日本企業の脱炭素事例

地球環境問題の深刻化が、世界的な脱炭素化の流れを加速させている。18世紀後半の産業革命から化石燃料が大量消費されるようになり、大気中の温室効果ガスは約40%増加。地球温暖化に歯止めをかけるべく、2016年にはパリ協定を発効するなど、世界のあらゆる国々が温暖化対策を進めている。

一企業としてできることは何か。脱炭素化をビジネスに取り入れるメリットについて、参考となる日本企業の事例とともに解説する。

世界が取り組む脱炭素化の背景

脱炭素化とは、化石燃料の使用をやめて温室効果ガスの排出量をゼロにすることである。石油や石炭などの燃料を使うときに生じる温室効果ガスが、地球温暖化の原因とされるためだ。

温室効果ガスの半数以上は二酸化炭素が占めている。脱炭素化のために、事業用の電力を火力発電から再生可能エネルギーに変える、ガソリン車から電気自動車にするなど、具体的な行動を取る企業も年々増加中だ。

ここからは、世界的な脱炭素化の背景について解説する。

国際的な温暖化防止の取り組み「パリ協定」

温暖化防止パリ協定

パリ協定は地球温暖化対策の国際ルールだ。

「産業革命以前と比べて世界の平均気温上昇を2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」、「できるだけ早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林などの吸収量のバランスを取ること」を目標に、温室効果ガス削減に向けた取り決めをしている。

パリ協定の発効条件は、「55カ国以上が参加すること」「世界の総排出量のうち55%以上をカバーする国が署名すること」の2つ。難航すると思われた条件をクリアし、2016年11月4日に発効。

これまでの流れは、地球温暖化に対する各国の関心が高まっている裏付けともいえるだろう。

日本もパリ協定の締結国である。地球温暖化対策と、経済成長を両立するように動くことが求められている。

再生エネルギー100%での運営を目指すRE100

RE100は、事業活動で生じる環境負荷の低減を目的とする、環境イニシアチブである。大きな特徴は、政府ではなく企業主体である点だ。

2014年に設立されてから、世界的な影響力と、莫大なエネルギー消費量のある企業が加盟している。2018年1月28日時点の世界全体の加盟企業は122社、日本企業も2019年現在で16社が加入済みだ。

RE100では、すべての企業活動を再生可能エネルギー100%で運営することを宣言。加入企業には、実現のための具体的な目標設定や、活動内容の報告を義務付けている。

加盟するグローバル企業の中には、脱炭素化の協力をサプライヤーにも要請したり、取引先を選ぶ条件として環境経営を挙げたりするケースが増えている。逆にいえば、ビジネスチャンスを広げるなら、中小企業であってもRE100に賛同する姿勢が重要だ。

脱炭素化に取り組むことで、高い技術を持つ企業からのオファーが増えたり、メディアから関心を持たれたりする可能性もあるだろう。

国内でも拡大している「自然エネルギーESG投資」

環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)の頭文字を取ったものがESGだ。「自然エネルギーESG投資」とは、ESGに力を入れている企業を対象とした投資法である。

2016年には、投資額が約2541兆円に達した。世界の投資額において、約4分の1にあたる額がESG投資で占められたことになる。

また、日本でも国民年金の運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、1兆円規模でESG投資の運用を始めた。世界のみならず日本でも、自然エネルギーESG投資が急速に拡大している。

これは、脱炭素化の取り組みが、投資家への有効なアピールになることを示唆している。他企業との差別化も見込めるだろう。

脱炭素化に向けた主な日本企業の取り組み事例

脱炭素取り組み事例

さまざまな企業が行っている脱炭素化への取り組み。ここでは、主な日本企業の事例を紹介しよう。

積水ハウス

積水ハウスは、国内の建設業界で初めてRE100に加盟した企業だ。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及推進と脱炭素化の後押しを目指す。

ZEHとは、電力消費量より自家発電した電力量の割合の方が多い家のことである。積水ハウスが2016年度に販売した新築棟数のうち、74%がZEHだった。2013年から2017年3月末の間で、累計2895棟に達している。また、2009年から2016年の間には、累積省CO2モデルのCO2排出削減効果として、年間30万トン-CO2を達成。

脱炭素社会の構築を目標として、2050年までに住宅のCO2排出ゼロを実現する見通しだ。

株式会社リコー

リコーは初めてRE100に加盟した日本企業だ。顧客や社会全体の省エネと、CO2削減の拡大(削減貢献量)を目標に掲げる。そのために、積極的な再生可能エネルギーの利活用と、徹底的なCO2削減活動を行うとしている。

また、自社の排出する温室効果ガスをゼロにするため、徹底した省エネ活動も行う。少なくとも2030年までには電力の30%を、2050年までには100%を再生可能エネルギーに転換する予定だ。

その一環として、すでにシステムの設置費用が安い米国に、太陽光発電システムを設置。再エネ電力への切り替えを積極的に行っている。

富士通

RE100に加盟した富士通は、高い技術力で脱炭素化のビジネスチャンスを狙う。電力削減の技術に関してはすでに実績がある。サーバー周辺の温度が高いエリアを探知し、該当部分のみを効率よく冷やすシステムを開発。これにより、空調の電力を3割ほど削減できた。

将来的には、運輸・交通分野、ものづくり分野の省エネルギー化、防災関連の緊急速報システム導入などへの貢献を目標とする。そのために、AI(人工知能)やIoT(インターネットと繋がる技術)など、最先端ICT(通信技術)を開発・活用するとしている。

再生可能エネルギーの導入に対しては、事業所に太陽光発電システムを導入。特に、コストの安い海外の事業所では、グリーン電力(100%再生可能エネルギーで発電した電力)の購入と利用拡大を積極的に行っている。

また、再生可能エネルギーの利用量の割合目標を、2018年度末までに6%以上拡大したところ、2017年に7.3%を達成した。

企業活動の重要課題である脱炭素化!太陽光発電導入で電力使用の見直しを

脱炭素化は世界的にも重要な取り組みである。企業規模に関わらず、あらゆる企業にとって避けられないテーマだ。企業ができる脱炭素化の施策のひとつとして、太陽光発電システムの導入がある。

長期的視野を持って脱炭素化を実践していけば、大企業はもちろん、中小企業においても、ビジネスチャンスにつながるだろう。