増税の影響

消費税の増税が間近に迫ってきた。10月1日より税率8%から10%への引き上げが行われるが、太陽光発電は軽減税率の対象にはならない。

もともとの導入コストが高いことから、初期費用に大きな影響が出るのではないかと心配する人も多いことだろう。

そこで今回は、増税後にもたらす産業用太陽光発電の管理費や売電収入への影響、増税前の税率で産業用太陽光発電を導入する方法はあるのかなどについて解説していこう。

消費税の引き上げが費用・収入にもたらす影響

消費税の引き上げによって影響が出るのは、太陽光発電システム導入の際の初期費用、運用にかかる管理費用、売電価格などである。どのような影響が出るのか、具体的に見ていこう。

産業用太陽光発電にかかる初期費用の増税額は大きい

初期費用の大まかな内訳には、太陽光発電システム機器と設置工事費の2つがある。発電システムの機器には、太陽光パネルやケーブル、パワーコンディショナー、その他の周辺機器などが含まれる。

一般的に50kWの産業用太陽光発電を設置するには、約1500万~2000万円かかる。初期費用が1500万円とすると、税率8%の時では消費税額が120万円。税率10%の場合は消費税額150万円だ。増税後は、同じ設備を入手するのに30万円も高くなる計算である。

さらに、太陽光発電を稼働させるための管理費用も必要だ。電気代や清掃、保険料にも増税の影響が及び、年間1万円ほどの支出増が見込まれるだろう。

売電収入は増税で増える可能性が高い

太陽光発電で売電する場合、増税が収入増につながるケースがある。

産業用太陽光発電の売電単価は外税だ。電力会社から振り込まれる売電収入(消費税を含む)は、増税と共に増える事となる。事業所得が1000万円未満で消費税の納税義務が免除されるケースなら、増税による収入増が見込めるのだ。

ただし、事業所得が1000万円以上の課税事業者は、消費税を納める義務があるため税率が上がっても収入が増えることはない。

消費税8%のままで太陽光発電を設置する方法

消費税率8%で太陽光発電を設置するには、2019年3月31日までに工事請負契約を締結して経過措置を適用してもらう、増税前に引き渡しを完了するなどの方法がある。これらの方法について具体的に見ていこう。

「経過措置」を利用して増税回避する

2019年10月の増税に伴い、消費税が発生する取引には経過措置が適用される。経過措置とは、法制度の変更に伴い発生する不利益や不都合を軽減するための、一時的な措置のことだ。太陽光発電の場合は請負工事等に対して経過措置が適用される。

2019年3月31日までに契約を締結した場合、工事完了や引き渡しが2019年10月1日以降になっても、消費税率は増税前の8%が適用される。契約締結日が4月1日を過ぎると経過措置適用外となり、消費税率は10%になってしまうため注意しよう。

2019年9月30日までに引き渡し工事を完了する

仮に、2019年3月31日までに契約締結ができなかったとしても、増税が始まる前日2019年9月30日までに引き渡しが完了していれば、消費税8%が適用される。電力会社への売電が間に合わなくても特に問題はない。

ただし、9月30日までに引き渡される予定であっても、計画がずれこんでしまう可能性はある。

太陽光発電の設置には、国の承認が必要だ。時期や状況によって変わるものの、事業計画を提出してから受理されるまでは、半年ほどかかるのが一般的である。特に、2019年は増税前の駆け込みで契約希望者が増える可能性がある。

9月30日に間に合わなくなると消費税率は10%になってしまうため、できれば3月31日までの契約締結を済ませておこう。

なお、電力会社に支払う「連系工事費負担金」にかかる消費税は、連系開始時点の税率が適用される。施工会社による設置と、電力会社との連系で、税率適用タイミングが異なる。

経過措置期間の後に工事費の増額があった場合は?

経過措置が適用された後、追加工事や増設などで工事費用が増えた場合の税率はどうなるのだろうか。

3月31日に工事請負契約を締結していても、設備の引き渡しが10月1日以降になってしまう場合、増えた工事費用の分だけは消費税率10%が適用される。契約締結時の費用は消費税率8%のままだ。

経過措置に関するトラブルを予防するために、経過措置適用内の契約であることを証明する書類を保管しておくようにしよう。例えば、契約書や請求書などに「経過措置により消費税率は8%で計算」と記載されていることだ。契約時や請求書を確認しておこう。

産業用太陽光発電の設置費用の消費税は大きい!しっかりと比較することが大切

産業用太陽光発電の初期費用は高額である。設置をするなら2019年3月31日までに工事請負契約を締結しておくことが望ましい。それまでに間に合わないのであれば、増税の前日までに設備の引き渡しができるように行動しよう。

ただし、太陽光発電の費用はメーカーや施工業者でも大きく変わる。コストがかかりやすい太陽光発電システムを安く導入するには業者間の比較検討が大切。10kW以上の産業用太陽光発電を検討するなら、タイナビNEXTで一括見積もりをしておくと安心だ。