工場の省エネ

工場では大きな電力を利用するため、省エネは重大な課題だ。工場の省エネを実現するために、どのような方法を取ればよいか悩む経営者も少なくない。省エネ対策にはコストがそれほどかからないものや、コストはかかるが大幅な省エネが期待できるものなど、さまざまな方法がある。

この記事では工場向けの省エネの具体と費用対効果についてご紹介する。ぜひ、自社に合う省エネ方法を選ぶ際の参考にしてほしい。

工場でできる省エネ対策の事例と具体例

工場でできる省エネとは、消費エネルギーが少ない設備に変える、電気の使い方を変える、電気を自給自足するなどがある。この段落では、工場で実行できる省エネ対策について、5つの方法と具体例を紹介する。

デマンドコントロールで基本料金を下げる

電気の基本料金は「最大デマンド値×基本料金単価×力率割引」という数式で決定される。

デマンドとは1時間の平均使用電力を意味し、過去1年間で最も使用量が多い時間帯の使用電力を最大デマンドという。デマンドをコントロールしてピーク時の電力使用量を抑えれば基本料金が安くなり、電力コストを着実に下げられる可能性があるということだ。

三菱電機株式会社福山製作所の事例では、電力のデマンド管理を実施して大きなコスト低減に成功している。2006年度にエネルギー生産高原単位で、1990年度比27%削減という結果が出たという。

これは、デマンドコントロールシステムを使えば現場の手間はかからない。使用電力量が特定の値を超えないようにシステムで監視し、空調などを自動で調整するシステムだ。

断熱を工夫して空調費用を抑える

空調は生産設備の次に電力使用量が多いため、空調が消費する電力量をいかに抑えるかが電気料金を削減するポイントである。

室温上昇を防いで無駄な空調費用を減らすために、出入り口にビニールカーテンを設置して開放を防ぎ、遮熱するという方法がある。

遮熱するべきポイントは、窓や外壁、屋根などもある。窓に断熱フィルムを貼れば断熱をしながら日光を採り込むこともできる。外壁には、断熱塗装を施すのが有効だ。これらの断熱方法は低いコストで実現できる。

意外に思われるかもしれないが、太陽光発電設備を工場の屋根に設置することにも断熱効果がある。屋根に当たる直射日光を太陽光パネルでさえぎることにより、屋内に熱が伝わりにくくなるためだ。

空調自動管理システムを利用する

空調は室温が1度下がるだけで電気料金を10%削減できるが、体感温度や省エネ意識には個人差があり、人の手で空調を効率的にコントロールし続けることは難しい。

空調自動管理システムなら、外気温に応じて自動的にベストな室内温度を設定し快適な室温をキープできる。人への負担をかけず、無駄な空調費用を削減できるのだ。

照明をLED化して光熱費を削減する

空調に次いで電気使用量が多いものが照明だ。水銀灯からLEDに替えれば電気料金を3分の1まで削減できる。人感センサーを導入して人がいない場所における照明の点灯を減らせば、従来の20%まで電気料金を削減することも可能だ。

たとえば、一般的な物流センターにおける工場内で作業に必要な照明の点灯率は約20%といわれており、残りの80%は無駄に点灯している。この80%分の電気料金をカットできれば大きな成果が出ると考えられる。

水銀灯からLED照明に替えて電気料金を約77%カットし、さらに人感センサーを導入して80%程度の無駄な点灯をなくせば、トータルでは約93%の電気料金を削減できるという計算だ。

太陽光発電が工場の省エネに最適な理由

太陽光発電設備を設置すると工場の省エネ対策として大きな効果を期待できる。この段落では、その理由について具体的に解説する。

電気会社から購入する電力を削減できる

2011年の東日本大震災以後、電気料金は毎年、値上がりする傾向にある。今後も、電料金はさらに値上げされていくと予想されるため、対策として自家消費型太陽光発電を導入し、電力会社から購入する電力量を減らす企業も増えている。

上で述べた通り、最大デマンドが大きいと電力会社に払う電気の基本料金も高額になる。そこで、自家消費型の太陽光発電を導入して繁忙期の工場稼働や夏季の空調利用にかかる電気コストの一部だけでも賄えば、最大デマンドの削減と電気料金の削減につながる。特に、消費電力の大きい工場では大きなコストダウンとなるだろう。

蓄電池を併用してさらに省エネ効果を期待できる

自家消費型の太陽光発電設備を設置し、さらに蓄電池を導入すれば、より効果的に電気料金を削減できる。

たとえば、稼働の少ない早朝や夜間などの時間帯は発電した電気を蓄電池に充電し、最も電気を使用する日中などに蓄電池から放電することが可能なのだ。それによって、最大デマンドのカットにもつながる。

大容量の蓄電池と太陽光発電を併用すれば、晴れた日に大量の電力を蓄電池に貯蔵しておき、夜間や雨の日に放電して使用するといった電力の自給自足が可能になる。また、蓄電池は災害時の停電に備える対策としても期待できる。

太陽光発電導入による費用対効果

この段落では、太陽光発電設備を導入した場合の費用対効果について見ていこう。

太陽光発電設備の導入費用1300万円
月間発電量6000kWh
25年間の発電量180万kWh
1kWhあたりの単価7.22円

1kWhあたりの単価は「導入費用(1300万円)÷発電量(180万kWh)=7.2222円/kW」という計算で求められる。

ちなみに、2019年現在の電力会社の平均的な電気料金単価は約22円だ。自家消費型太陽光発電のコストと比較すると、1kWh あたりの単価差額は14.78円である。この数値から計算すると、年間で106万4160円の削減効果があるということになる。

計算式

14.78円×180万kWh÷25年間=106万4160円

工場の省エネ効果は大きい!太陽光発電や蓄電池の導入がおすすめ

工場では生産設備や空調・照明の使用電力量が非常に多い。大きな電力を使用する分、省エネ対策から得られる電気料金削減の効果も大きなものとなる。今回の記事で紹介したような即時に実行できる省エネ方法に加えて、さらに大きな効果を得るためには、太陽光発電や蓄電池の導入がおすすめだ。

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