太陽光発電の保証

産業用太陽光発電は20年、もしくはそれ以上の年数、稼働させることができる。長期運用でありがちな機器のトラブルに備えるなら、損害保険が有用だ。

ただし、太陽光発電にはメーカー保証が付いている。保険商品を検討する前に、まずはメーカー保証の補償範囲や条件を理解しておきたい。無駄な保険はランニングコストの増加につながり、事業継続におけるリスクになってしまうからだ。

メーカー保証の適用範囲や、損害保険でカバーするべきリスクを理解していこう。

産業用太陽光発電のメーカー保証の範囲は?

産業用太陽光発電の故障やトラブルなど、リスクに備えるならメーカー保証を優先的に使うのがセオリーだ。

損害保険の内容を検討する前に、まずはメーカー保証の範囲について理解していこう。

製品の不具合に対応できる製品保証

製品保証は、製造上の不具合や破損などに対して適用される。製品の初期不良で、なおかつメーカー認定の業者がメーカーの規定通りに設置している場合に限り、利用可能だ。

対象機器は架台、延長ケーブル、接続箱、パワーコンディショナ、昇圧ユニットなど。一般的な保証期間は10~15年で、メーカーにより異なる。

災害や事故などによる故障やトラブルは、製造上の不良や欠陥とは異なる。製品保証の範囲外だ。

工事中のトラブルに対応する保証

太陽光発電を設置する工事中に、万が一のトラブルがあったときの保険についても確認しておこう。施工会社によっては、「電気工事の1年保証」や「建設工事保険」に加入しているケースもあるので解説する。

「電気工事の1年保証」は、電気工事をした物件に欠陥があった場合に保証されるもので、ほとんどの太陽光発電工事には付いている。「建設工事保険」も施工会社が加入する保険で、工事中の盗難や事故などに対し金銭的な保証が受けられるものである。ただし、施工会社が各種保険に加入しているかは、事前に問い合わせて確認しておきたい。

メーカー保証が適用されないケースに注意!

メーカー保証とは、太陽光パネルなどの機器に対してメーカーが設けている保証制度である。保証期間内に製品の故障や破損などのトラブルがあったときに、メーカーが無償で修理や交換を行うものだ。保証はメーカーの施工研修を受けたうえで、免許を取得した施工会社が太陽光発電設備を設置した場合にのみ適用となる。

メーカーが認定していない施工会社に設置を依頼すると、個々の製品に対する保証はあるものの、設備全体としての保証は無効になるのだ。メーカー保証を有効にするためにも、メーカー認定の施工会社へ依頼しよう。

メーカー保証以外で入っておくべき損害保険

太陽光発電の損害保険

 
損害保険は、メーカー保証ではカバーできない部分に対応できる。しかし、リスクを想定以上に見積もってたくさん特約を付ければ、保険料は高くなってしまうのだ。逆に、必要以上に保証を削れば、不慮のトラブルに備えられない。損害保険を選ぶには、起こりうるリスクと事業計画のバランスが重要だ。

太陽光発電の運転中に起こり得るリスクと、どのような損害保険を選ぶべきか、説明していこう。

メーカー保証では賄えない産業用太陽光発電で起こりうるリスク

メーカー保証の対象外になる主なトラブルは4つある。

  • 設備の故障や破損
  • 盗難
  • 賠償責任
  • 出力抑制

災害による設備の故障や破損

1つ目は、災害による設備の故障や破損だ。屋外に設置する太陽光発電は、地震、台風、落雷など、自然災害による被害のリスクを負っている。

近年、台風による太陽光発電所の被害が増えていることは見逃せない。大きな台風があると、パネルの飛散だけでなく基礎部分の変形や破損、架台の破損などのリスクが高まる。集中豪雨によって太陽光発電設備の用地に浸水すると、電気系統の故障などが起こる可能性もあるのだ。

災害による損害を補填する企業総合保険

メーカー保証対象外の損害リスクを保証する商品として、企業総合保険がある。

保証対象は、太陽光パネルやパワコン、監視システム、架台、金具、ケーブルなど、太陽光発電に関する設備一式だ。

保険金の対象となる事故は、火災や破裂、爆発をはじめ、落雷、風災、雹災、雪災、水災などの自然災害、車両や航空機、そのほかの物体からの衝突、盗難、電気的・機械的事故などである。このほか、偶発的な破損事故にも対応する。

ただし、地震や津波、戦争による事故の場合、保険金は出ない。地震保険や津波保険は特約で付けられるが、保険料が高くなるため慎重に検討したい。

また、発電所が水災リスクの低い場所にある場合、水災保証を除外できる商品もある。余計なコストを減らすために、発電所の立地状況に合わせて保険を選択しよう。

発電設備の盗難

2つ目は盗難だ。実際に、銅の価格高騰で銅ケーブルの盗難被害が出ている。

産業用太陽光発電設備には、送電ケーブルや太陽光パネルが盗難に遭うケースが多発し、対策の必要性が高まってきた。万一、盗難の被害に遭えば、設備の購入や交換、修理など多くの費用がかかる。修理のために再稼働までに時間がかかれば、売電収入の大幅な下落も避けられない。

フェンスの設置は義務付けられてはいるものの、あくまでも不意に発電所に立ち入れないようにするためだ。盗難対策として、監視カメラの設置や盗難保険を検討しよう。

盗難・突発事故の保証もある動産総合保険

太陽光発電で推奨されている「動産総合保険」は、企業総合保険と保証内容はほとんど変わらないものの、突発的な事故に対する保証も広くカバーできることが特徴だ。

動産総合保険は、火災や落雷、台風などの災害による被害のほかに、パネル運搬中の事故や盗難などもカバーできる。そのほか、建物や構築物の倒壊、落下物による破損など、火災保険にプラスした保証も期待できる点も見逃せない。漏電事故など、太陽光発電設備ならではのリスクに対する備えにもなる保険としておすすめだ。

出力抑制による売電ロス

4つ目は、出力抑制で売電機会を逸失するケースだ。

出力抑制とは、電力会社が発電所に対して出力抑制を要請し、出力量を管理することだ。地域一帯の発電量が、電力需要を大幅に上回るときに行われ、売電の機会を一時的に失う。全国的にはほとんど行われていないが、九州電力は、一部の発電所に対して出力抑制を行った例がある

出力抑制が収益へ与える悪影響は少ないとされる。しかし、出力抑制が起こりやすい場所で太陽光発電をするなら、売電ロスの損害保険を検討するのも一つの方法だ。

賠償責任や売電ロスを補填する3つの保険

メーカー保証以外の損害リスクを補填する保険として、あと3つ紹介しよう。

施設賠償責任保険

1つ目は、施設賠償責任保険だ。強風で飛んだパネルが他人の体や物に当たって損害を与えた場合に適用される。少ない掛け金で、十分な保険金をもらえるのがメリットだ。深刻な事故もしっかりカバーできるため、住宅や交通量の多い場所にある発電所はぜひ検討したい。

休業損害補償保険(売電収入補償特約)

2つ目は、休業損害補償保険(売電収入補償特約)だ。事故で設備が損傷したとき、復旧までに失った本来得られるはずの売電額を補償してもらえる。設備導入に融資を使うのは一般的だが、太陽光発電の返済期間は短く、返済比率が高くなりやすい。運転資金に不安があるなら、加入しておこう。

ただし、この保険は出力制御(出力抑制)による損失を補償するものではない。こちらは次に解説する。

出力抑制保険

3つ目は、出力抑制保険だ。電力会社の出力制御で売電収入が失われた場合に補償される。九州電力の出力制御は断続的に行われる見通しだ。さらに、四国電力も伊方原発の稼働にともない、出力制御の実施が見込まれている。電力会社の動向は常にチェックし、不安があれば加入を検討しよう。

ただし、出力抑制の対象となる発電所は、規模の大きいものから負担を分担するように選ばれる。そして、抑制される電力量はそこまで多くない。見込まれる売電ロスの額と保険料のバランスをよく考慮しよう。

産業用太陽光発電の取り扱いがある保険会社の例

東京海上日動保険

東京海上日動保険では、メガソーラーも含めた太陽光発電の設備破損、日照不足による損失の一括補償が可能だ。三井住友海上保険では、火災保険をベースにオールリスク特約附帯の保険を用意している。

損保ジャパン日本興亜保険

損保ジャパン日本興亜保険では、売電収入補償特約がある。火災や自然災害で発電量が低下し、事業計画の発電量を達成できない場合、発電量低下による営業利益の減少分を補償してくれる。

サービス付帯の保険も使える

太陽光発電の導入時に利用するサービスによっては、すでに保険が付帯されていることもある。サービスの利用を検討する際には、どのような保険なのか、保証内容や保証期間を確認することが重要だ。

ソーラーローンの付帯保険

太陽光発電設備を設置するために「ソーラーローン」を利用する場合は、付帯の保険について保証内容や期間を把握しておきたい。信販会社などからソーラーローンを借りる場合、動産総合保険や機械保険、休業保障保険などが付帯されていることがあるのだ。ただし、信販会社によって保証内容や保証期間が異なる。

一般的に動産総合保険の場合は10年程度、休業保障保険5年程度の契約期間となっている。売電期間中の保証をカバーしたいなら、契約の更新や新規契約が必要なので忘れずに手続きしよう。

保険付き太陽光発電メンテナンスサービス

太陽光発電の「メンテナンスサービス」を利用する場合、保険会社による損害保険も付帯されていることがある。万一、突発的な事故により太陽光発電が損傷を受けた場合には、修理費用が補償されるものだ。故障などのトラブルへの対応をすぐに依頼できるうえ、保険と一本化されている点が大きなメリットといえるだろう。

ただし、保険付き太陽光発電メンテナンスサービスでは、保証内容を自由に選択できない。どこまでがカバーされるのか、サービス内容をしっかり確認する必要がある。

施工会社による補償サービス

太陽光発電設備を設置する際には、保険会社と施工会社が提携する、メンテナンスと保険を組み合わせたサービスも受けられるのでチェックしておこう。

付帯されている保険の補償範囲には、自然災害や突発的な事故による損害、出力制御による補償などが入っている。さらに事故による逸失利益の補償、第三者への損害賠償なども含まれている。

サービスには、地震や津波などの補償範囲に含まれない損害もあるので注意が必要だ。補償内容をよく確認し、必要に応じて別途保険に加入すると安心できる。

保険に加入した場合のコストはどのくらい?

保険に加入するには、利用するかどうかの判断基準として、保険料がどのくらいかかるのかを把握する必要がある。保険に加入するためのコストはどのくらいかかるのか、保険料の目安を解説していく。

保険の種類保険料の目安
企業総合保険(火災保険)年間1万~1万5000円程度
動産総合保険販売価格の1.29%(10年間の一括払い)
賠償責任保険年間5000円程度
休業補償保険5年間で3万円程度(年間で約6000円)
出力抑制保険9000円/1kW(10年間の一括払い)

前述した太陽光発電設備を設置するための工事中の保険は、施工会社が加入するため保険料の負担はない。ただし、施工会社が保険に加入しているのかについては確認したほうがいいだろう。

地震保険や津波保険は、動産総合保険に含まれていることもある。

保証内容や保険料は保険会社や契約によって異なるため、あくまでも目安として参考にしたい。保険に加入すると、その分のコストがかかる。安心材料を得るために保険を増やしていくと、保険料も増大していくのだ。本当に必要な保証は何かを見極めてから加入する必要があるだろう。

太陽光発電のリスクを最小限にするには?

保険は太陽光発電で生じた損害を補償してくれるが、設置前からできるだけリスクを避けられる方法もあるのだ。ここでは、太陽光発電のリスクを最小限にする方法を紹介するので参考にしてほしい。

災害が少ない場所を選ぶ

太陽光発電の設置場所を選ぶ際には、ハザードマップで土砂災害のリスクを確認する必要がある。長期的に運用する太陽光発電は、しっかりした地盤の上に設置したい。そのためには、人工的につくられた斜面や地盤のゆるい場所など、土砂災害が起きやすい場所は避けることをおすすめする。

ハザードマップは年々更新されており、基準も強化されているので、ぜひ最新のものを確認しよう。

定期的にメンテナンスを行う

トラブルを未然に回避するには、定期的なメンテナンスが欠かせない。屋外に設置される太陽光発電は、耐久性の高い機器が使われている。ただし、機器の経年劣化は避けられないので、リスクを最小限にするためのメンテナンスは必須といえる。

適切にメンテナンスを行うことで、発電量の低下や部品の不具合などの早期発見にもつながるのだ。

優良な施工会社を選ぶ

産業用太陽光発電を選ぶ際には、頼れるサービスや優良な業者を見つけることが大切である。施工会社を選ぶ際には、金額だけでなく信頼性も重視したい。優良な施工会社に依頼するために、以下のようなポイントを押さえよう。

  • メーカー認定の施工会社を選ぶ
  • 施工実績の多い会社を選ぶ
  • 保証やアフターフォローが充実している会社を選ぶ

産業用太陽光発電の安定した発電と災害リスクは備えが必須!損害保険でしっかりとカバーしよう

産業用太陽光発電の導入に際しては、リスク対策のためにメーカー保証対象外の損害保険に加入することが大切だ。しかし、適切に損害保険を選ばず、逆に収益が悪化しては本末転倒である。

損害保険を扱っているメーカーや販売会社も多いので、導入前に保険の確認もしてみよう。長期運用に耐えうる10kW以上の太陽光発電を適正価格で設置するなら、タイナビNEXTの一括見積もりがおすすめだ。ぜひ、利用を検討してみよう。