
電気料金の高騰や脱炭素経営への対応が求められる中、広島市では工場・倉庫・物流拠点などの屋根を活用した「産業用太陽光発電」が注目されています。
とくに自動車関連・造船・鉄鋼・食品などエネルギー多消費型の製造業や物流拠点が多い広島市では、消費電力が大きい事業者が多く、太陽光発電による自家消費の電気代削減効果が非常に高い地域といえます。
本記事では、以下についてわかりやすく解説します。
- 広島市内の事業者が活用しやすい太陽光発電補助金や支援制度
- 補助金は併用できる?導入前に確認すべき注意点
- 申請の流れと押さえておきたいポイント
- 広島市で産業用太陽光発電の補助金を活用すべきか?
- 設置費用と投資回収の目安・シミュレーション
この記事を読むことで、どのような制度が利用できるのか、どのくらい費用対効果があるのかが明確に理解できるでしょう。
【2025年度最新】広島市の主な太陽光発電設備補助金制度
ここでは、広島市内で産業用/事業者用に太陽光発電設備を導入する際に活用しやすい主要な補助金制度を説明します。
- 広島県企業立地促進対策事業〈エネルギー価格高騰対策〉創エネ関連設備投資助成金
- 広島県課題解決型太陽光発電施設導入事業補助金
いずれも広島県の制度ですが、広島市内に工場や事業所を持つ企業も対象となるため、広島市で産業用太陽光発電を検討するなら必ずチェックしておきたいメニューです。
それでは、それぞれチェックしていきましょう。
広島県企業立地促進対策事業〈エネルギー価格高騰対策〉創エネ関連設備投資助成金
この制度は、エネルギー価格や物価高騰の影響を受ける県内中小企業が、再生可能エネルギーを利用した発電設備や蓄電設備を導入する際に、その投資費用の一部を助成するものです。広島市内に事業場を有する中小企業も対象です。
補助率・補助上限額はこちらです。
| 種別 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 創エネ関連設備(太陽光発電設備・蓄電設備など) | 投資額の50% | 最大2億円(付随設備と合算) |
| 創エネ関連設備に付随する設備(受変電設備など) | 投資額の15%(中山間地域は20%) | 最大2億円(創エネ設備と合算) |
売電専用ではなく、自社の事業活動で使用する電力を賄うための自家消費型設備が対象です。FIT・FIPによる売電を目的とした設備は対象外となる点に注意しましょう。
制度の概要は、次のとおりです。
| 対象 | 再生可能エネルギーを利用した発電設備および蓄電設備の導入(売電目的を除く) |
|---|---|
| 申請期間 | 第3次募集の受付終了(令和7年3月13日) |
| 申請条件(主なもの) | ・広島県内に事業場を有する中小企業者であること(個人事業主は対象外) ・創エネ関連設備として、太陽光発電設備や蓄電設備などを導入すること ・売電専用ではなく、自家消費を目的とした設備であること ・詳細は広島県の要綱に定める要件を満たすこと |
| 対象者 | 製造業、運輸業、サービス業など、要綱で定める業種の県内中小企業者 |
| 補助金HP | https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/76/souene-josei2025.html |
この制度は、「広島市の工場屋根に自家消費型太陽光を導入して電気代を削減したい」「蓄電池も組み合わせてBCP強化を図りたい」といった企業がお得に導入できる補助策となっています。
次に、広島県課題解決型太陽光発電施設導入事業補助金について説明します。
広島県課題解決型太陽光発電施設導入事業補助金
こちらは、自家消費型太陽光発電施設の普及や導入に係る課題を解決するための、先導的・実証的な取り組みを支援する制度です。省エネや脱炭素に取り組む中堅〜大規模事業者や、複数拠点を持つ企業などを想定した高度な実証事業向けの補助金です。
| 対象 | 自家消費型太陽光発電施設と蓄電池、エネルギーマネジメントシステム(EMS)などを組み合わせた先導的・実証的な事業 |
|---|---|
| 補助金額 | 補助率:対象経費の2分の1以内 補助上限額:800万円 |
| 申請期間 | 交付決定後、2026年3月31日までに事業完了が必要(令和7年度公募要領ベース) ※2025年の公募期間は終了しました。 |
| 申請条件(主なもの) | ・県内で補助事業を実施できる法人格を有する団体であること ・太陽光発電設備等を所有する者であること(自社設置・PPA事業者・リース事業者など) ・自家消費型太陽光発電施設の導入に係る課題と、その解決策を明確にした事業計画であること ・単なる電気料金高騰対策や温室効果ガス削減目的だけではなく、先導的・実証的な内容を含むこと |
| 対象者 | 民間企業、各種法人、協同組合、NPO法人など、広島県内で事業を行う法人 |
| 補助金HP | https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/eco/pv-kadaihojo.html |
この制度は「複数拠点間での再エネ電力融通」「V2HやEV充電との連携」「EMSを活用した高度なエネルギーマネジメント」など、先進的な取り組みを行う企業向けです。
一般的な自家消費型太陽光の導入というよりは、「新しいモデルをつくるプロジェクト」で活用されるケースが多いでしょう。
広島市内の中小企業であれば、まずは創エネ関連設備投資助成金などの「導入寄りの補助金」を軸に検討し、先進的な実証プロジェクトを検討する場合に課題解決型の制度もあわせて確認する、という流れが現実的です。
補助金は併用できる?導入前に確認すべき注意点
広島市の事業者が利用できる補助金は、広島県や国の補助金と併用が可能なケースがあります。
ただし、
- 国・県から受ける補助額は、他の補助金を計算する際に対象経費から控除される(いわゆる二重取りは不可)
- 同一経費に対して、趣旨の重なる別の補助金を二重に受けることはできない
といったルールがあります。
また、以下の制度ごとの細かい制限を見落としがちです。
- 交付決定前に着工すると補助対象外
- 予算枠が先着順で埋まり次第終了
- 自家消費が必須で、FIT・FIPを使う売電専用設備は対象外となるケースが多い
総じて、見積りの段階から補助要件をしっかり確認することが大切です。
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申請の流れ・着手前に押さえておきたいポイント
広島県の企業向け補助制度も、基本的には申請前着工NG・交付決定後に契約・工事開始という原則があります。
さらに、申請書類も以下のように、かなりのボリュームになります。
- 事業計画書
- 発電シミュレーション
- 見積書・図面
- 補助対象経費の内訳
- 会社概要・決算書 など
社内だけで完結させようとすると、とても時間がかかり担当者に大きな負荷がかかるため、補助金申請にはプロに相談するのが現実的です。
申請→交付決定→事業着手のステップ
太陽光発電補助金の一般的な流れは以下の通りです。
- 指定申請(または交付申請の受付)を行う。
- 審査(県や市が書類・事業計画・費用見積もり等を確認)。
- 交付決定を受けてから、事業着手(設備の発注・着工など)を行う。交付決定前に着手すると補助対象外となる場合があります。
- 事業完了(設備の設置・工事・最終支払)を行い、実績報告書を提出。多くの制度で「交付決定日から◯年以内に事業完了」といった期限が設定されています。
- 自治体による審査・交付決定。事業者は請求書等を提出し、補助金が交付される。
※制度により細部は異なります。
この一連の流れだけでも数ヶ月かかるため、早めにスケジュール調整を行っておくことをおすすめします。
よくある失敗・申請時の注意点(予算枠、併用不可、着工時期)
ここでは、申請時の注意点やよくある失敗について紹介します。
予算枠が埋まって申請できなかった年度後半でも間に合うと考えていたところ、先着順の予算枠がすでに終了していたケース。
交付決定前に契約・着工してしまった「工期を優先したい」と先に契約や着工を進めた結果、その部分が補助対象外とされたケース。
売電を前提にFIT・FIP申請をしていた自家消費型が必須の制度にもかかわらず、売電用として設計してしまい補助対象から外れたケース。
国・県との併用条件を誤解していた国と県の補助がそのまま二重にもらえると誤解しており、実際は他制度分を控除した後の額で算定され、想定よりも補助額が少なくなったケース。
設備仕様が要件を満たしていなかったモジュール認証、出力条件、未使用品条件などを満たしておらず、再設計・再見積もりになったケース。
このような失敗を避けるためには、以下を注意する必要があります。
- 補助金の早期相談(年度前半〜上期)
- 補助金の要件を理解している業者の選定
- 社内決裁スケジュールの事前共有
補助金申請にはとても時間がかかるため、事前に確認しておきましょう。
広島市で産業用太陽光発電の補助金を活用すべきか?
広島市で工場・倉庫・物流拠点・オフィスを運営する企業にとって、「太陽光+補助金」は単なる節約策ではなく、経営戦略の一部になりつつあります。
そのため、電力コストや再生可能エネルギーの活用に対する関心が年々高まっています。
しかし、補助金制度は年度ごとに変更や終了があるため、適用可能な期間を逃さないことが重要です。
タイミングを逃すと翌年度まで待たなければならないケースもあり、早めの情報収集と申請準備が成功の鍵となるでしょう。
ここからは、広島市で産業用太陽光発電が注目されている理由について解説していきます。
電気料金の高騰により「自家消費」の価値が増加
電力単価はここ数年上昇傾向が続いており、中長期的にも以前の水準に戻る期待は持ちにくい状況です。
産業用太陽光発電を自家消費中心で導入すれば、以下のような効果が見込めます。
- 日中の使用電力量を太陽光で賄うことで、電力単価上昇の影響を緩和
- デマンドピークの抑制による基本料金の削減
- PPAやリースを組み合わせれば初期費用を抑えつつ電気代だけでメリットを享受
補助金を使えば初期投資を圧縮できるため、投資回収期間の短縮にも直結します。
脱炭素・RE100対応の重要性
自動車関連産業や造船、鉄鋼、流通などの企業が集積する広島市では、取引先からの「CO₂排出量削減」「再エネ比率の開示」といった要求が年々強まっています。
- RE100・SBT・TCFD対応
- 上場企業のESG評価
- 取引先からの「CO₂排出係数」報告要請
こうした中で、太陽光発電による自家消費は最も導入しやすい再エネ手段の1つです。
広島県・広島市もカーボンニュートラル方針の中で再エネ導入支援を位置付けており、それを具現化したのが創エネ関連設備投資助成金などの補助制度です。
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工場・倉庫の屋根や遊休地が多く、導入メリットが高い地域性
広島市および周辺エリアは、瀬戸内沿岸部に工場・物流センター・倉庫が多く立地しているため、以下のように太陽光設置に適したスペースを持つ事業所が多いです。
- 大型の折板屋根
- 駐車場上のカーポート
- 工場敷地の遊休地
環境省などのデータによると、中国地方の平野部では1kWあたり年間およそ1,200〜1,400kWh程度の発電が見込まれ、広島県もこのレンジに含まれるとされています。
設備条件が同じなら、日射量が多い地域ほど発電量が増え、投資回収が早くなるため、広島市は再エネ投資と相性の良いエリアと言えます。
広島市で利用できる産業用太陽光発電の補助金・支援制度
ここからは、広島県の2つの主要補助金に加え、「国の税制優遇」まで含めたトータルの支援メニューを整理します。
国の支援:カーボンニュートラル投資促進税制
「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(CN税制)」は、太陽光発電など脱炭素化に資する設備投資を行った企業が、最大14%の税額控除または50%の特別償却を受けられる国の優遇税制です。
- 対象:生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備
- 仕組み:事業適応計画の認定を受け、その計画に基づき設備導入を行うと、法人税の税額控除または特別償却を選択適用できる
- 期限:2026年3月31日までに事業適応計画の認定を受けた投資が対象(2025年時点)
自家消費型太陽光発電は、この税制の対象設備の代表例として紹介されています。
広島県の補助金と組み合わせれば、「導入時の補助金+税負担軽減」でダブルのメリットがあります。
広島県の補助制度(創エネ関連設備投資助成金など)
先ほど紹介した「創エネ関連設備投資助成金」は、広島県内の中小企業が自家消費型太陽光発電設備・蓄電池などを導入する際に、設備費の最大50%を助成する非常に強力な制度です。
- 対象:県内に事業場を有する中小企業者(広島市内の事業所も対象)
- 助成率:創エネ関連設備は投資額の50%、付随設備は15%(中山間地域は20%)
- 上限額:2億円(設備と付随設備の合計)
- 条件:売電目的の設備は対象外、自家消費が前提
このほか、先導的・実証的なプロジェクト向けには、課題解決型太陽光発電施設導入事業補助金が用意されています。
広島市内の事業所であれば、国の税制+広島県の補助制度の「合わせ技」が可能であり、うまく組み立てれば実質負担を大きく圧縮することも十分に現実的です。
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初期費用を抑える選択肢:PPA(第三者所有モデル)
「初期投資を抑えたい」「設備は持ちたくないが、電気代は下げたい」という企業には、PPA(第三者所有モデル)が有力です。
- 設備はPPA事業者が所有
- 企業は屋根・土地を貸し出し、発電した電気を契約単価で購入
- 電気料金は既存の高圧単価より安く設定されるケースが多い
創エネ関連設備投資助成金は基本的に「設備所有者」に対する助成制度のため、PPA事業者が補助を受け、その分を電気料金単価に反映させるといったスキームも検討可能です。
PPAで初期費用ゼロ+県からPPA事業者に助成 → その分をPPA単価に反映してユーザー側の電気料金を抑える設計が可能
ただし、CN税制など税優遇は「自己所有設備」が前提となるため、所有かPPAかで使える制度が変わる点は要注意です。
広島市での設置費用と投資回収の目安
実際に広島市で産業用太陽光を導入した場合、どの程度の発電量・投資回収が期待できるのでしょうか。
ここでは、あくまでモデルケースとしてシミュレーションのイメージを紹介します。
年間発電量(広島市周辺の日射量)
中国地方の平野部における太陽光発電の一般的な目安として、1kWあたり年間発電量がおよそ1,200〜1,400kWh程度とされています。
一般的なシミュレーションでは、
1kWあたり年間発電量 ≒ 1,200〜1,400kWh/年
程度を目安とすることが多く、広島市もこのレンジに収まると考えられます。
投資回収シミュレーション(例)
次に、太陽光発電のシミュレーションのイメージを紹介します。
モデルケース設備容量:50kW(工場屋根)
年間発電量:50kW × 1,300kWh/kW ≒ 65,000kWh/年(概算)
自家消費単価:25円/kWh(電力単価)
設備導入費:1,500万円(税抜)
創エネ関連設備投資助成金:対象経費1,500万円、助成率50% → 750万円助成
年間メリット(電気代削減)65,000kWh × 25円 = 約162万5,000円/年
実質自己負担額導入費1,500万円 − 助成金750万円 = 750万円
単純回収期間(税制・減価償却等を考慮しない場合)750万円 ÷ 162万5,000円 ≒ 約4.6年
ここに、カーボンニュートラル投資促進税制による税額控除や特別償却が加わると、実質的な回収期間はさらに短くなる可能性があります。
もちろん、実際のシミュレーションでは以下も考える必要があります。
- 物価・電気料金の将来見通し
- 自社の負荷パターン(昼夜の使用比率)
- メンテナンス費
- 借入金利
しかし、広島県の助成制度と国の税制を活用すれば、5〜10年程度での投資回収を狙いやすい水準と言えるでしょう。
広島市での導入事例(モデルケース)
具体的な企業名は割愛しますが、広島市および周辺エリアではすでに以下のようなパターンでの導入が増えています。
自動車部品メーカー(製造業)・広島市内の工場屋根に300kWの自家消費型太陽光を導入
・創エネ関連設備投資助成金+CN税制を活用
・昼間の電力量の約30〜40%を太陽光で賄い、年間数百万円のコスト削減
港湾物流倉庫業(運輸業)・湾岸部の大型倉庫屋根に100kW+EVフォークリフト用充電+蓄電池を導入
・県の補助金と国のV2H・充電設備関連補助を組み合わせ、BCPも強化
中小製造業(金属加工)・新工場建設に合わせて50kWの太陽光+将来蓄電池追加前提の設計
・創エネ関連設備投資助成金と国の税制優遇を併用
こうしたモデルケースからも分かる通り、「新築・大規模改修のタイミング」「屋根改修のタイミング」での同時導入が、補助金・投資回収の観点からも効率的です。
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