初期投資支援スキームとは?

2025年10月よりスタートする初期投資支援スキームは本当にメリットのある制度変更なのか?

2025年4月現在のFIT価格(売電単価)は、住宅用が15円/kWh(10年間)、事業用が11.5円/kWh(20年間)ですが、初期投資支援スキームがスタートする10月以降に申請した場合、FIT価格は大幅に引き上げられます。

具体的には、住宅用は15円/kWから24円/kW、事業用は11.5円/kWhから19円/kWへと変更されます。

近年、電気料金の高騰や再エネ賦課金の過去最高値の更新などにより、個人・法人ともに電気料金の負担が増加しています。それに伴い、太陽光発電や蓄電池の設置が進んでいますが、初期投資支援スキームの導入により設置検討者がさらに増加する見込みです。

本記事では、初期投資支援スキームの詳細な説明、導入の背景、国の狙いについて詳しく解説していきます。

太陽光の初期投資支援スキーム導入の背景とは?

FIT価格はこれまで毎年少しずつ引き下げられてきました。そのため、初期投資支援スキームの導入によりFIT価格が大幅に引き上げられることに驚いた方も多いでしょう。

日本政府は「エネルギー基本計画」において、再生可能エネルギーを主力電源として位置付け、2040年度には電源構成の4割〜5割を再エネで賄う方針を掲げています。

その中でも太陽光発電については、全電源の23〜29%程度を目指しています。

現在も全国各地で中規模の太陽光発電所が建設されていますが、政府の目標を達成するためには、現在の3倍程度の導入が必要です。

これを15年間で実現するには、大幅な太陽光発電の普及が求められています。

一方で、太陽光発電は不安定な電源であるため、春や秋など電力需要の少ない時期には発電された電気が捨てられる(出力制御問題)が発生しています。

この課題を解消するために、大型の系統用蓄電池の設置やFIP転(太陽光発電に蓄電池を組み合わせる仕組み)の普及が進んでいます。

さらに、太陽光発電の課題を解決するためには、屋根設置型太陽光発電の普及が求められています。

また、ペロブスカイト型や軽量パネル(フレキシブルソーラー)を活用することで、屋根だけでなく壁面への設置も進められています。

これにより、設置スペースの不足や設置不可能な屋根に対しても、壁面設置を推奨する動きが強まる見込みです。

屋根設置型太陽光発電の急速な普及を目指して打ち出されたのが初期投資支援スキームであり、
従来よりも初期投資の回収期間を短縮できることで、多くの住宅や法人施設への設置が進むと考えられています。

初期投資支援スキームとは?本スキームのメリットとは?

家庭用・産業用太陽光発電の違い

初期投資支援スキームが適用されるのは、住宅太陽光(10kW未満)と事業用太陽光(10kW以上)です。

買取期間は従来通り、住宅用は10年間、事業用は20年間で変更はありません。

このスキームでは、これまで一律だった買取価格が初期投資支援期間と後期期間の2段階に分かれています。

特に、初期の数年間は高めの買取価格を設定し、投資回収を早める設計になっている一方で、後期には買取価格が大幅に引き下げられ、運用効率の向上が求められます。

現在のFIT制度と主な違いは次表の通りです。

規模期間FIT価格(2025年10月~)
住宅用10kW未満10年間24円/kW(~4年)
8.3円/kW(5~10年)
※現在15円/kW
事業用10kW以上20年間19円/kW(~5年)
8.3円/kW(6~20年)
※現在11.5円/kW

住宅用太陽光発電のFIT価格(10kW未満)

住宅用太陽光発電(FIT)では、10年間の補助期間を初期投資支援期間と後期期間に分けて運用されます。

最初の4年間は24円/kWhとなっており、5年目以降の6年間は8.3円/kWhとなります。

この設定により、導入初期の投資回収が迅速に行えるよう配慮されています。

事業用太陽光発電のFIT価格(10kW以上)

事業用太陽光発電(FIT/FIP)も同様に20年間の補助期間を2段階に分けています。

最初の5年間は19円/kWhとなっており、6年目以降の6年間は8.3円/kWhとなります。

この構造により、最初の5年間で投資を回収し、その後は安定運用が可能な設計です。

初期投資スキームの狙い

これまでFIT価格の決定要因は調達コストと投資回収期間のバランスでしたが、今回は市場の電気料金単価(産業用19.56円/kWh、家庭用27.31円/kWh)を超えないよう調整されています。

もし市場の電気料金以上のFIT単価となれば、自家消費せずに売電する動きが強まるためです。

また、5年目・6年目のFIT単価が住宅用・産業用ともに8.3円/kWhに設定されている点も注目です。

これは電力卸売市場の平均単価に合わせたもので、市場価格への影響を抑えています。

真の狙いは、5年目や6年目で蓄電池の設置を促進し、FITでの売電量を抑制することです。

これにより、初期投資スキームは太陽光発電の増加に加え、蓄電池の設置による安定供給の実現も目指しています。

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