

地域活用案件とは、平たく言うとこれから新設する低圧物件は余剰売電しかFITを認めないというものです。

低圧規模で投資用の全量売電をお望みの方は、すでにFIT認定を受けた投資用土地付き太陽光発電所を検討してください。

余剰売電するには自家消費用件を満たす必要があります。自家消費するには電気を消費する建物に発電した電気を供給しながら、余った電気を売電できる事になります。

つまり、そういった自家消費目的で太陽光発電の設置を検討する方はFIT価格よりも
値上がり中の電気料金を下げる自家消費目的で太陽光発電を設置する事が賢い選択
となります。

もし、単純に投資をお考えの方は1000万円前後からの投資用太陽光発電をお求めいただける、タイナビNEXTの関連サイト「タイナビ発電所」は ▼ こちらです。

太陽光発電の売電価格と同様に安くなったものは2つ

チェック

太陽光発電のFIT売電価格は、2012年には40円だったものが、2024年には9.2円/10円 (※ 地域活用要件)にまで値下がりしています。

同じ太陽光発電でありながら、2012年のFIT価格に比べると、およそ3分の1にまで下落したことがわかります。事業として太陽光発電に投資して、今からでも利益が出るのか疑わしい気持ちになりますよね。

それでも太陽光発電の需要が収まらない理由は、当時よりも大幅に安くなった設備費用です。

産業用太陽光発電

太陽光発電の導入費用は、固定価格買い取り制度が始まった当時に比べると導入費用が大幅にダウンしました。

ある企業調査によると、2012年における49.5kWの太陽光発電は、1kWあたり初期投資額は44万円。2016年にはおよそ半額の24万円にまで下落していました。

50kW未満の産業用太陽光発電設備を導入する場合、2009年の設置費用は1kWあたり46万円だったのに対し、2024年の設置費用は15万円ほどにまで下がっています。

これほどまでに太陽光発電が安くなったポイントは、太陽光パネルなどの設備でメーカー間の価格競争が進んだこと、そして設置するときの工事費用も効率がよい手法が編み出されたコストカット効果です。

設備の開発で発電性能も向上し、同じ大きさの太陽光パネルでも、以前に比べて発電量は増しています。
つまり、同じ面積の太陽光発電設備でも、新しく設置したものは高効率での投資回収が可能なのです。

以前と比べて設置費用差は2000万円以上にも及ぶ

シミュレーション

この金額を元に、80kWの太陽光発電設備を設置した場合の費用をシミュレーションしてみましょう。

  • 2009年には「80kW×46万円/kW」で3680万円かかった設置費用
  • 2024年には「80kW×15万円/kW」と、1200万円に下がりました。

つまり約2480万円もの差が出るほど、明らかに安くなっているのです。

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そもそもFIT価格は投資費用を回収できる水準で定められるもの

そもそも、FIT制度は再生可能エネルギー発電の投資回収を支えるためにあるもので、普及が進んだ今でもその役割を果たしています。

毎年行われるFIT価格の会議では、太陽光発電の設置実績とかかった費用のトップランナーを参考に、太陽光発電の買取価格を検討しています。

つまり、太陽光発電の設置費用の大幅な低下と発電効率の向上によって、売電価格が低下しても十分に利益が得られるようになっているのです。

売電無視で完全自家消費した場合の収益はどのくらい?

太陽光発電の収益

売電価格で得られる利益ではなく、自家消費した場合にどれくらいの経済メリットになるのかを具体的な数値でシミュレーションしてみましょう。

たとえば、2024年の法人向け電気料金単価を32円/kWh(再エネ賦課金・燃料調整費込み)として、太陽光システム容量460kW(パワコン容量)とした場合、得られる経済メリットは以下のようになります。

※本シミュレーションは、2023年5月現在の燃料調整費用を採用しております。あくまでも自家消費率100%での例になりますのでお客様の物件の電気料金単価・電気使用料及び電気の使い方でシミュレーションが大きく異なります。ご契約前には必ずシミュレーションを設置物件毎に販売企業様より作成してもらう事が重要です。

<太陽発電設備>

太陽光発電システム容量460kW(パワコン容量)
年間予想発電量510,000kWh

<蓄電池情報>

蓄電池容量>100kW
蓄電池出力29.7kW
パワコン出力40kW
契約最大需要電力削減値40kW

<太陽光発電設備・蓄電池導入費用>

機器・工事費用(税込)8,040万円※1
補助金2,370万円※2
初期費用総額(税込)5,670万円


※1太陽光発電460KW導入金額(14万円×460KW)+蓄電池100KWH導入金額(16万円×100KW)の合計
※2二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(2023年度のストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業補助金を活用した場合)

次に、契約している電気料金プランおよび太陽光関連設備の導入前の電気機料金については以下とします。

<太陽光発電設備・蓄電池 導入前の電気料金>

契約電力32.00円/kW
年間基本電気料金13,773,600円
年間電力使用料金35,041,844円
年間電気料金の合計48,815,444円

ここから、初期費用の回収年数を計算していきます。

太陽光発電設備と蓄電池を導入したことによりピークカットが行われ、契約最大需要電力が下がり、年間基本電力料金が下がります。

<太陽光発電設備・蓄電池 導入後の電気料金削減>

※()内は導入前と導入後の差

契約電力600kW → 560kW(-40kW
①年間基本電力量削減-91.8万円
②年間電力使用料金削減
※自家消費率100%の場合
-1,632万円
①+②年間電気料金削減合計-1,723万円

太陽光発電設備を導入し、蓄電池を導入すると、電気料金が年間1,732万円も削減できました。
最後に、補助金差し引き後の初期費用総額(5,670万円)を、電気料金削減額で割ると、初期費用の回収年数が算出されます。

初期費用の回収年数

初期費用

5,670万円(初期費用総額)÷ 1,732万円(年間の電気料金削減額)= 3.3年

およそ3.3年で初期費用が回収可能となりました。

2024年は電気料金がかなり高騰している影響により、投資回収期間はより短くなっております。今後、更に値上がりが継続すればより短い投資回収期間が見込まれる可能性もあります。

※回収期間が短くなった背景は電気料金の高騰です。近年は電気の燃料費が高いので、太陽光発電を使うと値上がりした電気代を回避できます。

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今後のFIT売電はどうなる?

今後の産業用太陽光発電

年々、太陽光発電の売電価格は下落していますが、国は今後も売電価格を引き下げていく方針です。

近年の傾向から考えると、今後の産業用太陽光発電の売電価格は毎年1円/kWhずつ減っていくと予想されていますが、売電価格が下がるという側面で考えるのはもう古いでしょう。

  • 今はFITの収入よりも、電気料金の削減が鍵です。

電気料金の高騰に比例して経済メリットが高くなる事を念頭におきましょう。

そして、売電価格の下落は、太陽光発電の設置コストを削減する圧力ともいえます。太陽光発電を安く買い、高額な電気代を回避することが、現在の誰もができる再エネの活用法なのです。

今からの投資用太陽光はFIP対策で伸びる可能性大

オッケー

法人等の施設に太陽光発電を設置する場合はFIT価格はもう考える必要はなく、土地などの野建てに中~大規模の太陽光発電に対しては、「FIP制度」への移行が一般的です。

FIPとは、再生可能エネルギー発電事業者が市場価格にプレミアム価格として補助金を上乗せして売電する制度のことです。

再生可能エネルギーの促進や自由な競争ができるFIPは、FITに変わる新たなシステムとして注目されています。

これから太陽光発電を始めても大丈夫なのか

産業用太陽光発電

太陽光発電の導入を検討しているなら、太陽光パネルは各メーカーが日々研究を重ね、性能アップが実現している点を認識しておきましょう。

たとえば、太陽光エネルギーを電力に変える「変換効率」についても、製品の改善は年々進み大きく飛躍しているのです。

変換効率

1990年代は変換効率が10%台の太陽電池がほとんどでしたが、2000年度あたりから20%を超える太陽電池が増えています。改良が進んだ高効率のパネルを搭載すれば、収益性も上がることが期待されます。

また、太陽光パネルは寿命が長いことで知られていて、一般的には約30年もあるといわれているのです。技術的にも進歩し続けている現在の太陽光パネルであれば、さらに長い寿命も期待できます。

このような「技術の進歩」というポイントを踏まえると、今後も太陽光発電事業にはメリットがあるといえるでしょう。

大規模地上設置型の太陽光発電はFIPやNON-FIT型が主流になり、法人施設に設置する場合は完全自家消費型主流となります。

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FITが終了するとどうなるのか?

FITが終了どうなる

FIT制度には「固定買取期間」が定められていて、太陽光発電が発電を始めた年度の買取価格が適用されます。産業用太陽光発電の場合の固定買取期間は、20年間とされているのです。

この買取期間が終了すれば、電力会社の買取義務はなくなってしまいます。

  • ただし、発電開始から20年を過ぎれば、太陽光発電設備の初期費用は回収が終わっていることでしょう。

この段階まで来たなら、発電で得られる電力で最大限の利益を得たいですよね。肝心なのは、20年後にFIT認定が終わったときのことです。

正直、現在の電気料金高騰問題の中で工場などに太陽光発電を設置してFITで全量売電している法人の中には、FITで売電するのをやめて自家消費型に変更する法人も出てくるのではないでしょうか?そのほうが経済メリットが高くなる可能性さえあります。

すでにFIT切れを迎え始めた住宅用太陽光発電はどう対応しているか

住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電の卒FIT

産業用太陽光発電でFITが切れる設備が出始めるのは2032年からです。

まだ先のことなので現時点では明確な答えはないのが実情ですが、住宅用太陽光発電で生じたFIT切れの設備については「卒FIT」の体制に移行し、大きなトラブルを生じさせないまま数年たちました。

卒FITとは、住宅用(10kW未満)太陽光発電に適用される10年間のFIT売電期間を終えた設備などのことです。

太陽光発電

こうした卒FIT案件に対して電力会社が「卒FIT向け買取プラン」を発表しており、国の固定価格買取制度よりは安価ですが、電気を無駄に捨てさせない買取サービスを提供しています。

1案件あたりの発電容量が少ない住宅用に比べて投資用太陽光発電は規模が大きく、遊休地にたっぷり敷いた長寿命のパネルをFIT切れと同時に廃棄されるのはもったいないという声が上がっています。

10kW以上の太陽光発電に対しても、FITが終わる頃には「卒FIT向け買取プラン」が出てくるのは自然なことでしょう。

しかし、買取自体が継続されても買取価格は下がる可能性が高いです。FITが終わる頃、全てを自家消費用に転換するか、売却を検討するのがおすすめです。法人企業は自家消費型にすることをお勧めします!

FIPとは

再生可能エネルギーを売電する際に、基準となるFIP価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度がFIPです。ヨーロッパなどではすでに導入されている制度で、日本では現在中規模以上の太陽光発電が対象です。

FITとFIPの特徴と違い

FIT制度(Feed-in Tariff)

FIT制度は、政府が定めた固定価格で再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)の発電事業者から電力を買い取る制度です。
買取価格が常に同じなので、発電事業者は安定した収益を得ることができます。

FIP制度(Feed-in Premium)

FIP制度は、再生可能エネルギーの発電事業者に市場価格に上乗せしたプレミアム(補助金)を支払う制度です。市場価格の変動によりプレミアムの金額は変わりますが、
電気の需要が高いタイミングは上乗せ額が増えます。

FIPは利益を増やせるチャンス

要するに、FIT制度は政府が固定価格で電力を買い取る制度であり、FIP制度は市場価格にプレミアムを加えた金額を支払う制度です。どちらの制度も再生可能エネルギーの普及を目的としていますが、支援の仕組みが異なるイメージです。

事業者が蓄電池を活用し市場価格を注視しながら、高価格のタイミングで売電することで利益を増やせるのがFIPの特徴です。

また、電力会社に売電するFITとは異なり、FIPでは事業者が卸市場や小売事業者などの売電先を決めるようになります。

FIP制度の対象者は?

50kW以上、1.000kW未満の太陽光発電の場合は、事業者の希望によってFITまたはFIPを選択できます。入札が適用になる1.000kW以上の太陽光発電はFIPの対象です。

人気だった低圧太陽光発電はもう収益特化できない

太陽光発電収益特化

かつて投資家に人気があった投資用太陽光発電は小さめの低圧発電所(発電出力10kW以上50kW未満)です。開発しやすいサイズなので初期コストが安く、FITによる収益性も十分だったからです。

2020年以降、こうした低圧案件は新しい物件の開発がストップしてしまいました。3割以上の自家消費を求められる「地域活用要件」の対象になったためです。

いまから低圧物件を入手するには中古物件をお探しください。

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地域活用要件とは

太陽光発電の地域活用要件

新規事業者がFITを申請するときの要件として、50kW未満の設備は作った電気のうち30%以上を自家消費しなければならないというものです。

国は災害時の対策を強化するために、太陽光発電での自家消費を勧めています。地震などの災害時に必要な電力を確保し、早期復旧を目指すための対策です。

また、電力を地域で地産地消することで電源を分散させることも狙いとしています。電源を1カ所に集中させなければ、大規模な停電を回避できます。

なお、売電価格よりも買電する電気代のほうが高いので、太陽光発電で作った電気は自家消費するほうがお得です。

2024年から始める「屋根置き」太陽光はFIT価格で有利

屋根置き太陽光

2024年度からの措置として、
10kW以上の太陽光発電を対象としたFIT価格に新しい区分「屋根置き」が追加されました。

大きな特徴は2つあります。

  • FIT価格は地上に設置する設備よりも高く設定
  • 30%以上を自家消費する余剰売電型が対象

太陽光発電を設置した施設で30%以上を自家消費すると、余剰電力の単価が高くなるというFIT区分です。昨今のように電力価格が高いときは自家消費の比率を増やす方が得ですが、余ってしまう電気から得られる収入を増やすために有効です。

産業用太陽光発電のコスパは良くなっている

コスパ

太陽光発電の普及や技術が進歩したことで、導入にかかるコストは年々下がっています。そのため、FIT価格が下落しても元を取ることは十分可能です。

50kW以上の高圧の産業用太陽光発電の場合、全量売電ができるので初期費用を早めに回収できるでしょう。

初期費用が安くなっている分、産業用太陽光発電のコスパは良くなっているといえます。

太陽光発電は自家消費型が完全主流の時代に

自家消費用太陽光発電

売電価格が下落することは、全量売電で利益を狙う人にとっては厳しい現実です。しかし、自家消費や余剰売電(自家消費の使い残しを売る)を計画する人にとっては、経済的なメリットの高まりであるとも言えるでしょう。

電力会社から買う電力の単価と、太陽光発電が出力する電気の単価が同じとみなされるなら、CO2を排出しない分は太陽光の電力の価値が上回ります。

CO2排出量の削減が企業価値になる、近年の世情の変化も、自家消費用の太陽光発電の大きなメリットです。

産業用太陽光発電には、自家消費で電気を買うと、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金を支払わなくてよいという大きなメリットがあります。

事業者の条件によっては賦課金の支払いが免除されることもありますが、賦課金免除の対象に含まれなかった事業者にとっては大きな魅力です。

自家消費による再エネ賦課金の削減効果

削減

再エネ賦課金とは、正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。

固定価格買取制度によって、電力会社が電力の買取りに要した費用の一部を、電気を利用しているすべての人が賦課金という形で負担するものです。

再生可能エネルギー発電設備にかかるコストが大きかった2012年、投資の利潤をもたせて導入を促進するために、高額な売電単価が設定されたのです。

再エネ賦課金は、電気代が高くなっている要因の一つです。2012年には0.22円/kWhだった再エネ賦課金は、2022年には3.45円/kWhになりました。もはや、無視できる金額ではないことがおわかりいただけるでしょう。

また燃料調整費は、電気代が大きく高くなっている要因の一つです。

2022年1月は-0.52円/kWhだった燃料調整費は、8月には4.93円/kWhになり、今年だけでも5円/kWhも増加しており、本当に先行きが不透明な状況です。

太陽光発電の増加にともない、再エネ賦課金は今後も値上がりする予定があります。太陽光発電で得られた電力を自家消費すれば再エネ賦課金が発生しないので、電力コストを大きく下げられるのです。

災害時のリスク対策になる

太陽光発電停電対策

太陽光発電で得られた電力は、自家消費に活用すれば災害時のリスク対策にもなるのです。

地震や水害などによる災害によって電気の供給が急に止まったとしても、太陽光発電の電気は使用できます。

停電時に電気を使えるなら、たとえ災害による停電が起こっても企業は営業を続けられるでしょう。

近年、大きな自然災害が増えているなか、復旧まで1週間かかるような事例も多く見られます。

太陽光発電があることで、災害時でも電源を確保できるという安心感が得られるメリットは大きいです。

節税につながる

節税

太陽光発電システムによって発生した電気は、自家消費することを目的にするなら、「中小企業等経営強化法」という税制優遇制度を活用できることも知っておきましょう。

対象になるのは「資本金1億円以下で、使用する従業員が1000人以下の法人」、または個人事業主です。

「税制控除」と「即時償却」のどちらかを選ぶことができます。即時償却は、設置した年度に設置にかかった費用を全額経費として申告することが可能です。

税額控除では、事業を開始した年度から導入費用の10%を差し引くことができるので長期的な節税につながります。

自家消費型太陽光発電を活用するポイント

太陽光発電を活用するポイント

自家消費型の太陽光発電にはメリットが多いことが分かりました。それでは、実際にはどうすれば最大限のメリットを導きだせるのでしょうか。

ソーラーパネルの向きと角度

産業用ソーラーパネル

太陽エネルギーから得られる発電量を多くすれば、電力会社からの買電を減らすことができるのでコストダウンにつながるでしょう。

  • それには、太陽光パネルの向きや角度を計算して、最大限の効果を出せる施工会社を見つけるのが最初のポイントです。

一般的には、発電に適している太陽光パネルの向きは「南」で、角度は「30度」といわれています。しかし、実際には太陽光発電設備を設置する「周囲の環境」によっても異なる点も考慮します。

積雪量の多い地域の場合、雪が落ちやすいように角度を高くします。太陽光発電を設置する前に、ケースごとの最適な向きや角度を確認することが必須となります。

価格競争力のある産業用ソーラーパネルメーカーの選定

産業用ソーラーパネルメーカーの選定

住宅用の場合は日本メーカーを選定する方は多いのですが、産業用太陽光発電の場合はほぼ9割以上は海外メーカーのソーラーパネルが使用されております。単純に世界的に生産量も多く、品質、価格、保証の面で最高水準だからです。

2024年は、世界中で起きているエネルギー不足の為に物価が上昇しており、太陽光パネルもメーカーによって価格が大きく異なっております。

多くのEPC企業で取り扱われているソーラーパネルメーカーの1つにLONGi (ロンジ)という中国メーカーになります。世界最大級の生産量もあり、日本法人もあります。当然、ジンコソーラーやトリナソーラーも人気があります。

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国・自治体からの補助金を最大件活用する!

国・自治体からの補助金

自家消費目的で産業用太陽光発電を設置する場合は、国(環境省・経産省)から太陽光発電や蓄電池に対して補助金が出ていますが、各都道府県からも補助金が出ているのはご存知でしょうか?

北海道・大阪・東京・神奈川のように自治体からも補助金が出ております。もちろん、国と自治体の補助金を併用する事は可能ですので、こちらも最大限活用するべきでしょう。

エリア別の補助金情報だけでなく、ソーラーパネルのメーカー選びも、購入費用と発電効率は必ず反比例するわけではありません。

広い面積に安くてほどほどの品質のソーラーパネルをたくさん敷いたほうが良いのか、狭いスペースに高効率のものを置いたほうが良いのか。

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蓄電池と一緒に設置する

蓄電池

太陽光発電システムは、「蓄電池」を利用することで太陽エネルギーから作られた電気を貯めておけます。昼間の太陽が出ている時間帯に発生した電気を、蓄電池に貯めておくことがポイントです。

それにより、たとえ天候が悪く太陽が出ていない日や夜間の時間帯でも、蓄電池に貯めておいた電気を使用できるメリットが得られます。

電力会社から割高な電力を買電しなくてもよくなるため、より電気代の節約につながることは間違いません。

より大きく節約したいなら、蓄電池などを太陽光発電とセットで使うのがおすすめです。

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自家消費用なら蓄電池との併用が推奨される

産業用太陽光発電を自家消費型

産業用太陽光発電を自家消費型にすると、規模などの条件によっては使う電気をほぼ自給自足することもできます。そうなれば、施設を災害時の緊急避難助場所としても活用でき、地域への貢献度も高まるでしょう。

ただし、それには太陽光発電で作った電気を貯めておける蓄電池の導入が欠かせません。

自家消費型太陽光発電は、災害時の行動計画であるBCPにも役立ちます。BCPは地震や豪雨、事故などで停電が起こる事態を想定し、企業が事業継続や早期復旧を目指し計画するものです。

BCPの策定では、蓄電池があるほうが長期間の停電にも対応可能な計画作成が可能になります。蓄電池があれば、日中に貯めた電気を夜に使うこともできます。

産業用蓄電池を導入すると、BEMS(ビルエネルギー管理システム)や、FEMS(ファクトリーエネルギー管理システム)を構築できます。これにより、ビルや工場では電力使用量や配線などを可視化することも可能です。

施設の電力使用量がピークになる時には消費量を抑え電気料金を安くすることにもつながります

産業用太陽光発電は今後どうなる?

産業用太陽光発電

太陽光発電の市場は、FIT制度での売電価格が下がっていることから近年では縮小傾向が続いてきました。ただし、今後は自家消費型太陽光発電の需要が拡大していくと予想されています。

2022年以降は、産業用太陽光発電の9割程度が自家消費型になるとの見通しです。電気料金高騰により、今後は全量売電型よりも自家消費型のほうがはるかに初期費用を回収する期間が短くなるためです。

自家消費型太陽光発電が増えていく理由

自家消費型太陽光発電

自家消費型太陽光発電が投資回収期間を短縮できる理由は一つだけではありません。まず、技術の進歩や太陽光発電の普及に伴い近年の導入費用が安くなっていることが挙げられます。

FIT制度での買取価格が低下しているうえに、産業用太陽光発電の全量売電が廃止されたことも大きいです。

また、電気料金が値上げされている昨今では、買電するよりもできるだけ自家消費するほうが電気料金を抑えられます。

国や地方自治体は再生可能エネルギーの普及に向けて補助金など支援体制を広げているため、今後は自家消費型太陽光発電がさらに増えていくでしょう。

産業用太陽光発電はNONFITと自家消費が主流!

自家消費型太陽光発電

太陽光発電の設置を検討をしていたターゲットが今後は大きく変わっていきます。

まずは、土地等に投資目的で設置検討していた個人はFIT価格の下落により大きく減少し、電気料金の高騰により自家消費目的の法人が産業用太陽光発電の主役になります。

また、電気供給側の電力会社はNONFIT型で太陽光発電を大量に購入し、オフサイト型PPAという形で電気を供給するPPA事業者になっていくでしょう。

太陽光発電は電気料金高騰問題の最大の解決策

太陽光発電と電気料金

太陽光発電で自家消費する事は産業用だけでなく、家庭用でも今後浸透するでしょう。電気料金の高騰問題は2024年で終わりではなく、今後数年間は値上がりが続くと予想されます。

各電力会社もベース電源の確保の為に、Non-FIT型の太陽光発電を大量に購入する動きが始まっております。

少しでも電気料金を下げて、経済メリットを高めるためには太陽光発電の相見積もりが必須となるのです。

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