
「電気代の値上がりが止まらない」「工場の屋根が空いているのに何もしていない」——群馬県内で工場・倉庫・事業所を構える経営者からよく聞く悩みです。日照時間の長さで知られる群馬県は、実は産業用太陽光発電との相性がよく、県も本気の支援策を用意しています。
2026年度(令和8年度)の群馬県は、中小企業者等を対象に太陽光発電へ発電出力×5万円/kW、蓄電池を同時導入すれば1事業者当たり上限1,500万円という大型の補助金を実施中です。加えて太田市・みどり市など市独自の上乗せ制度もあり、組み合わせ次第で初期費用を大きく圧縮できます。
一方で群馬県は「県の制度が主役」という珍しい構図の県でもあります。前橋市・高崎市など主要市の多くは事業者向けの独自制度を持たず、県の補助金が実質的な窓口になっているのが実情です。この記事では、群馬県内の事業者が使える太陽光発電・蓄電池の補助金を一覧で整理し、申請の注意点、費用回収の目安までまとめて解説します。
【早見表】群馬県で事業者が使える太陽光・蓄電池補助金(2026年度)
まずは全体像です。2026年度に事業者向けの太陽光・蓄電池補助が確認できる自治体は次のとおりです(2026年7月28日時点の調査に基づく。受付状況は変動するため申請前に各公式サイトでご確認ください)。
| 自治体 | 太陽光発電 | 蓄電池 | 2026年度の受付 |
|---|---|---|---|
| 群馬県 | 発電出力×5万円/kW・単独上限500万円 | 対象経費の1/3・太陽光同時導入で合計上限1,500万円(単独導入不可) | 交付申請 令和8年6月29日9時〜7月20日17時で受付終了・抽選/審査中 |
| 太田市 | 県の交付決定を前提に2万円/kW・上限200万円の上乗せ報奨金 | 市独自の事業者向け制度なし | 1回目:令和8年9月1日9時〜令和9年2月26日17時/2回目:〜令和9年3月19日 |
| みどり市 | 10kW未満は定額5万円/10kW以上は2万円/kW・上限50万円 | 市独自の事業者向け制度なし | 令和8年4月1日〜令和9年2月28日(予算500万円・受付中) |
| 中之条町 | 町独自制度なし(県の制度が窓口) | 1kWh当たり3万円・上限15万円(事業者への適用は要問合せ) | 令和8年度への継続は町公式ページで未明記。要問合せ |
| 前橋市・高崎市など主要市 | 市独自の事業者向け制度は確認できず(住宅用のみ) | 同左 | 県の制度が窓口 |
| 上野村・神流町など町村部 | 市町村独自の事業者向け制度は確認できず | 同左 | 県の制度が窓口 |
群馬県は「県の制度がとにかく手厚く、市町村の独自制度は太田市・みどり市などごく一部に限られる」という構図が特徴です。まずは主役となる県の制度から見ていきましょう。
群馬県の本命「太陽光発電設備等導入支援事業費補助金」|5万円/kW・最大1,500万円
県内どこでも使える、中小企業者等向けの大型支援
群馬県の「太陽光発電設備等導入支援事業費補助金(事業者向け)」は、県内の中小企業者等(中小企業基本法上の中小企業者、中小企業団体、社会福祉法人、医療法人、学校法人、一般社団・財団法人等)を対象に、発電出力×5万円/kWを交付する制度です。太田市や高崎市といった市町村の枠組みとは別に、県内全域が対象地域となっているため、市町村独自の補助がない地域の事業者にとっても頼れる受け皿になります。
蓄電池は太陽光との同時導入が条件
蓄電池は太陽光発電設備との同時導入時のみ対象(単独導入は不可)で、補助対象経費の1/3(千円未満切捨)が交付されます。ただし蓄電容量あたりの単価が容量帯別の上限(4,800Ah・セル相当kWh未満の区分は14.1万円/kWh以下)を超えないことが条件です。太陽光のみの導入なら上限500万円、太陽光と蓄電池を同時導入する場合は合計で1事業者当たり上限1,500万円まで引き上がります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 制度名 | 令和8年度 太陽光発電設備等導入支援事業費補助金(事業者向け) |
| 対象者 | 群馬県内の中小企業者等(中小企業基本法上の中小企業者・中小企業団体・社会福祉法人・医療法人・学校法人・一般社団財団法人等) |
| 補助額 | ・太陽光発電設備:発電出力×5万円/kW、太陽光のみ導入は1事業者当たり上限500万円 ・蓄電池(太陽光との同時導入時のみ):対象経費の1/3、太陽光+蓄電池同時導入で合計上限1,500万円(容量あたり単価が4,800Ah・セル相当kWh未満区分で14.1万円/kWh以下等の条件あり) |
| 主な条件 | FIT/FIP制度による売電を行わないこと。発電電力の50%以上を敷地内(オンサイト)事業所で自家消費すること。1事業者1申請上限 |
| 受付期間 | 交付申請受付:令和8年6月29日9時〜令和8年7月20日17時(受付後抽選、当選者は令和8年7月下旬決定予定) ※2026年7月28日時点で受付は終了し抽選・審査フェーズに入っています(県公式サイトによると当選者決定は令和8年7月下旬予定)。次年度以降の募集時期は県公式サイトでご確認ください |
| 補助金HP | 群馬県公式サイト |
予算規模は約1.9億円で、抽選になるほどの人気ぶりがうかがえます。2026年度分はすでに受付を終えていますが、次回募集に向けて事業計画・見積もりを早めに整えておくことが、当選のチャンスを広げる近道です。
市独自の上乗せ制度|太田市・みどり市
太田市|県の交付決定とセットで使う2万円/kWの報奨金
太田市の「事業者の太陽光発電システム導入に対する報奨金」は、群馬県の交付決定を受けたうえで太田市内の事業所に太陽光発電システムを導入した中小企業者等に対し、発電出力1kWにつき2万円、上限200万円を市独自に上乗せする制度です。県の補助と市の報奨金を組み合わせられる、太田市ならではの二段構えのスキームになっています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 制度名 | 事業者の太陽光発電システム導入に対する報奨金(太田市) |
| 対象者 | 群馬県「令和8年度太陽光発電設備等導入支援事業費補助金」の交付決定を受け、太田市内の事業所に太陽光発電システム(FIT/FIP制度非適用)を導入した中小企業者等。市税等に滞納がある場合は対象外 |
| 補助額 | 発電出力1キロワットにつき2万円、上限200万円(予算額1,000万円) |
| 主な条件 | 県の交付決定が前提となる上乗せ制度。蓄電池は市独自の事業者向け対象設備に含まれない |
| 受付期間 | 1回目(県交付決定後)受付:令和8年9月1日午前9時〜令和9年2月26日午後5時 2回目(県補助金額確定後)受付:〜令和9年3月19日 先着順で予算額到達次第終了 |
| 補助金HP | 太田市公式サイト |
50kWの設備なら県の補助250万円に太田市の報奨金100万円が加わり、合計350万円の支援に。ただし報奨金は「県の交付決定・実績報告で認められた設備」が前提のため、まず県の補助金にエントリーすることが第一歩になります。
みどり市|規模に応じて定額5万円または2万円/kW
みどり市の「事業者用脱炭素推進補助金」は、市内事業所を置く法人または個人事業主を対象に、10kW未満は一律5万円、10kW以上は1kWあたり2万円(上限50万円)を交付する制度です。市内で1年以上の継続活動実績、年間自家消費率50%以上、未使用品であることなどが要件で、蓄電池は対象設備に含まれません。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 制度名 | 令和8年度 事業者用脱炭素推進補助金(みどり市) |
| 対象者 | 市内事業所を置く法人または個人事業主(市内で1年以上の継続活動実績、市税滞納なし) |
| 補助額 | 10kW未満:一律5万円/10kW以上:1kWあたり2万円、上限50万円(蓄電池は対象外) |
| 主な条件 | 年間自家消費率50%以上、未使用品(中古除く)、設置日から90日以内の申請 |
| 受付期間 | 令和8年4月1日〜令和9年2月28日(受付中、予算500万円) |
| 補助金HP | みどり市公式サイト |
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県庁所在地・主要市の状況|前橋市・高崎市は独自制度なし、県の制度が窓口に
意外に思われるかもしれませんが、県庁所在地の前橋市、県内最大都市の高崎市をはじめ、桐生市・伊勢崎市・沼田市・館林市・渋川市・藤岡市・富岡市・安中市といった主要市には、2026年7月28日時点で事業者向けの太陽光発電・蓄電池の独自補助制度が確認できません。各市とも太陽光・蓄電池の補助制度自体は存在しますが、いずれも「自ら居住する住宅」を対象とした個人向けで、法人・事業者は対象外と明記されています。
前橋市にはかつて「前橋市事業者用ゼロカーボン推進補助事業」(太陽光発電1kWあたり2万円・上限20万円)がありましたが、確認できた最新の公募は令和5年度分で終了しており、後継の令和6年度以降のページは404となっています。桐生市・伊勢崎市・館林市などにも中小企業向けの省エネ設備補助はあるものの、対象設備が空調・LED照明や省エネ診断費用に限られ、太陽光発電・蓄電池は対象外と明記されているケースが目立ちます。
つまり前橋市・高崎市エリアの事業者にとっては、群馬県の「太陽光発電設備等導入支援事業費補助金」が実質的な唯一の窓口ということになります。市の制度を探すよりも、県の制度の次回募集にどう備えるかを優先するのが得策です。
町村部の状況|中之条町は要確認、その他は県の制度で対応
中之条町|蓄電池補助はあるが事業者への適用は要確認
中之条町の「中之条町再生可能エネルギーシステム設置費補助金」は、対象者に「中之条町に住所を有する方または町内の独立した事業所で事業を営む方」が明記されており、事業者にも門戸が開かれているように見えます。蓄電池は1kWh当たり3万円・上限15万円、太陽光は1kW当たり5万円・上限20万円です。ただし蓄電池の対象条件が「常時住宅用太陽光発電システムと接続していること」となっており、事業者単独での導入に適用できるかは公式ページ上で明確ではありません。令和8年度への制度継続も本文で明記されていないため、活用を検討する場合は必ず町の担当窓口へ確認してください。
※参考:中之条町公式サイト
その他の町村部|独自制度はないが県の制度は使える
上野村・神流町・下仁田町・南牧村・甘楽町・長野原町・嬬恋村の7町村では、市町村独自の事業者向け太陽光・蓄電池補助は確認されませんでした。いずれも人口1,000〜1万人台の小規模自治体で、太陽光・蓄電池の補助制度自体は「住宅用」として存在するものの、対象は自ら居住する個人に限られています。
| 町村 | 人口 | 事業者向け独自制度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 上野村 | 約990人 | なし | 県の制度が県内全域(上野村含む)の対象地域 |
| 神流町 | 約1,500人 | なし | 2050ゼロカーボンシティ宣言はあるが事業者向け補助制度は未整備 |
| 下仁田町 | 約6,000人 | なし | 県の制度で対応 |
| 南牧村 | 約1,400人 | なし | 県の制度で対応 |
| 甘楽町 | 約12,100人 | なし | 町の補助金は住宅用太陽光・蓄電池のみ(個人限定) |
| 長野原町 | 約4,900人 | なし | 町の補助金(最大40万円)は住宅用のみ、事業者向けは県の制度で対応 |
| 嬬恋村 | 約8,700人 | なし | 制度名に「住宅用」と明記、事業者向けは県の制度で対応 |
町村部では「まず自社エリアに市町村独自の制度があるか」を確認する手間自体を省き、県の補助金の次回募集スケジュールを押さえておくほうが現実的です。
併用ルールと申請の注意点
①蓄電池は太陽光との同時導入が原則。県の補助金は蓄電池単独での申請ができず、太陽光発電設備との同時導入が条件です。蓄電池だけを先に入れたい場合は対象外になるため、導入順序の設計が重要です。
②交付決定前の契約・着工はNG。県の制度も太田市の報奨金も、交付決定前に契約・着工した案件は補助対象外です。「先に発注、あとから申請」は一発アウトになるため、必ず交付決定の通知を待ってから動いてください。
③自家消費50%以上・FIT/FIP不可が共通ルール。県・太田市・みどり市いずれも、発電電力の50%以上を敷地内で自家消費することが要件で、FIT/FIP認定を受けて売電する計画では申請できません。
④県の令和8年度分はすでに受付終了・抽選中。本記事執筆時点(2026年7月28日)で県の交付申請受付(6月29日〜7月20日)はすでに終了し、抽選・審査フェーズに入っています。太田市の報奨金は県の交付決定が前提のため、県の結果通知を待ってからの申請計画になります。
⑤要確認の制度は必ず窓口で最終確認を。中之条町の蓄電池補助のように、対象者に事業者の記載がありつつも蓄電池の要件が住宅用太陽光との接続を前提としている制度もあります。表中で「要確認」とした項目は、申請前に必ず担当課へ問い合わせてください。
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国の補助金・税制優遇も忘れずに(2026年度)
ストレージパリティ補助金(環境省)
自家消費型太陽光+蓄電池のセット導入に、太陽光へ自己所有4万円/kW・PPA/リース5万円/kW、蓄電池へ対象経費の1/3以内を交付する国庫事業です。蓄電池併設と自家消費率50%以上が条件。県の補助金がすでに抽選待ちの状態でも、国の事業として別枠で検討できる選択肢になります(同一設備での他制度との重複は不可)。
中小企業経営強化税制|即時償却で初年度に節税
経営力向上計画の認定を受けて自家消費率50%以上の太陽光設備(160万円以上)を取得すると、即時償却または税額控除10%(資本金3,000万円超1億円以下は7%)を選択できます。2027年3月31日までの措置。補助金とは別枠で使えるため、県・市どの補助と組んでも上乗せできます。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
産業競争力強化法の計画認定を前提に、炭素生産性を高める設備投資へ税額控除・特別償却を認める制度。令和8年度税制改正で認定期限が2028年3月31日までの認定分に延長されました(要件・優遇幅は見直しあり)。工場・生産設備の更新と一体で大型投資を検討する企業に向いています。
群馬県で産業用太陽光を導入すべきか?費用と回収の目安
日照条件に恵まれた群馬県南部
群馬県南部は冬場の快晴日数が多いことで知られ、全国的に見ても日照条件に恵まれた地域です。同じ設備を導入しても年間発電量が安定しやすく、投資回収の観点では有利な地域といえます。県内には自動車部品・食品加工・機械製造など昼間の稼働時間が長い製造業が多く集積しており、こうした業種ほど自家消費率を高めやすい傾向があります。
県の補助金は太陽光のみでも上限500万円、蓄電池を同時導入すれば上限1,500万円という大型設計です。設備投資の規模が大きい事業者ほど恩恵を受けやすい制度設計になっています。
50kWモデルの回収試算(太陽光のみ導入)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 設置規模 | 50kW(事業所屋根・自家消費型) |
| 設備費用 | 約1,000万円(20万円/kWで試算) |
| 群馬県の補助金 | 5万円/kW×50kW=250万円(抽選当選時) |
| 年間発電量 | 約52,500kWh(1,050kWh/kWで試算) |
| 年間の電気代削減額 | 約115万円(自家消費分22円/kWhで試算) |
| 回収期間の目安 | 実質約750万円÷約115万円=約6.5年。即時償却の節税効果込みで実質5年台 |
※太田市の事業者であれば、上記の県補助250万円に加えて報奨金100万円(2万円/kW×50kW)が上乗せされ、実質負担は約650万円まで下がる計算です。屋根の向き・電気単価によって数字は変わるため、自社条件での個別試算が判断の出発点になります。
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発電出力×5万円・最大1,500万円という県の大型支援に、太田市・みどり市の市独自制度、そして国の税制優遇。2026年度の群馬県は事業者が太陽光・蓄電池を導入する好条件が揃っています。ただし県の令和8年度分はすでに受付を終え抽選・審査フェーズに入っており、次回募集への準備がカギを握ります。
成否を分けるのは、①群馬県・市の申請実務への習熟、②自家消費率50%以上を満たす設計力、③相見積もりに裏付けられた適正価格——を備えたパートナー選びです。タイナビNEXTなら、審査を通過した優良企業の中から群馬県対応の複数社見積もりを無料で取り寄せ、提案と価格をまとめて比較できます。
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