社用車EV

国際社会が脱炭素に向けて取り組む中で、国内の企業も事業に使用する車を電気自動車化する動きがある。

この記事では一般家庭の自家用車のみでなく、実際に多様な職種に採用され始めているEV(電気自動車)の導入事例について紹介する。これから自社の電気自動車の導入を検討している企業にとって参考にしてほしい。

なぜEV化した? 電気自動車導入の背景

企業が電気自動車の導入を進める背景として、世界的な環境汚染の深刻化が挙げられる。その原因とされるCO2を削減する対策が企業に求められている。

ガソリン車はガソリンを燃焼する際に、温室効果ガスである二酸化炭素などを排出する。一方、電気自動車は電気の力でモーターを動かすため、走行中に二酸化炭素を排出しない。

EV化を進めることが、事業のCO2削減につながるのだ。

いつもの車を「脱炭素」EV100の国内事例が増加

「2030年までに加盟企業が利用する全車両を電気自動車化する」という目標を掲げる企業が加盟する、国際イニシアチブの「EV100」も拡大している。

日本国内でも加盟企業が増えている。NTTやイオンモールなどをはじめ、積極的にEV化に取り組み、行動に移す大手企業が続出しているのだ。

そして、脱炭素化の動きは大手企業だけではなく、関連の中小企業にも求められている。

国内の大手自動車メーカーでは、CO2ゼロなどを製造から廃棄までのライフサイクル全体における長期目標に掲げている。そのサイクルの中で、部品を提供する企業などにも脱炭素化を求める内容も含まれているのだ。

環境への意識が高い大手と取引する企業にとっても、脱炭素は無関係ではないということだ。

電気自動車の導入事例

電気自動車

この項では、実際にどんな企業がどのようなシーンで電気自動車を導入しているのか?その事例について紹介する。

営業車

資生堂グループの資生堂販売株式会社は約1500台の営業車を保有している。2011年から日産の電気自動車「リーフ」を10台導入した。営業車は社員が担当する店から店へ車を走らせる目的で使用されている。

導入前は「営業中に充電がなくなるのでは」など社員からの不安の声もあったが、今では毎日営業車として使用されている。

配送車

アスクル株式会社は、電気自動車の使用を促進する国際イニシアチブ「EV100」に加盟している。2030年までにアスクルの物流センター運営と配送を担う、子会社のアスクルロジストが所有・リースする配送車両を100%EV化することを目指す。

実際に、配送用車両200台のうち12台を日産自動車の「e-NV200」にしてEV化を進めている。配送車は、法人顧客や個人向け通販「ロハコ」の配送での使用が目的だ。

EV車の導入に併せて、電気自動車が配備された拠点にEV用充電装置を設置し、運転手が配送中にガソリンスタンドへ寄る手間をなくす工夫もしている。

集配車

日本郵便株式会社は、2019年11月に郵便物などの集配時に使用するEV車の新デザインを発表した。車種は「ミニキャブ・MiEVバン」で、2020年度末までに1200台配備する目標だ。

これにより集配車両の3割が電気自動車になる。EVの集配車は、1日の走行距離が最長50km程度の業務で使用する予定になっている。

寒冷地ではバッテリーの能力が低下する恐れがあるため、導入は全国の大都市圏の郵便局が中心だ。寒冷地においては3台のEV車を導入する予定があり、試行をした上で導入を検討する施策が取られている。

電気バス

電気バスの導入事例は、「短距離走行多頻度充電型」と「長距離走行夜間充電型」がある。

航続距離が30〜80km程度の「短距離走行多頻度充電型」は、重たく高価なバッテリーを最小限にし、バスターミナルに戻ってくるたびに充電できる電気バスだ。

事例としては、西日本鉄道が2020年2月より、福岡市のアイランドシティ自動車営業所に1台の電気バスを導入することを発表している。

朝夕のラッシュ時に運行し、昼間はその電源を営業所内のエアコンや照明の電源として利用したり、非常用の電源として活用するなどの工夫が取られる。

「長距離走行夜間充電型」は、蓄電池容量を大きくして、夜間1回の充電で1日の運行距離分の充電ができる電気バスである。

事例として、プリンセスライン株式会社が「京都プリンセスライン」を7台、2014年度と2017年度に導入した。大容量電池を搭載しているため、夜間充電のみで250km走行でき、通学路線バスとして120kmの走行をした実績もある。

国内で人気の電気自動車

国内で人気のある電気自動車とそのスペックを下記表にまとめた。

メーカー航続距離急速充電時間
リーフ日産自動車390km約45分
(80%充電)
e-NV200日産自動車300km約40分
(80%充電)
MINICAB-MiEV三菱モータース150km約15分
(80%充電)
i-MiEV三菱モータース164km約30分
(80%充電)

その他のEV化の施策として、休日は公用車や社用車をレンタカーやカーシェアリングに活用する動きなどもある。

その事例として、リコージャパン高知支社がEV車2台とEV・PHEV充電用設備を導入して、平日は営業車として使い、休日は観光客や近隣住民向けにカーシェアリングする実証実験を行っている。(2019年3月28日〜2020年3月27日)

トヨタはビジネス向けEVを発表

国内の企業が続々とEV化に乗り出す中、トヨタ自動車がビジネス向けの超小型EVを発表した。

このビジネス向けEVは、1人乗りを想定しており、近距離移動を目的とした電気自動車だ。最高速度は60km/hで、1回の充電で走行可能距離は約100km、充電時間は約5時間(200V)程度である。

コンビニのエリアマネージャーの店舗間移動や、1人で行う営業先周りなどに活躍が期待できるだろう。

電気自動車や太陽光発電の導入でCO2を削減しよう

営業車や配送車に電気自動車を導入する企業が増えている。その背景には、世界的な環境汚染の要因とされているCO2の排出量を減らす目的がある。

今後は、国際イニシアチブの「EV100」に加盟する大企業だけでなく、関連の中小企業も電気自動車や自家消費用太陽光発電の導入などを検討する必要が出てくるだろう。